2006年 05月 30日 ( 2 )
No.136 カードの考え方
f0136083_2114251.jpg 前回コラムで、DF照井が「最後に重要な出番があった」と書いた。足の故障で6試合ぶりのピッチとなった照井は、前期第12節・佐川急便東京戦の76 分、MF久保田と交代して出場した。その3分前、佐川は188センチの長身FW竹谷を投入し、「大久保(190センチ)との前の二人にボールを入れていく作戦」(田中監督)に出た。1-2から同点を狙ったパワープレーだ。これに対して栃木・高橋監督は「竹谷が出てきたら照井で対抗することを考えていた」と、迷いなく照井を呼んだのだった。大久保と竹谷を照井と山崎が一対一で見る4バックにして守りを固めた。迫力の空中戦。二人とも、高さではどんなFWにも負けない。頼もしかったし、ゲームはいよいよ緊迫してきた。
  それなのに、計算通りだった高橋監督に誤算が生じた。77分、栃木の右サイドで事件が起きた。只木が相手選手に前に入られて、後ろから手がかかって倒した。ホイッスル。単なるファウルかと思ったらイエローカードが出た。「厳しいなあ」と思っていたら、主審が今度はレッドカードを掲げている。只木に対してだ。しばらく騒然としたが、只木はピッチを去った。判定は、「ラフ行為」に続く「遅延行為」で2枚のイエローカード、つまりレッドカードということだった。只木は笛が鳴ってから、確かにボールを足で動かした。ファウルの位置にボールを戻す動きだったが、それを主審は遅延行為(というよりは反抗的態度)と見たようだ。私の個人的な見方だが、倒したプレーは単なるファウル(相手に直接FK)で良かった。もしカードを出したとしても、2枚目の行為に対しては、言葉で注意すれば良いではないか。「今の、カードが出るプレーだよ。次は出すよ」くらいのことを言って…。あるいは遅延行為の方にカードを出すとか…。佐川ベンチのすぐ前だったことが判断に影響したかもしれない。
  攻防がいよいよ切羽詰まってきた87分にも不可解なカードが出た。栃木のファウルで佐川のFK。同点へと攻め急ぐ佐川は、MF山本が素早くボールを前線にフィードしようとしてキックした。それが、近くにいた高秀の後部に当たった。すぐにボールから離れなかった高秀にイエローかと思ったら、山本に出た。山本と高秀の立場を考えれば、ファウルの考え方としては逆ではないか。意図的に高秀にぶつけたならいざ知らず、山本にそんな余裕があるわけがない。
  只木が退場した栃木は4・4・1にして耐えた。佐川は右サイドバックの高橋が89分に2枚目のイエローで退場し、反撃の勢いが陰った。結局、栃木が2-1で逃げ切ったが、水しぶきが上がる困難なピッチで、両チームとも戦術・戦略を駆使して戦っていたのに、判定でさらに水を差された感がある。2週続けて判定への不満など書きたくなかったが、優秀な審判が何人もいるのだから、真剣勝負が続くリーグ戦では的確かつ流れに合った判定を期待したい。
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by tsc2007 | 2006-05-30 21:01
No.135 内容よりも勝利
f0136083_2123356.jpg かろうじて逃げ切った。前期第12節の佐川急便東京戦は、そんな感じの試合だった。前半は栃木、後半は佐川。展開がこれほど前後半でくっきりと色分けされる試合も珍しい。栃木は、この試合から上位陣との5連戦という正念場に入った。「直接対決で行く」と言っていた高橋監督も、ヒヤヒヤの勝利に「内容よりも、勝つしかない」と胸をなでおろした。
前節のソニー仙台戦と同じスタメン。違うのは、控えにDF照井が入っていたこと。脚の故障で離脱し6試合ぶりだったが、最後に重要な出番があった。5月の追加登録後2試合目の先発だったボランチ久保田は、結果的にこの日のヒーローとなった。
  午前中の雨の影響で水含みのピッチに滑るシーンが続出。ボールは止まるし、踏ん張りは利かないし、蹴り込むサッカーをしない栃木にとっては「ストレスを感じる試合」(高橋監督)となった。そんな中、アウェーだろうとどんな状況だろうと関係なく攻撃サッカーを挑む栃木が押し気味になった。31分には吉田がペナルティエリア内で倒されPK。吉田自身が決めて先制した。35分の久保田のミドルシュートは、久々に見たビューティフルゴールだった。西川のシュートによって左CKを得た栃木は、中川がゴール前に合わせ、相手DFがクリアしたこぼれ球を約20メートルの位置から久保田が左足ワンタッチでシュート。抑えの効いた弾道は真っ直ぐ佐川ゴールネットに吸い込まれた。
そのシーン。「横さん(横山主将)に言われたポジションにいたらボールが来ました。ボールを持って、もし取られてカウンターを食らったら一番こわいんで、シュートしか考えませんでした。水たまりがあって、うまい具合に足が滑ってくれて、ジャストミートじゃなかったけど、いい感じで行きましたね」。久保田は栃木での初出場となった前節にも2本のミドルシュートを放ち、練習でも意識してゴールを狙っていた。高橋監督は「(久保田は)いいミドルを持っている。今日は思い切ってやってくれた。新加入の選手が活躍するとチームが活性化するね」と満足顔だ。
後半、「積極的に攻めて、早い時間に点を取ろう」(田中監督)と佐川が攻勢に転じた。5分後、山本が押し込み1点差。その後も佐川はパスをつなげ、セカンドボールもなぜか佐川側に集まった。後半の栃木の公式シュート数はたったの1本。佐川は6本。「後半はウチのリズムになった」(田中監督)との言葉通り、2点差を早い時間に1点差とされた栃木は冷や汗のかきっぱなし。77分には只木がまさかの連続イエローで退場だ。昨シーズンの同点シーンが頭をよぎった。虫の息になりかけたチームを救ったのは、応援歌や拍手でホーム側を圧倒し続けた大勢の栃木サポーターとファンだったと思う。正に「12人目の選手たち」だった。
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by tsc2007 | 2006-05-30 12:02
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