2006年 08月 09日 ( 3 )
No.159 金子と池田
f0136083_18242223.jpg 後期第5節の横河武蔵野戦。佐野や石川ら主要メンバーの一部が国体要員となった関係で、発表になった「試合メンバー表」の注目は、初先発のFW金子剛と交代選手としてFW登録された池田光忠だった。今季初めて試合登録された池田は昨季、J2水戸ホーリーホックから栃木に加入し、6試合に出場したが、ホームの鳥取戦で1ゴールを決めた以外は目立った活躍もなく、その後はサブチームでの調整に日々を送っていた。
  金子も水戸からの新加入。鹿沼東高からのJリーグ入りで話題になった選手だ。2年前のシーズンに、池田と共に当時は東北2部だったグルージャ盛岡にレンタル移籍し、金子が得点王、池田がアシスト王と活躍し、Jリーグを目指すこのチームを1部昇格させる仕事を果たしてきた。2カテゴリーも下で奮闘した2人が今はJFLのピッチでJを目指している。移籍が頻繁なサッカー界にはそのような縁が多い。吉田賢太郎は京都―水戸。湘南ベルマーレからは照井、西川、北出。気がつけば、栃木SCにもJ経験者が6人いる。Jの舞台でできそうな選手も数人いる。大した補強もしていない愛媛(昨季までJFLで、栃木は互角の戦いをした)が8月6日の国立競技場で東京ヴェルディ1969に4-1で快勝したことを考えると、面倒臭い諸々の条件のことを度外視すれば、栃木SCはすでにJ2レベルの選手層があると言えないこともない。
  さて、金子のプレー。「前を向いた時の突進力が持ち味」(高橋監督)という通り、ドリブルで仕掛けたり、相手DFを競り抜いたりするシーンで片鱗を見せた。相手オウンゴールの場面では、ヘディングパスで只木とのワンツーを成立させた。先発は1年ぶりという本人は試合後、「戦い方は整理して入ったつもりだったけど、まだまだです。ボールを持っていない時の動きの質を高めないと。運動量の多かったこの試合をベースにして、自分としてもチームとしてもレベルアップする段階。ただ、先発できるというのは幸せなことだと感じましたね」と、交代出場だったここ数試合よりは柔和な表情になっていた。
  62分、金子に代わって池田がピッチに入った。吉田、西川との3トップのような形だった。終了間際には茅島のクロスをヘディングシュートしたが惜しくも枠を外した。「練習試合では決めていた形なので悔しい。この1年間は公式戦に出られず、つらい思いをしてきました。コーチに助けられたところもあって、やっと調子が出てきた。きょうはアップしている時から、オレのこと、出せ出せって、心の中で思っていました」。池田はピッチに入る時、緊張した面持ちだったが、本当に気持ちよさそうに弾んだ走りをしていた。
  縁の話のついでに、この試合を宮沢ミシェルさんが視察に来た。高橋監督とは国士舘大でDFラインを組んだ仲。試合後に長らく話し込んでいた。
[PR]
by tsc2007 | 2006-08-09 18:24
No.158 後半の攻防
f0136083_1825111.jpg 1回のコラムで1試合を収めたいのだが、ずっと栃木SCの試合を見続けていると、書きたいことが山ほどあって、どうしても1試合2~3本は書いてしまう。私自身は何回分を書いても平気なのだが、せっかく読んでくださる人たちが苦痛だろうなと思って、これでもずいぶんセーブしているつもりだ。横河武蔵野戦のMF西川が最後まで全速力で走っていたことなど、書き出したらそれだけで1回分になるが、ここでは触れずに、横河戦の後半を振り返ってみたい。
  1-1で折り返した後半。横河は「前半は栃木の攻撃への対応でキツかったが、後半は行ける感じはあった」(古矢監督)と、両サイドから速い攻撃を意識。栃木は「只木がベテランのプレーで追いついてくれた。左から勝負」(高橋監督)と切り札・茅島を左サイドに投入した。西川のシュートで始まり、種倉や堀田のミドルシュートや、金子がDFを振り切ってGKと一対一になりかけたりして、栃木はサイドをつなぐ展開からシュートチャンスを作った。守備的な横河はカウンター狙い。栃木の高いDFラインを左右から突破してドリブルで迫りシュートするシーンが何度もあった。栃木GK原は、ほとんどを正面でキャッチした。「やぁやぁ我こそは…」といった戦国武将の一騎討ちのような形が多かったが、勢い良く走り込まれての強シュートを何なく止めた原の冷静なポジショニングは高く評価されるべきだ。
  もし原のナイスセービングがなかったら、7本8本と浴びせられるシュートの1本くらいは栃木ゴールをえぐっていただろう。同様に、横河GK井上にはよく守られてしまった。とりわけ75分に訪れた茅島のシュートの場面は息を呑む一瞬だった。池田からパスを受けた左の茅島は完全にフリーだった。左45度。茅島は左足で渾身のシュートを放った。ゴールのファー側は、スライディングしてきた池上とその裏に寄せてきた本多がコースを切った。シュートはニアに向かった。そこは元コンサドーレ札幌のGK井上の守備範囲だった。井上は両手で強烈なシュートを弾き飛ばした。「決まっていれば、試合も決まっていたはず」と、茅島はこれまで見たこともない悔しそうな顔でその瞬間を振り返った。
右の只木、左の茅島がよく機能し、栃木はビッグチャンスを繰り返した。2連敗中には影をひそめた前線の連動性や全体的な運動量、ここぞの場面に全力で走るガッツ、何とかしようと声を張り上げる精神的スタミナ。いずれも、本来の栃木に戻りつつある印象を受けた。ああ本当に、もっと行数があったら、西川の90 分間+ロスタイムの全力疾走を、この試合を見ていなかった栃木SCのファンたちに伝えたい…。
[PR]
by tsc2007 | 2006-08-09 12:24
No.157 失点得点の場面
f0136083_18254154.jpg 後期第5節は夢の島で横河武蔵野と対戦し、1-1で引き分けた。2連敗の後にアウェーで、順位が1つ上の横河から勝ち点1を取ってきたことは良かった。今季2度目の連敗のショックから立ち直るきっかけにしたい。
  栃木はシーズン途中に加入した元J2水戸ホーリーホックのFW金子剛が1トップで、吉田賢太郎と西川が2列目。左・種倉、右・只木、ボランチは堀田と久保田。この布陣に特段の理由はなく、佐野や石川が国体要員となったための若干の変更だ。横河は「前期0-4の大敗は我々にとって今季最悪の結果。あれで栃木に苦手意識を持ってしまった」(古矢武士監督)と、ホームながらまずはがっちり守りを固め、10番・田辺が展開役となってカウンターを狙った。栃木は金子にクサビを入れたり、吉田が下がり気味になって広いエリアを動き回ったりして、いつもと少し違うスタイルだった。いつもと同じなのは、ラストパスがなかなかつながらないことだった。
  23分に横河右CKから本多のヘディングシュートで先制点を許した。課題のリスタート失点だったが、悪い兆候はすでにあった。17分、横河の右クロスに原島がジャンピングボレーでシュートした場面もフリーだったし、失点直前には左CKの連続。キッカーの田辺はニアに入れると次はファーを狙って揺さぶりをかけた。そのCKをしのいでGK原が放ったゴールキック。中央で競ってこぼれたボールは完全フリーの横河MF原島に渡り、FW村山の決定機につながった。これで得たCK、田辺は今度はゴールほぼ正面に入れてきた。栃木のマーカーは2人いたが、本多はうまく前に出てフリーになった。田辺の精度の高さとボールコースの工夫で、栃木は手玉に取られた。
  その後、横河追加点の危機を防いだ栃木は42分、オウンゴールによって同点に追いついた。横河はFWを残してほぼ全員で守っていた。栃木は、左サイド深い位置に入り込んだ吉田がペナルティエリア角付近にいた只木にスルーパス。只木はゴール前の金子に浮き球で合わせた。金子はゴールを背にしたまま頭で右にコントロール。ボールはDFの間を割って走り込んだ只木の足元につながり、只木は左足を強振。ボールは本多の足の下をかすめ、スライディングカットを試みた上野の足に当たってゴールインした。相手守備陣が陣形を整えていた中での堂々の得点だ。ワンツーで決定機をモノにした只木は「シュートを狙いました。角度はなかったけど、打つしかないと思った」と、ちょっと強引でも打てば何かが起こることを身をもってアピールした。
  後半は、栃木が攻め込み、横河がカウンターアタックを仕掛ける展開となった。それが絵に描いたような攻防だったので、栃木と横河の決定的チャンスの数は同じくらいあった。夏の宵のスタンド観戦にはさぞ面白かっただろう。
[PR]
by tsc2007 | 2006-08-09 10:25
栃木SCオフィシャルWebサイトへ