2007年 05月 22日 ( 2 )
No.214 走りて路を得よ
f0136083_1774036.jpg  佐川急便に敗れた日の夜、仕事を終えて帰宅し、やけビールを飲んでいたら玄関のベルが鳴って「佐川急便でーす!」というので、びっくりした。鳥取から砂丘長芋が送られてきた。以前のコラムにも書いた生産農家の友人からだ。4月に栃木SCが米子遠征した際、一家5人と倉吉市の寿司屋で食事を共にし、ごちそうになったお礼にこちらの地酒を送ったら「そんな、気にせんでええわ」と言いながら、私の健康の源を再度届けてくれたのだった。電話すると奥さんが出て「だんなは野球の打ち上げで遅くなるけん。なあに佐川急便に負けたって? うちらこのあいだ勝ってなあ、少し上がったけんね」「鳥取はこれから4連勝か5連勝するよ」「そうならいいけど、弱いと一緒にJリーグに行けへんからなあ。栃木だけ行ったら、もう鳥取に来なくなるけん、さびしいよお」。いつもこんな会話をするのだ。
  栃木SCが苦しんでいる。開幕6戦目のソニー仙台までは下位だったので目立たなかったが、見る目のある人たちの中には「今シーズンは強い栃木をまだ一度も見ていない」と憤慨する声があった。私たちメディアが軽々しく「快勝」と伝えた東京での横河武蔵野戦でさえ、その戦い方をこきおろす意見があった。私は、練習環境がすこぶる悪い栃木としては、リーグ戦を戦いながらチームづくりをしていくしかないと思っていた。だから、負けなしで来た7試合目(アローズ北陸戦)までは、少しずつ良くなっていたように見えたので、上位との連戦も何とか戦えるだろうと内心は思っていた。
それは甘かった。これまでのJFLよりも今シーズンは厳しい。上位チームの力が、以前の上位チームよりも上だ。開幕前から「群雄割拠だ」と言っていたけれども、Jリーグ準加盟以外でも力をつけてきたチームがある。栃木を抜いて4位の横河武蔵野は、JFL参入当初は練習に選手が集まらないような状態で最下位も経験したが、今は立派な人工芝練習場とNPO法人化で本物の力をつけてきた。佐川急便は1+1(東京+大阪)=2になった。次節の相手のホンダは古豪の実力に加えて、基本的に午後2時半から5時に芝生で練習している。こういう相手に、「夜に土のグラウンド」が基本の栃木が勝てるのだろうか。私は、選手補強よりも練習環境の改善を声高にしてきたが、せっかくの補強を生かせないような練習環境が厳然として残ったのだった。芝生が立派に養生されたホーム・栃木県グリーンスタジアムは、実は栃木SCの選手たちにとっては、慣れないアウェーのピッチなのである。
それでも戦い続けなければならない。今回タイトルにした「走りて路を得よ」はダンテの「神曲」地獄編の一節だ。ロッソ熊本戦を前に、宮本武蔵の「人を打たんとすれば、我が身を忘るる物なり」を引用したのは、ロッソに勝つために、厳しいことは分かっていてもどちらかのサイドバックが仕掛けて、それに連動して攻撃し、相手の壁を崩してほしかったからだ。それをしなかった。強い相手には危険が伴うが、危険を冒さずして何ができよう。走らなければ地獄からの活路は見出せない。分かり切っていることが、今の栃木SCには欠けている。指揮官の迷いもある。選手も迷っている。だから、苦しい今こそ、この言葉を引用した。ビールを片手に、ガイナーレ鳥取とのJ2同時昇格を願っているオジサンのたわごとではあるけれど。 
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by tsc2007 | 2007-05-22 17:07
No.213 佐川急便にも敗れる
f0136083_1550323.jpg  前期第12節の首位・佐川急便戦は、これまでの4バック(4・5・1)から3バック(3・6・1)にシステム変更して臨んだ。3バックは今季3度目だが、最初から敷いたのは初めて。上位との5連戦を1勝2分け2敗とつまずき、ホーム足利で連敗しているので、「何かを変えなければ」という意識がチーム内にもあり、その一つとしてシステムをいじってきた。昨季途中まで3バックが基本だったので、外から見た目に違和感はない。ベテランボランチの種倉を初先発させたのも中盤のバランスを重視した一石だったろう。前節のYKK AP戦で結果を残した右・小林、左・片野をアウトサイドで先発起用した。
  「前に人数をかけて、攻撃的に行く狙いだった」(高橋監督)。山下の1トップ、横山聡と西川の2シャドーはどんな相手にも脅威だろうし、谷池を真ん中にした山崎と照井の3ストッパーは、御給や中村のような強力ストライカーにも対応できるはずだった。「いい守備からいい攻撃をするプラン」(同)だったが、チーム全体がアグレッシブに躍動する佐川急便の前に苦戦を強いられることとなった。
  2分に堀田がミドルで初シュート。直後に佐川・堀のシュートを照井がブロックし、緊張した雰囲気の中でゲームは始まった。12分に堀田が起点となってつなぎ横山がシュートした場面は惜しかった。21分に山下と横山のコンビネーションから片野がライン裏に抜けたがオフサイドでチャンスを逃した1分後、佐川は山根がボール奪取して右の中村に開き、クロスボールを御給がどんぴしゃりのヘディングシュートで先制した。サポーターが応援幕で掲げる「獲られたら獲り返せ」の気迫は、例えば25分にDF山崎がドリブルで前線に進出したプレーに感じられたが、高橋監督が「相手は中盤の構成が良く、DFもバランスが取れていた」と振り返ったように、ゲームは佐川が支配していた。
  58分に高秀を右サイド、68分に金子を前線、79分には茅島を左サイドに投入して反撃に出たが、生命線のサイドでは1対2の数的不利が目立ち、決定機はロスタイムに入ってからの左クロス2本にとどまった。0-1の敗戦。ホームで3連敗。優勝に黄信号が点滅する3敗目。つないでフィニッシュの形に挑むプレーなど、前回書いた「危機的状態」からは、少し光が見える試合内容ではあった。しかし、つまずきの始まりとなったアローズ北陸戦(1-1)からの上位6連戦の「1勝2分け3敗」という結果は深刻だ。佐川急便・FC岐阜・ロッソ熊本の3強が抜け出し、3位ロッソとの差は勝ち点6(2勝分)に開いた。次は古豪のホンダ戦。7位・ホンダは不調と言われながら勝ち点19で、21の5位・栃木は1試合でひっくり返る。
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by tsc2007 | 2007-05-22 15:50
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