2007年 06月 01日 ( 1 )
No.216 「決定力」の話
f0136083_1545428.jpg  2点取ったホンダ戦、2回のゴールシーンの写真を私はどちらも失敗した。撮っているのだが、石川(先制のヘディング)、山下(2点目のワンタッチシュート)ともに、相手DFが完全に重なってしまった。いわゆるブラインドというやつ。くやしいなあ。スポーツカメラマンはポジショニングの運に左右されることが多いんです。こうして、いつも失敗ばかりしています。一試合に300枚くらい撮る中で、良さそうなのは20枚ほど。シュート15本で1ゴールの換算だ。私の決定力はたいしたことがない。だから…というわけではないが、私はサッカーシーンでよく耳にする「決定力不足」という言葉がきらいだ。その表現が当たっていればいいけど、無得点だったというだけで使われると困る。例えば、昨年のクラブW杯決勝。0点で負けたバルセロナは決定力不足のチームだろうか。肝心の試合でゴールできなかったロナウジーニョは決定力不足の選手なのだろうか。そんな表現はあり得ない。
  上位との7連戦を1勝3分け3敗と散々だった栃木SC。この間、7得点9失点で、3敗はいずれも無得点だった。それで、報道もチーム自身も「決定力不足」「得点力不足」と表現した。本当にそうだろうか。栃木には山下がいる。横山聡がいるし、吉田賢太郎、西川、金子、佐野もいる。小林や石川、高秀、茅島、永井…。吉見も忘れちゃいけない。彼らの顔を思い浮かべながら、「結果がすべて」と冷たく言い放つことは、私にはできない。選手個々の問題もあるだろうし、チーム戦術の問題もあるだろうけど、何よりも、彼らにはゴール枠にきちんとシュートするためのトレーニング環境が与えられていない。夜の闇でゴールポストも見えないんですゾ(ちょっと大げさ)。
  チームがFW上野優作の加入を発表した。J1・サンフレッチェ広島からの完全移籍。現時点での選手補強の是非は別にして、大きな戦力になることは間違いない。アビスパ福岡では山下とコンビだった。京都パープルサンガではJ1復帰の力になった(吉田賢太郎も所属)。アルビレックス新潟のJ1昇格にも貢献した。昨年までの11シーズンで、J1・J2のリーグ戦306試合に出場し50ゴール。すごいキャリアだ。私はJリーグデビューしたころの上野を取材したことがあり、Jでやっていく自信が日に日に高まっていった姿を良く覚えている。真岡高―筑波大で、ユニバーシアード優勝チームのエースでもあった。ポストプレー、ヘディング、混戦での粘り、前線からの守備。泥臭くて汗臭い、頼りになるストライカーだ。
  「決定力」の話に戻るが、もし上野が出場して何試合か無得点だったとしても、決定力不足というわけではない。そこのところのニュアンスが分かっていただけるとありがたい。まだ4点しか取っていない山下のことを「決定力不足の選手」とは言えないのと同じ意味で。サッカーは点を取るスポーツだが、点を取らせないスポーツでもあるのだ。40年近くサッカーファンをやっていて、日本人で真の点取り屋だと思うのは釜本邦茂(旧ヤンマー)と中山雅史(ジュビロ)だけだが、この二人でも点を取れなかった試合はたくさんある。
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by tsc2007 | 2007-06-01 15:45
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