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No.136 カードの考え方
f0136083_2114251.jpg 前回コラムで、DF照井が「最後に重要な出番があった」と書いた。足の故障で6試合ぶりのピッチとなった照井は、前期第12節・佐川急便東京戦の76 分、MF久保田と交代して出場した。その3分前、佐川は188センチの長身FW竹谷を投入し、「大久保(190センチ)との前の二人にボールを入れていく作戦」(田中監督)に出た。1-2から同点を狙ったパワープレーだ。これに対して栃木・高橋監督は「竹谷が出てきたら照井で対抗することを考えていた」と、迷いなく照井を呼んだのだった。大久保と竹谷を照井と山崎が一対一で見る4バックにして守りを固めた。迫力の空中戦。二人とも、高さではどんなFWにも負けない。頼もしかったし、ゲームはいよいよ緊迫してきた。
  それなのに、計算通りだった高橋監督に誤算が生じた。77分、栃木の右サイドで事件が起きた。只木が相手選手に前に入られて、後ろから手がかかって倒した。ホイッスル。単なるファウルかと思ったらイエローカードが出た。「厳しいなあ」と思っていたら、主審が今度はレッドカードを掲げている。只木に対してだ。しばらく騒然としたが、只木はピッチを去った。判定は、「ラフ行為」に続く「遅延行為」で2枚のイエローカード、つまりレッドカードということだった。只木は笛が鳴ってから、確かにボールを足で動かした。ファウルの位置にボールを戻す動きだったが、それを主審は遅延行為(というよりは反抗的態度)と見たようだ。私の個人的な見方だが、倒したプレーは単なるファウル(相手に直接FK)で良かった。もしカードを出したとしても、2枚目の行為に対しては、言葉で注意すれば良いではないか。「今の、カードが出るプレーだよ。次は出すよ」くらいのことを言って…。あるいは遅延行為の方にカードを出すとか…。佐川ベンチのすぐ前だったことが判断に影響したかもしれない。
  攻防がいよいよ切羽詰まってきた87分にも不可解なカードが出た。栃木のファウルで佐川のFK。同点へと攻め急ぐ佐川は、MF山本が素早くボールを前線にフィードしようとしてキックした。それが、近くにいた高秀の後部に当たった。すぐにボールから離れなかった高秀にイエローかと思ったら、山本に出た。山本と高秀の立場を考えれば、ファウルの考え方としては逆ではないか。意図的に高秀にぶつけたならいざ知らず、山本にそんな余裕があるわけがない。
  只木が退場した栃木は4・4・1にして耐えた。佐川は右サイドバックの高橋が89分に2枚目のイエローで退場し、反撃の勢いが陰った。結局、栃木が2-1で逃げ切ったが、水しぶきが上がる困難なピッチで、両チームとも戦術・戦略を駆使して戦っていたのに、判定でさらに水を差された感がある。2週続けて判定への不満など書きたくなかったが、優秀な審判が何人もいるのだから、真剣勝負が続くリーグ戦では的確かつ流れに合った判定を期待したい。
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by tsc2007 | 2006-05-30 21:01
No.135 内容よりも勝利
f0136083_2123356.jpg かろうじて逃げ切った。前期第12節の佐川急便東京戦は、そんな感じの試合だった。前半は栃木、後半は佐川。展開がこれほど前後半でくっきりと色分けされる試合も珍しい。栃木は、この試合から上位陣との5連戦という正念場に入った。「直接対決で行く」と言っていた高橋監督も、ヒヤヒヤの勝利に「内容よりも、勝つしかない」と胸をなでおろした。
前節のソニー仙台戦と同じスタメン。違うのは、控えにDF照井が入っていたこと。脚の故障で離脱し6試合ぶりだったが、最後に重要な出番があった。5月の追加登録後2試合目の先発だったボランチ久保田は、結果的にこの日のヒーローとなった。
  午前中の雨の影響で水含みのピッチに滑るシーンが続出。ボールは止まるし、踏ん張りは利かないし、蹴り込むサッカーをしない栃木にとっては「ストレスを感じる試合」(高橋監督)となった。そんな中、アウェーだろうとどんな状況だろうと関係なく攻撃サッカーを挑む栃木が押し気味になった。31分には吉田がペナルティエリア内で倒されPK。吉田自身が決めて先制した。35分の久保田のミドルシュートは、久々に見たビューティフルゴールだった。西川のシュートによって左CKを得た栃木は、中川がゴール前に合わせ、相手DFがクリアしたこぼれ球を約20メートルの位置から久保田が左足ワンタッチでシュート。抑えの効いた弾道は真っ直ぐ佐川ゴールネットに吸い込まれた。
そのシーン。「横さん(横山主将)に言われたポジションにいたらボールが来ました。ボールを持って、もし取られてカウンターを食らったら一番こわいんで、シュートしか考えませんでした。水たまりがあって、うまい具合に足が滑ってくれて、ジャストミートじゃなかったけど、いい感じで行きましたね」。久保田は栃木での初出場となった前節にも2本のミドルシュートを放ち、練習でも意識してゴールを狙っていた。高橋監督は「(久保田は)いいミドルを持っている。今日は思い切ってやってくれた。新加入の選手が活躍するとチームが活性化するね」と満足顔だ。
後半、「積極的に攻めて、早い時間に点を取ろう」(田中監督)と佐川が攻勢に転じた。5分後、山本が押し込み1点差。その後も佐川はパスをつなげ、セカンドボールもなぜか佐川側に集まった。後半の栃木の公式シュート数はたったの1本。佐川は6本。「後半はウチのリズムになった」(田中監督)との言葉通り、2点差を早い時間に1点差とされた栃木は冷や汗のかきっぱなし。77分には只木がまさかの連続イエローで退場だ。昨シーズンの同点シーンが頭をよぎった。虫の息になりかけたチームを救ったのは、応援歌や拍手でホーム側を圧倒し続けた大勢の栃木サポーターとファンだったと思う。正に「12人目の選手たち」だった。
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by tsc2007 | 2006-05-30 12:02
No.134 高橋監督の涙
f0136083_2132057.jpg 前期第11節のソニー仙台戦終了直後、栃木・高橋監督が、引き上げる審判団に向かって行った。「判定のことで聞きたいことがあった」からだが、剣幕を察知したスタッフが止めに入った。進もうと躍起になり、押し合いになり、激高してきて、最後は横山主将ら選手たちにガードされ、引き下がった。控え室に戻る監督は目を真っ赤に泣き腫らしていた。
  事の発端は前半14分のプレー。左サイドの中川が精度の高いアーリークロスをFW吉田に合わせた。これを吉田の前で仙台MF門馬がハンド。ホイッスルが鳴り、主審が門馬にイエローカードを示した。ハンドした位置はペナルティエリアの中。PK獲得! 誰もがそう思ったろうし、私は誰よりも近くて見やすい位置(カメラマンライン)にいたので「中だった」と主張できる。ところが、副審と相談した主審が指差したのはエリアのわずか外。吉田はもちろん、横山主将も只木も抗議したが、認められるはずもなかった。
  その6分後。仙台は、石原のパスに平間が抜け出しドリブル突進。栃木GK原と一対一になり、原はダッシュして両手でセービングに出た。これが平間の足をかっさらった反則と見られてイエローカード。今度はPKだ。もし原の反則なら「阻止」でレッドカードのはずだが、公式には「反スポーツ」と記録された。主審の頭に一瞬、数分前の判定のことがよぎったのだろうか。観客席のいい位置で見ていた知人は「石原からパスが出た時点で平間は戻りオフサイドだった。副審が見逃した。最後も平間のダイビング」と言った。近くで見ていた仙台側の関係者は「カードが出て当然」と言った。
  高橋監督は、最初のプレーはPKで、次のプレーは相手のシミュレーションだと見た。それを試合後、主審に確認したかったのだが、話もできなかった。「両チームにとって、どれだけ大事な試合だったことか。たくさん入ったお客さんやサポーター、県民の皆さんのために、我々は真剣勝負しているんです。それを審判は理解して笛を吹いてほしい。知識だけじゃなくて、必要な目と体力をきちんと身につけてほしい。判定がくつがえらないことは分かっているけど、僕の気持ちを分かってもらいたかったんです」。審判との接触を諦めて振り返ると、汗にまみれた選手たちが目に入った。みんな笑顔だった。最後まで頑張った選手たち。抑え切れなくなって、みるみる涙があふれてきた。
  かつてガリー・リネカーは、得点を取り消されたことに関して言った。「オフサイドじゃなかったけど、これからの試合ではオフサイドでもゴールと認められることがあるかもしれない。だから審判に文句を言ってはいけない」。ジーコはJリーグでプレーしていた時に言った。「私がレフェリーに抗議するのは、日本のレフェリーにも成長してもらわなければならないと考えているからだ」。
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by tsc2007 | 2006-05-24 21:03
No.133 仙台戦の勝利
f0136083_2135678.jpg 前期第11節・ソニー仙台戦は、五月晴れの栃木県グリーンスタジアムで、気温26度とちょっと暑い中での試合となった。両チームとも3バック。栃木の1トップ・2シャドーを3FWと見れば同じ3トップ。似たような布陣で相対した。栃木はボランチ菊地が前節のアルテ高崎戦で右足首をねんざしたため、追加登録されたばかりの久保田が代役を務めた。まだ22歳(翌日23歳になった)の久保田は、この日の大きな収穫だった。サイドへの早い展開、堀田との連係、前に上がった時の攻撃姿勢。試合後、高橋監督は「合格点」と言い、本人も「コミュニケーションを取っていけばもっと良くなりますよ」と自信をつかんだようだ。栃木のファーストシュートも久保田だった。
  14分、試合の行方を左右する判定があった。相手DFが栃木のクロスボールをハンドした。ペナルティエリアの中だったが、判定はエリア外。もしPKになって栃木が先制していたら、この試合は栃木の圧勝になっていたと思う。ところがその7分後、逆に栃木GK原が相手アタッカーを転ばせた反則でPKを取られ、先制を許した。終了間際の西川の決着ゴールまで、焦燥感募る攻防が続くこととなった。
  先制された栃木は、攻撃時にはDF山崎や遠藤が前線に上がってパワープレーを仕掛けた。32分、ゴール左に切れ込んだ山崎が中にグラウンダーのパスを入れ、「いいポジションを取れた。触るだけのボールだった」とFW佐野が右足で押し込んだ。4日前に松本、3日前には横山に赤ちゃんが生まれたので、みんなで揺りかごパフォーマンスだ。盛り上がるなあ…。後半も、風上の栃木は重心を前に置いた。48分の左CKでは、ゴール前で信じられないくらいフリー状態となった山崎がヘディングシュートを外した。53分、今度は右CKをショートで只木につないだ。只木がゴール前に放り込み、吉田がヘディング。ボールはバーにはねて、落ちてきたところを吉田がバイシクルシュートし、遠藤もシュートを狙い…、ボールに先にタッチしたのは佐野。右足の裏で押し込んだ。今度はサポーター直下に走って揺りかごをやった。雰囲気は最高潮。
  ところが60分、仙台は左から本多が切れ込んでファーにクロス。木村がフリーでヘディングシュートを決めて同点だ。まだ時間は30分あり、栃木のペース。高秀、毛利、片野を投入し、足が止まってきた仙台を揺さぶる。前の選手たちの運動量も落ちなかった。これが最後の最後に効いた。89分、高秀からのパスを吉田がGKと競り合った。こぼれたところに西川が猛然とダッシュ。体ごとゴールの中に滑り込んだ。ピッチもスタンドも歓喜の渦となった。
3ゴールとも泥臭かった。チームの出来も今ひとつだったが、それもどこかに吹っ飛んだ。ホーム戦はこれでいい。今は何よりも勝ち点3が必要なのだ。
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by tsc2007 | 2006-05-24 12:03
No.132 仕切り直しだ
f0136083_2143944.jpg 前期第10節のアルテ高崎戦。高橋監督は「がっちり守られるのは分かっていた」と言ったが、昨季までの対戦成績(1勝1分け2敗)から見れば、アウェーで攻め込まれる予想もできた。元北朝鮮代表の金光浩(キム・グァンホ)を監督に迎え、「ホリコシ」のチーム名も市民クラブっぽく変えて、私は「いよいよ北関東のライバル同士になるんだな」と早合点していた。しかし第6節終了後に監督交代があり、浜口和義GKコーチが指揮を執るようになった。チーム状況は良くなかったようだ。当日スタジアムに行ってから、アマラオがケガで欠場することを知った。横浜FCから移籍した大型FW貞富が要注意だったが「これなら、絶対に勝ち点3!」と、またも早合点した。
  試合は0-0の引き分け。勝ち点1。試合後、高橋監督は「引かれた時の駆け引きと揺さぶりができなかった」と負けたような顔をしていた。反対に浜口監督は、シャワーを浴びてさっぱりした直後だったこともあってか、私に「(監督になって)4試合目ですが、チーム状況は良くなってきました。点を取れないが、大崩れすることもない。きょうは守備から入って、前半はウチのペースだったでしょう。後半は盛り返されてタジタジになっちゃいましたけど。でも4位の栃木さんに対して、ここまで戦えたことは評価しています」と笑顔を交えて語った。昨季までのホリコシとずいぶん印象が変わったことに内心驚いた。
  10節までで共通しているのは、10チームすべてが「力では栃木が上」と認識していた点。リーグ戦の編成では、上位チームは新加入や下位チームの順に当たっていく傾向なので、昨季4位の栃木はまだ上位とは当たっていない。だから、これまでの相手チームが守備的に来たのは当然といえば当然。しかしこれからは違う。佐川急便東京、ホンダ、アローズ北陸、YKK APなどとはがっぷり四つの勝負になるだろう。攻撃サッカーの栃木にとっては、守り切られて引き分けるより戦いやすいのではないだろうか。「取りこぼしがあった」と3分け1敗を悔やむ高橋監督も「これからは上位との直接対決。勝って上に行きたい」と仕切り直しだ。
  ところで、アルテ戦は群馬県太田市が会場だったが、栃木県から近いためか、819人の入場者のうち半分以上は栃木側の客だった。サポーターもアルテの3~4倍いて、応援歌で圧倒し、ホームのような感じ。心強い。次のアウェーは5月28日の江戸川(佐川急便東京戦)。栃木からも行ける。その次は6月18 日の富山(アローズ北陸)。ちょっと遠いが、ボンボネーラ栃木が日帰り応援ツアー参加者を募集している。バスで宇都宮市と栃木市から早朝出発する(7000円)。優勝を目指すためにはどうしても倒さなければならない相手。敵地で栃木の力になりたい人は028・634・3343(飯野さん)へ。
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by tsc2007 | 2006-05-17 21:04
No.131 アルテ高崎戦
f0136083_2151584.jpg 前期第10節・アルテ高崎戦は0-0のスコアレスドロー。がっちり守るアルテを栃木が攻めあぐねた。うがった表現をすれば「ホームのアルテがアウェーの戦い方をして、アウェーの栃木がホームの戦い方をした」感じ。今節勝ったロッソ熊本に抜かれて再び5位に後退した。
  序盤の栃木は、右サイドの只木にボールを集めようとしたがマークが厳しく、左サイドに展開するシーンが増えた。左の中川へのチェックも厳しいので、中川の裏にボランチの堀田が開いてカバー。もう一人のボランチ・菊地は前と右サイドを意識した。DFラインにボールを戻して左右をうかがうが、アルテは右に左に栃木のスペースを消す連動した動きで守備のバランスを保った。「両サイドは栃木のいい所。まずはそこをつぶす作戦」(アルテ・浜口和義監督)。さらに「アルテの4バックは上がってこないし、両サイドも下がり気味」(栃木・高橋高監督)という状況で、前半の栃木はシュート2本、CK1本。ほとんど何もできなかった。アルテの思う壺にはまった。
  後半は風上もプラスになってシュート8本、CK8本と攻め立てたが、流れの中から崩せず、リスタートからしかチャンスを見出せない。いつも「僕がパワープレーで前に行かなきゃならない時は良くない時」と言っているDF山崎が何度も相手ゴール前に進出し3本のシュートを放ったがネットを揺らせなかった。75分には右CKからニアの高秀がシュートし、ゴールラインを越えたかに見えたがアルテGK鏑木が両手でかき出しノーゴール。チャンスを逃しているうちに、天敵・斉藤の右サイド攻撃にさらされるなど危ないシーンも。
  0-0の主役は両チームのGKだった。栃木の原は開始直後と終了間際の決定的シュートを防いだ。アルテの鏑木はポジショニングが素晴らしかった。第三者的に見れば、レベルの高い両GKによる引き締まったいい試合だったと言える。原は相変わらず、自らのファインセーブを「まだまだ甘い」と言いながら「横山を中心にした3バックとボランチも含めて、後ろは連係も良く、頑張っている。前(攻撃陣)を信じて、体を張っていくしかありませんよ」と連続無失点に手応えを感じている。
  高橋監督は「がっちり守る相手を揺さぶり切れなかった。チャンスを決められず、逃げられてしまった」とストレスがたまった様子。監督途中交代で4試合目の指揮だったアルテ・浜口監督は「守備から入った。後半は盛り返されたが、上位の栃木に対してこの結果は評価できる」と、チーム状況が上向きであることを確信した。
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by tsc2007 | 2006-05-16 21:05
No.130 横河に快勝
f0136083_2155133.jpg 前期第9節の足利市での横河武蔵野戦は、今季最初の正念場だった。前節に佐川急便大阪に敗れて今季初黒星。ホンダに勝って意気上がる佐川大阪(栃木とアローズ北陸も連破し上位に3連勝)がバランス重視で試合を支配したことが要因だったと思うが、栃木側としてはDF照井やMF只木ら故障者が多く、高橋監督が言い続けている「選手層の厚さ」が試される場面になっていた。
  横河戦のポイントは2つあった。1つ目は3バックの右に、本来の専門家の遠藤を起用したこと。遠藤は、照井の加入によって右アウトサイドに上がった位置での交代起用が増えていたが、やはりこの人がバックラインにいると安心できる。中の横山、左の山崎とのコンビネーションも良かった。2つ目はボランチ菊地の位置。栃木のようなドイス(2人)ボランチの場合、守備役と攻撃役を申し合わせておく場合が多いが、この日の菊地は攻撃役だった。「僕は守備に専念し、菊地とは横よりも縦の関係になったことで中盤がうまく機能したと思う。菊地は前でやるのが好きそうだし」(ボランチ堀田)。菊地も「もともとトップ下なので、前はやりやすい。自信がつきました」と、出場6試合目で周囲とかみ合い始めたことに手応えをつかんだ。
  3バックと中盤の底がうまく行ったことで、いつもに比べてパスのつながりが良く、ポゼッション(ボール保持)とビルドアップ(攻撃の組み立て)がスムーズだった。先制点は24分、左の中川からパスを受けた西川が相手GKのダッシュをかわして蹴り込んだ。51分には、左サイド角度のない所からのFKを「触れば入るような、ゴールに向かうボール」で堀田が直接決めた。横河・古矢武士監督に「あのゴールで試合は決まった」と言わしめた大きな追加点。さらに 62分、山崎のパスから左を突破したFW佐野が強烈な左足シュート。GKが弾いたこぼれ球がファーに詰めていた吉田の前に転がり、吉田はフリーで決めて3点目。69分には、佐野の右からのパスを西川がスルーし、交代出場の片野がダイレクトで決めた。片野は今季初出場でJFL初ゴール。「今シーズンは出遅れていたので、やってやろうと思っていた。流れがいい中に入れて、結果が出せて最高!」。2シーズン目の片野は、自身の新たな出発点と感じた。
  今季最多の4ゴール。流れから見ればあと2点は欲しかったが、無失点だったことはそれ以上に評価できる。横河はエース小林が出場停止で、全体的に動きも連係も悪かった。古矢監督も「後半30分くらいから、次のゲームのことを考えた」と白旗を掲げた。横河の不調を念頭に入れるべきだろうが、「ケガ人が多い中で選手層の厚さがモノを言った」(高橋監督)ことは事実。ただし、正念場の試合を快勝した今こそ、これ以上のケガ人が出ないような態勢を再確認し、選手層の厚さを保ってほしい。強豪との連戦はこれからなのだ。
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by tsc2007 | 2006-05-08 21:05
No.129 今季初黒星
f0136083_2162754.jpg 前期第8節のアウェー戦は佐川急便大阪に1-2で敗れ、今季初黒星を喫した。開始2分、栃木がFKとCKで攻め込んでいたが、相手クリアボールが中盤にいたFW成田への絶好のパスとなった。ドリブル突進から右サイドに開いたボールが、精度の高いクロスとなってゴール前フリーの岡田に渡り、ヘディングシュートで先制を許した。22分には、佐川・西原のドリブルをマークして止めたものの、ルーズボールを成田にゴール正面にパスされ、中野に狙いすまして蹴り込まれた。2失点ともGKの責任ではなく、その前の対応の甘さが原因だった。高橋監督は「ウチのミスにつけ込んで得点に結びつけた」と佐川の抜け目なさを指摘し「ウチは相手のミスにつけ込めなかった」と振り返った。
  そもそも、前半での2失点は大誤算だった。「DF経験者が多かったので失点を食らわずに出来るはずなのに」と高橋監督。照井が左脚負傷で2試合目の欠場だったため、この日の3バックは右・横山、中・山崎、左・高野。ボランチは堀田と菊地、アウトサイドは右に遠藤、左に中川という配置。左で2試合目先発の中川は、攻撃意識が高いのは良かったが、後ろの高野(今季初先発)との連係はどうだったろう。他チームと同様、佐川も「栃木の3バックのサイドが空くところを狙っていた」(中口監督)。高橋監督は「そこを使われても仕方がない」と、システム上のリスクとして割り切っている。だから、ドリブルで持ち込まれた際のボランチの対応、クロスボールを入れられた時のゴール前の対応といった部分が問題になる。
  佐川の戦い方はシンプルだった。両サイドバックがほとんど攻撃参加しなかった。4バックのチームでは今どき珍しい。「ウチは守備から入っている」と中口監督は守りのバランスを重視し「栃木の攻撃は強くて速い。まずは前線の仕掛けにしっかり対応すること」を申し合わせていた。その分、オフェンスでは右の中野、左の西原に成田や岡村が絡んで、少ない人数でかき回してきた。「(佐川は)前節ホンダに勝った自信と、ホームということもあり、気持ちが一つ上回っていた」と高橋監督は唇をかんだ。38分に高秀を入れ、攻撃時には4トップで猛攻に転じたが、栃木がペースを握ったのは後半30分ごろから。山崎が押し込んで1点を返したが、反撃もここまでだった。
会場の鶴見緑地球技場のピッチはデコボコで、雑草と盛り砂まじりの劣悪なコンディション。中2日で試合に臨んだ双方の選手たちが気の毒だ。長居スタジアムで戦ってきた佐川もびっくりだったろう。とりわけ栃木の吉田、堀田、中川、毛利らテクニシャンたちには過酷な条件だった。あそこまでひどいと結果にも影響する。前期に予定されたあと2試合の鶴見緑地会場は変更されている。変更理由は知らないが、この試合も会場を変えて再試合してほしいなあ。
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by tsc2007 | 2006-05-06 21:06
No.128 執念のPK
f0136083_217064.jpg 前期第7節の佐川印刷戦は、開始1分に西川のシュートを相手GKが弾いてこぼれたところを吉田賢太郎が狙いすましてきれいに蹴りこみ先制した。下位チームに対し楽勝かと思われた。しかし、「栃木の3トップの良さをいかに消すか」(松永監督)と臨んだ佐川は、最初の失敗を修正し、栃木の前線へのパスにDFやボランチが執拗に詰めてきた。吉田、西川、佐野がめまぐるしくポジションチェンジしても同じことだった。佐川の最前線では身長190センチのFW森前がターゲットマンとなり、故障の照井を欠く栃木3バックは神経を使った。12分、佐川の右CKをファーサイドにいた身長172センチの山本がヘディングで決め同点。崩された訳ではないが、早い時間帯での痛い失点だった。
開幕以来7戦目で初めて欠場した照井の代わりに、信頼感の高い遠藤が3バックの右に入った。この日の栃木の注目は、左サイドの中川だった。前節にリーグ戦初スタメンで出たポジションはボランチ。高橋監督のサプライズ起用だったが、慣れない位置での45分間のプレーは不本意な結果に終わった。中川はこの日、左サイドの後ろにいる3バック左の山崎とコミュニケーションを密にして守備意識を保ちながら、身上の攻撃センスを発揮。31分に堀田とのパス交換で突破してチャンスになりかけたプレーは鮮やかだった。中川が最も輝くのはプレースキックの時。CKやFKを只木と堀田から完全に任されて、得意の左足でゴール前にボールを供給した。ゲーム感覚が高まれば大きな戦力となるだろう。
一昨年まで栃木に在籍した岸田茂樹が「視野の広さをトライした」(松永監督)とボランチで今季初出場。元佐川印刷のMF西川とのマッチアップは見ごたえがあった。岸田は「栃木は本当に良く走る」と脱帽だった。後半、佐川の時間帯が続いたが栃木が持ちこたえ、問題のシーンが訪れた。86分、なかなか決定的場面を作れないでいたFW佐野が、ゴール左寄りのペナルティエリア角のあたりで倒された。FK獲得。佐野はいい仕事をした。蹴るのは名手・堀田。右効きのフリーキッカーにとっては絶好の位置だ。堀田は眼光鋭くGKの位置を確認した。栃木は横山と菊地を残してゴール前に集結。GKはやや中寄りに構えた。「直接狙いました。壁の上を越えれば入ると思った」(堀田)と鋭くカーブをかけて蹴った。これを佐川の選手がハンドで止めた。PKの判定。今度は只木の出番だ。「この状況で外したら…とすごい緊張でしたよ」。GK左に右足インサイドで蹴り込んだ。終了間際、88分の決勝点だった。FKの堀田は前日に31歳の誕生日を迎えた。同じ31歳の只木とのベテランコンビによる執念のゴール。苦戦の末の薄氷の勝利。それでも勝ち点3は大きい。この日、佐川急便東京とホンダが敗れたため、栃木は5位から3位に浮上した。
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by tsc2007 | 2006-05-01 21:06
No.127 松永戦法に苦戦
f0136083_217367.jpg 前期第7節・佐川印刷戦は、開始1分に先制したのに、12分には追い付かれ、フィニッシュまでが遠い展開になった末に、終了間際のPKで2-1と、薄氷の勝利。好天のゴールデンウイークとなった栃木市総合運動公園陸上競技場には、メーンスタンドに入り切れないほどの観客(公式入場者は1314人)が詰め掛けて地元・栃木SCを応援したが、期待したゴール量産もなく、ハラハラドキドキの90分間となった。
  いまだ勝ち星がなく15位に低迷していた佐川印刷(京都府)を相手に、なぜこれほど苦労したのだろう。その答えは、一言で言えば、佐川・松永英機監督の戦法にあった。松永監督は「栃木の3トップの特徴をどう消していくか」をテーマに臨んだ。3トップとは、1トップの吉田賢太郎と2シャドーの西川、佐野のこと。さらに「ウチの持ち味は、サイドの高い位置に起点を作っての仕掛け」(高橋監督)という栃木の攻撃型を見据え、右・遊佐と左・小林の両サイドバックを攻撃的にすることで栃木のサイドを牽制する作戦を取った。守りながら攻撃している。攻撃しているようで守っている。カウンター狙いとか、ゾーンとかマンツーマンと単純表現できないような、下位チームとは思えない熟達した戦いが見え隠れしていた。「上位の栃木に対し、プラン通りにできた」(松永監督)。それでも栃木が勝ったのは、こちらも佐川攻撃陣の良さを消した栃木守備陣の奮闘に尽きるが、佐川印刷のチーム事情、例えば練習時間が足りないとか、松永戦法の理解度の不足とか、エース町中が出場停止だったといった先方のマイナス要因があったと思われる。そのあたりがもしプラスに転じたら、佐川印刷というチームはまったく侮れないライバルになると感じた。
  松永監督は、ご存じ、ヴェルディ川崎やヴァンフォーレ甲府、ヴィッセル神戸の監督を歴任した人。JFLカテゴリーにいる我々としては、少なくとも永年ヴェルディファンの私個人は、敵軍の将というだけでかなりビビッている。ヴェルディが低迷し、経営が変わったりホーム移転で揺れていた1999年シーズンに監督を務めた。J2に陥落した2005年以前の低迷期8年間で、年間7位という最高の結果を残した。Jリーグカテゴリーで活躍してきた松永監督は開幕前に「JFLはカラフルなチーム構成」と興味を示し、昨シーズン11位のチームを「7位以内にするのが目標」と語っていた。栃木戦終了後は、PKの判定で敗れたこともあって「ゲームが乱れるような所が多くあって、双方ともストレスがたまりやすいゲームだった。JFLがもっといいリーグになるには改善が必要」と口にした。審判への注文のように聞こえたが、それ以上に、JFLのサッカー自体を向上させたい一心から出た言葉だったようにも受け取れた。
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by tsc2007 | 2006-05-01 12:07
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