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No.144 守備の「超集中」
f0136083_20552828.jpg YKK AP戦を3-0と快勝できたいきさつを前回コラムで得点シーンに絞って書いたが、無失点に抑えた守備陣のことにも触れておかなければ片手落ちとなる。
  GK原は前半ロスタイムに、岸田のシュートを横っ跳びで防ぎ、CKからの濱野のヘディングシュートも間一髪、両手で弾いた。失点してもおかしくないピンチを水際で防ぎ、1点リードして前半を終了するという栃木のペースを保った。原は後半ロスタイムにも大西の強烈ミドルシュートをパンチングで弾き出し、無失点試合を完成させた。横山を真ん中にした右・照井、左・山崎の3バック、ラインの前の堀田と久保田の2ボランチもバランスが取れていた。横山は75分の朝日の決定的シュートをスライディングで止めた。
  「集中しろ!」とは、試合中によく飛び交う言葉だが、試合展開が白熱してきたり、試合そのもののレベルが高い場合、集中するだけでは通用しない。「超集中した死に物狂いのプレー」が求められる。YKK戦の栃木DF陣には、それがあった。すでに3点をリードしていた85分に、超集中シーンがあった。YKKが1点を狙って押し込んでいた。シュートの場面で、原や横山ら4人の栃木の選手が相手との激しい接触で一度に倒れ込み、しばらく立ち上がれなかった。まさに体を張ったディフェンス。相手も必死だが、こちらはもっと必死だったことがよく表れたシーン。その奮闘ぶりに胸を熱くしたファンが多かったのではないだろうか。
  試合後の記者会見で「3得点の攻撃と無失点の守備と、どちらを評価するか」という面白い質問を受けた高橋監督は「GK原とDF陣が0(ゼロ)で抑えるという強い気持ちで、最後の最後まで集中を切らさず、よく守り切ってくれた」と守備を勝因に挙げた。「守備と攻撃のバランスに気をつけるように指示した。広がらず、狭くならず、といった点です」とも付け加えた。YKK・楚輪監督は「(首位だったのは)ずっと下位チームと当たってきて、取りこぼしがなかっただけ」と苦笑(謙遜)し、「見ての通りの結果。甘んじて受け入れなければなりません」と、栃木の強さを口にした。
ただ、「長谷川に当てて岸田が決定打という場面があり、失点していたら危なかった。連敗のことが頭をよぎった」(高橋監督)との言葉通り、前半を0点に抑えていなかったら、結果は違っていたかもしれない。いかに守備の集中(超集中)が大切か、選手たちは実感したことだろう。ワールドカップ日本代表がグループリーグ敗退した原因は、オーストラリア戦の1失点目、GK川口が相手スローインをパンチングに行った時に、周りの日本人選手たちの「超集中」が足りなかったことだ。そのほかに、たいした敗因はないと、私は思っている。
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by tsc2007 | 2006-06-29 20:54
No.143 YKK戦3-0
f0136083_20562311.jpg 前期最大のヤマ場と目された第16節のYKK APとの一戦は、直前の2試合で栃木が2連敗、YKKが1分け1敗と、つまづいた者同士の対戦となった。YKK(勝ち点34)は首位キープを目指し、5位・栃木(勝ち点30)は首位との勝ち点差を縮めたい直接対決。栃木は、右太もも肉離れで戦線離脱していた種倉が11試合ぶりに復帰し、左サイドで先発した。ねんざで心配された只木は前節を欠場しただけで、右サイドで先発フル出場した。
  開始2分、栃木が堀田のFKを西川がヘディングで狙い、直後にYKKがエース岸田の惜しいシュートで幕を開けた。一進一退で試合は展開しているように見えたが、フィニッシュまでつながるチャンスは栃木の方が多かった。ボールを支配しているわけではないのに、栃木のリズムだった。33分、右の只木から西川を経て吉田がシュート。GKがこぼしたファーサイドに種倉が詰めていた。「バーすれすれだったけど、入って良かった」と、久々の出場を自ら祝う先制ゴール。只木が起点になり、種倉が決めるという、厚みのあるサイド攻撃だった。その直後に襲った長谷川、ロスタイムの岸田のシュートを防いだのが栃木にとっては大きかった。
  ハーフタイム後の両チームの動きが後半の試合の流れをさらに栃木側に引き寄せた。YKKはボランチの位置でゲームをコントロールしていた星出がベンチに下がった。楚輪博監督によると「体調不良を本人が訴えたため」で、戦術的交代ではなかった。一方、栃木は種倉を高秀に交代した。これは試合前からのルーティン(決まり事)だった。その高秀が63分に負傷交代したのはアクシデントだったが、代わって入った片野が71分、左を深くえぐって「丁寧に枠を狙った」と、相手GKの横をすり抜けるグラウンダーのシュートを決めてダメ押しの3点目。災い転じて福と成した。
  2点目の場面は、ゴールに対する栃木の意欲を象徴していた。47分、中盤で堀田と吉田が粘ってボールをキープ。吉田がドリブルで右に展開し、只木とのパス交換から再び吉田がゴールに向かってドリブル。中に入れたボールを相手DFがクリアミスし、ボールはそのままゴールに向かって転がった。そこに猛然と佐野が走り込んだ。どこに触ったか、佐野本人も思い出せないほどの泥臭いゴール。こういう追加点が後半立ち上がりに生まれたことで、栃木が試合の主導権を握ることができた。試合後の記者会見で高橋高監督は、「ウチは蹴るサッカーではなく、つなぐサッカー」といつもの表現を使ってから「特に後半は、ボール回しが良くできました」と、3-0の快勝劇を振り返った。
  栃木はYKKに勝ち点1差と迫ったが、ホンダ、佐川急便大阪、ロッソ熊本の上位陣がそろって勝ったため、順位は5位のまま次節の前期最終戦を迎えることになった。
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by tsc2007 | 2006-06-28 20:56
No.142 山に例えれば
f0136083_2057743.jpg 早朝のブラジル戦中継を見て、しばらくボーっとしてから、栃木SCの今後のことを考えた。日本サッカーを山に例えれば、日本代表を頂点にして、9合目がJ1、8合目がJ2、国内3部のJFLは7合目。JFLの上位チームとなった栃木SCは、8合目に立ちはだかる岩壁を前に、ザイルやカラビナを準備中だ。8合目でさえ険しい道のりなのだろうな、と思いつつ、W杯リーグ戦敗退した日本代表の戦いぶりを見ていて、山の標高は意外に高くはないのではないか、とにんまりしたり苦笑したり。複雑な心境の6月23日の朝だった。日本代表はしばらく忘れて、決勝トーナメントに注目したい。世界最高峰のW杯は、これからが本番だ。
  栃木SCは前期第14節と第15節で2戦連続逆転負けを喫し、首位YKK APとの勝ち点差は4に開いた。YKK APと同じ勝ち点34でホンダが先頭に並びかけており、両チームとも得失点差で栃木を上回っている。前期首位を奪取するには、残り2戦を2勝することが最低条件だ。YKK AP、ホンダ、佐川急便大阪、ロッソ熊本の上位チームが2~1勝してしまうと険しい。可能性の低さは、どこかブラジル戦を前にした日本代表に似ている。前期首位にこだわるのは、天皇杯のJFLシード枠が今年は1チームだからだ。Jリーグのチームがない栃木県から2チーム出場するウルトラCが、このシード権。昨年は見事首位だったが、さて今年は? 残りのYKK AP戦(直接対決!)とジェフ・クラブ戦に望みがかかっている。
  連敗したからといって悲観することはない。前節は、ここ6試合勝ちがなかったアローズ北陸が、ホーム戦に必勝態勢で臨んできた。力は五分五分だと思うが、ホームチームがその気になって来たら、ビジターチームにとって試合が困難になるのは当然。高橋監督は不在だったが、浅野ヘッドコーチはハーフタイム後に高秀、後半途中で永井と両サイドを補強したし、リードされてからは山崎をトップに上げたパワー攻撃に徹した。打つ手は打った。「選手は良く戦った。私のゲームプランが甘かった」。浅野ヘッドコーチは試合後、憔悴し切った様子だったが、誰が指揮を執っていても、この日のアローズには勝てなかったかもしれない。彼らの、DF川前を底にした堅守と中盤のプレッシングは並大抵ではなかった。調子を落としていたとはいえ、今季14試合終了時点で無失点試合が10試合もあったのが偶然の数字ではないことが、栃木戦で垣間見えた(栃木の無失点試合は4試合)。勝つこともあれば負けることもある。それがリーグ戦。ここは悟ったようなフリをして、気持ちを次に切り替えよう。
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by tsc2007 | 2006-06-23 20:56
No.141 逆転負けで連敗
f0136083_2058873.jpg 上位陣との5連戦を2勝1敗として迎えた前期第15節のアローズ北陸戦は、ドイツW杯で日本代表がクロアチアと戦う日の昼間、富山市の五福公園陸上競技場で行われた。前節、ホームでロッソ熊本に逆転負けを喫した栃木。高橋監督が仕事の都合で帯同できず、浅野ヘッドコーチが指揮を執った。チームを引っ張る只木は練習中の足首ねんざで欠場し、右アウトサイドは片野が先発した。出場停止のDF照井の代わりにベテラン遠藤が3バックの右ストッパーに入った。前半、主に左サイドを使って攻撃を仕掛けるアローズがやや押し気味となった。栃木はパスがつながらず、フィニッシュまでが遠い。20分に正面から片野が思い切り放ったのが初シュート。それでも34分、アタッカー陣が素早い連係からゴールを割った。右サイドから西川が中の吉田につなぎ、吉田が少し戻したところを佐野が右足ダイレクトでシュート。「ちょっとダフった(地面を蹴った)けど、うまく枠に行った」という2試合連続のゴールで先制した。
  ハーフタイム後、浅野ヘッドコーチは早々と左サイドに高秀を投入した。今や「栃木のスピードスター」と言える高秀の起用は「1点を守るのではなく2点目を取りに行くゾ」というメッセージでもある。後半キックオフ前、栃木はいつになく長い円陣を組んだ。何を話していたのだろう。「攻撃的に」「ただし失点はしないゾ」と、そんな感じで、具体的な約束事の確認もしていたのだろう。栃木は後半立ち上がり約10分間で、得点チャンスとなる5本のCKとFKがあった。ここで2点目が欲しかった。
アローズは、高向と小林というフレッシュなカードを切って攻撃姿勢を鮮明にした。形勢は徐々にアローズに傾いた。前の選手ばかりか、DFの谷田や佐藤も栃木ゴールに迫った。63分、スローインからつないで山本がゴール左に振り、松下がヘディングで決めて同点。74分には松下が2枚目のイエローカードを受けて退場。この直後に落とし穴があった。栃木のFKで再開したが、キックミスによってアローズボールに。スローインから山本がドリブルで持ち込み、小林がシュート、こぼれ球を北川がシュート、さらにはね返りを北川が決めて逆転ゴール。「ボールを奪うチャンスはあったのだが…」と浅野ヘッドコーチが悔やんだシーン。栃木守備陣は一瞬動きが止まり、死に物狂いでボールをクリアするような気迫が消えていた。そもそも数的優位になったのに、マイボールのリスタートをミスするような焦りが試合の流れに響いた。2失点目の直後にDF山崎をトップに上げてパワープレーを挑んだが同点は遠く、次節の首位YKK AP戦を前に痛恨の敗戦となった。
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by tsc2007 | 2006-06-20 20:57
No.140 ロッソ・ショック
f0136083_2059245.jpg 「逆転負け」「後半3失点」―ドイツW杯オーストラリア戦の日本代表と同じ負け方をしたロッソ熊本戦の栃木SC。日本代表の敗戦理由にはいろいろな見方があるだろう。私は日本代表と栃木SCの試合を同じくらい重要なものと思っているので、二つの試合がダブって見えた。相手GKのミス絡みによる幸運な得点シーンが似ているし、栃木が食らった52分(米山)と85分(森)のゴールは相手のアグレッシブさに負けたという意味で日本代表の2失点目、3失点目と似ている。
  ロッソの米山と森のシュートは、敵ながら本当にあっぱれだった。とりわけ、両ゴールに絡んだ森のドリブルはJFL離れしていた。池谷友良監督は「森にボールが収まった」ことを試合のポイントに挙げた。「森へのサポートも良かったし、3つ目の動きも良かった。攻撃面は、最近では一番うまくいった。ボールをシンプルに動かすことを目指してきたが、今日やっとできた」。こうなった時のチームは強い。ヴィッセル神戸から移籍した森は、なかなか真価を発揮できずにいたようだが、この試合で並の選手ではないことを証明した。
加えて、私にはロッソの各選手の身体能力が栃木よりも上に見えて仕方がなかった。スリッピーなピッチを物ともせずに、栃木の選手に遠慮なくプレスの嵐を浴びせた。特に前半は、ロッソのファウルチャージによる栃木の直接FKが18本(ロッソは9本)もあり、その激しさを物語っていた。ロッソは言ってみれば「プロ軍団」。多くがJ経験者で、フィジカルトレーニングも日々のコンディション管理も、栃木より充実していると思われる。その差が後半になって出たように感じる。
森がどんなにスゴい選手でも、3失点目は栃木にとって余計だった。84分に決められたPKは、GK原が読みもバッチリ、右に飛んだがわずかに右手の上を抜けた。悔しさいっぱいの原はその数十秒後、信じられないシーンを目にした。「PKの後、ウチらのキックオフだったはずなのに、アレ?何で相手の10番(森)がドリブルして来るの?」と一瞬ぼう然とした。2-1と逆転を許した栃木。残り5分。まずは同点にしなければならない。あせったのだろうか、キックオフ後のボールを森にインターセプトされた。その強力なドリブルに対して、栃木の選手たちは気持ちを守備に切り替えるのが遅れた。数分前に、照井に出されたレッドカードの色が目に焼き付いていたことも栃木守備陣が森を止められなかった伏線だったかもしれない。
日本代表のオーストラリア戦と重なって、思い出したくない試合。ただ、「まだ前半戦も折り返していない。これからが勝負」(高橋高監督)、「リーグ戦が終わった時に一番上にいればいい」(原)。まずはアローズ北陸、YKK APに連勝することで「ロッソ・ショック」を忘れたい。
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by tsc2007 | 2006-06-14 20:58
No.139 ロッソ熊本戦
f0136083_20593957.jpg ロッソ熊本は、一時2位になり前期第13節終了時点で5位。「Jリーグを目指す」という明確な目標を持ってJFLに新加入し、上位チームとの対戦もこなしながら、なかなかの成績を維持していた。ただ前節、流通経済大学を相手にホームで引き分けた結果を見て、栃木がホームで負ける相手ではないだろうと思っていた。試合の後半、それがまったくの楽観だったことに気付かされた。2位に浮上し、いよいよ首位獲りモードに入った栃木は、出場停止から戻った只木を右、好調の高秀を左に配し、いつもの3・6・1でサイド攻撃態勢を取った。ロッソはこれまで、DFの朝比奈と福王の強力ストッパーを軸にした3・5・2のフォーメーションだったが、この試合は4バック(4・4・2)で臨んできた。先発イレブンの実に10選手がJ経験者。この時点で楽観論を引っ込めておくべきだった。
  足利のピッチは鮮やかな緑の良芝だったが、強い雨が降りしきる中でのキックオフ。9分に栃木・吉田とロッソ・熊谷がシュートを打ち合って試合が動き始めた。時間が経つにつれて、ロッソのプレスが予想以上に強いことに気付いた。ロッソが前線からどんどんプレスをかけてきたので、栃木はボールを失い続けた。その分、ロッソの攻撃領域が前目になり、34分には4本のワンタッチパスをつながれて、只木がファウルで止めるのが精一杯というシーンもあった。43 分にはDF横山のフィードをロッソMF関にカットされ、決定的シュートを打たれた。GK原が横っ飛びで防いだものの、ロッソの狙いがはっきりと出た場面だった。楽観論がハーフタイムまで持ち越されたのは、この直後に栃木がFKから先制点を拾ったからだ。久保田が放り込んだFKを照井が競ったボールが後ろに飛んだ。GK飯倉が取り損ね、裏に抜け出したFW佐野は左足で触るだけだった。前半に反撃する間を与えないロスタイムのゴール。
  これが甘かった。「イヤな時間に失点したが、次のプレーをどうするのか、ミスを取り返す気持ちで行くのか、どうか。勝ちたいという気持ち、メンタル的な部分が大きかった。取り返す時間はまだ45分もあった。みんながやってくれた」(ロッソ・池谷友良監督)。ロッソは52分、森がドリブルで持ち込み、左の高橋を経由して、最後は米山が正面から強烈な同点弾を決めた。そのアグレッシブさに栃木はまったく対応出来なかった。この時点で、さしもの私も楽観論を捨てた。「これは、良くて引き分け。このままだと引っくり返される」。ロッソはさらに混戦から市村、壁パスから森がシュート。栃木は、いつも自分たちがやっているような、後半さらに躍動感を増すサッカーをロッソにやられて、防戦気味となった。84分に照井が町田の突進を阻止してPK(熊谷が決め1-2)。そこからの栃木のキックオフを森がインターセプトし真ん中をドリブルで切り裂いて豪快に突き刺し1-3。後半になって雨は小降りになったのに、冷や水をバケツで浴びせられたような、森による3点目だった。
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by tsc2007 | 2006-06-13 20:59
No.138 永井や片野も○
f0136083_2102229.jpg 「ホンダと真っ向勝負して勝ったんですからね。栃木の力はホンモノになってきましたね」。前期第13節の試合終了直後、古くからの栃木SCサポーターが興奮気味に言った。JFLナンバー1の強豪と言っていいホンダFC(浜松市)との対戦成績は過去1勝3分け7敗だった。1勝は昨シーズンのホーム戦。吉見の、あのスーパーシュートによってもたらされた。ただ、ロスタイムに入って失点し2-2と追いつかれた。引き分けでもおかしくなかった。神様・仏様・吉見様!だった。チームの勢いもあった。仙台、愛媛、YKKに3連勝し、その後の前期をすべて勝って9連勝した勢いの真っ只中。4連勝目のホンダ戦は、特に守備陣のクリア意識が徹底されていた。相手の力を上に見ていた表れだ。それが今回は、相撲で言えばがっぷり四つ。押し込まれても何とか踏ん張った。寄り切られたホンダ・吉澤英生監督は「力負けした」と言った。先の栃木SCサポーターがこの言葉を聞いたら、感涙にむせぶだろう。
  この日、一番目立ったのは2ゴールを決めた高秀だったが、高秀と同時に投入されて右サイドに入った永井も持ち前のスピードを生かして前線をかき回し、強烈な2本のシュートでホンダに傾いていた流れを栃木に引き戻す働きをした。永井は今季初出場。地元(足利)出身の期待のアタッカーだが、まだ才能を開花させるまでには至っていない。「逆サイドの高秀が結果を出した。自分にも結果が求められていると思うが、ホンダを相手に納得できる部分はあったしアピールもできた」と、チーム内でのライバル心に火がついた。次のロッソ熊本戦は足利が会場。ぜひ使ってほしい選手だ。3試合連続で先発したボランチ久保田は初のフル出場で「日に日に自信をつけている。守備もボールを運んで散らすプレーもできていた。勝利の陰の立役者」(高橋監督)と株を上げた。
  右アウトサイドで先発した片野も忘れてはいけない。出場停止の只木の代役で、前半だけの出場だったが、ホンダの強力なディフェンス陣に何度も勝負を仕掛け、2人に寄せられても強引に突破したりして、パワーとスピードを発揮した。今の栃木にやや足りない部分だ。4分に放ったシュートは惜しかった。本来は左サイド。もっとプレーを見たい選手の一人だ。
  当日、鈴木則利実行委員から「今年のJFLの天皇杯シード枠は1」であることを聞いた。愛媛が昇格してJ2が増えたことによるもの。前期首位にならなければシード権を得られない。ホンダに勝って2位に浮上した栃木は、首位のYKK APと勝ち点3差。射程圏内だ。今後の対戦は5位・ロッソ熊本(ホーム)、6位・アローズ北陸(アウェー)、1位・YKK AP(ホーム)と続く。昨年に続く天皇杯シードも視野に入ってきた。ドイツ・ワールドカップが6月9日に開幕するが、おらが栃木SCからも、ますます目が離せない。
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by tsc2007 | 2006-06-07 21:00
No.137 ホンダ戦の勝利
f0136083_211192.jpg 優勝候補の一角、ホンダとの対戦は、相手が3トップなので、3バックの栃木はどうするのだろうと心配したファンは多かっただろう。試合が始まると、栃木はいつもの3・6・1。大丈夫かなあ…と思う間もなく、ホームの栃木県グリーンスタジアムに歓声があがった。
  前期第13節は、開始0分に吉田賢太郎のゴールで幕を開けた。左スローインから佐野が吉田につなぎ、吉田は頭でトラップして右足ボレーで決めた。ホンダ相手に幸先のいい立ち上がり。これでホンダが一層前がかりになった。両サイドバックが積極的に上がり、DF向島やボランチの増田、川島啓吾がロングパスを供給。中では10番の関やFW新田らがパスワークを駆使した。FWのダブル鈴木は脅威だった。24分にホンダが真骨頂を見せた。新田、関、桶田が一つの流れの中で次々とシュートを放ったのだ。リズムの中でバイタルエリアがたて続けに生じた。30分ごろまではホンダがボールを支配した。そのカウンター。栃木は38分、DF山崎が相手ボールをインターセプトしオーバーラップ。さらに前を狙って左サイドに預けようとしたがパスミスでボールを失った。それを前線につながれ、フリーの新田が見事なボレーでGK原の上を抜いた。
  1-1の同点で折り返した後半、栃木はサイドの片野と中川に代えて永井と高秀を一度に投入した。「スピードある二人でサイドから仕掛ける作戦」(高橋監督)だ。思い切った采配に、カメラを構える手が震えた。永井がいきなり右を突破してシュートを2発。これで栃木が流れを引き戻した。「相手は前半ハイペースだったから後半は足が止まると思った」という左サイドの高秀は、その言葉通りに自分のスペースが出来て水を得た魚のように動き回り、67分に左CKを山崎がヘディングシュートしたこぼれ球、72分には久保田のミドルシュートがバーにはね返ったのを押し込み2連続ゴール。「前半からのみんなの頑張りが後半に効いてきたんですよ。得点はそのおかげ」と高秀は言った。
  1点リードした直後、増田の決定的シュートを体でブロックした山崎のプレーは大きかった。87分に川島の強烈なシュートを食らって1点差にされ、栃木側の誰もが息をのんだと思うが、ロスタイムを含めて残り5分、あとは時間を使って逃げ切るだけだった。3-2の勝利。試合後の記者会見で高橋監督はホンダの3トップへの対応について「ウチは4バックをやっていないから」と3バックのまま戦った理由を語った。「ウチのスタイルを最後まで押し通しました」という言葉にはフォーメーションのことも含まれていたのだろう。相手に合わせるのではない、言ってみれば、この不器用さがまた面白いではないか。それで強敵ホンダに勝ったのだから。「おごらずに、自分たちのサッカーをしていくだけです」。直接対決を制した栃木がホンダを抜いて2位に浮上した。
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by tsc2007 | 2006-06-06 21:00
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