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No.153 不思議でない●
f0136083_18283452.jpg 佐川印刷戦の後、会う人会う人が決まって「なぜ下位に負けるんでしょうかねえ」と言う。私は「本当に、なぜ栃木は下位チームに苦戦するんでしょう」と相槌を打つしかない。ただ、高橋監督が「JFLは一瞬のスキで流れが変わる」といつも言っているように、下位だ、楽勝だと侮れるチームは一つもない。まして、Jリーグでの指導歴が長い松永英機監督率いる佐川印刷だ。リーグ成績の低迷と一試合の結果は相容れないこともある。松永監督は前期の栃木市での敗戦が悔しくて仕方がなかった。うまく試合を運んで、最低でも1-1の引き分けのはずだったのに、終了間際に栃木にPKを取られて敗れた。この時にはエース町中が出場停止だった。私はその試合を「薄氷の勝利」と表現し、佐川印刷を「マイナス要因がプラスに転じれば、まったく侮れないライバル」と書いた。後期の対戦では、町中が先発し、DF葛野が復帰し、ホーム戦というプラス要因が重なった。我々には見えない部分での向上もあっただろう。敗戦は決して不思議なことではなかったのだ。町中と葛野のゴールで決着したことが、それを象徴している。
  栃木の前3人に仕事をさせない、サイドアタックで栃木の3バックの左右を突く、中盤でのプレスを厳しく行く、セットプレーから得点する……。前期対戦時と同じ狙いを持ち、そこにいくつかのプラス要因を備えた佐川印刷は手ごわかった。栃木の攻撃をフィニッシュさせない(シュートさせない)戦術がズバリ的中した。栃木はフィニッシュまで行かないから、前がかりの途中から相手の攻撃になって、攻守の切り換えに余計なエネルギーを使い続けることになった。これは少なからず、終盤の反撃に影響を与えた。「GKも含めたDF、ボランチ、中盤が相手の動きによく対応して、栃木にやりたいことをさせなかった。守備が良かったので、ゴールに対する気持ちもつながって、いい時間帯での得点になったと思う。前期の借りを返すという強い意識の下、我々のプラン通りの試合ができた」。試合後の松永監督は、確信に満ちた話しぶりだった。
  高橋監督は後半途中、左に茅島、右に北出を投入して勝負に出た。特に、茅島を左サイドの高い位置で起点にしたかった。しかし、「クサビを入れて相手を集中させてから外の茅島を使うような一工夫が足りなかった」と、単調になった組み立てを悔やんだ。CKでは茅島をキッカーに、ショートで堀田につなぎ、ピンポイントのクロスを上げさせる作戦も狙ったが、うまくいかなかった。
  栃木は68分、J2湘南ベルマーレから加入したMF北出勉が初出場した。プレシーズンにひざを故障しリハビリを続けていた。70分には相手が1人少なくなったので右サイドでフリーになることが多かったが、長いリーグ戦に向けていい試運転となった。上位陣との連戦を前に、期待できる戦力が加わった。
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by tsc2007 | 2006-07-27 18:28
No.152 CKから2失点
f0136083_18291698.jpg 後期第3節・佐川印刷戦の1トップは、警告累積が解けた吉田賢太郎ではなく、前節に続いて佐野が起用された。ユーティリティな石川が、西川と2シャドーを組んだ。「前の試合が良かったので」(高橋監督)との理由だった。開始4分に佐川の町中が決定的シュートを放ち、栃木GK原が見事にシャットアウトしたシーンは前回書いたが、その攻撃の起点となったのはオーバーラップした右サイドバックの遊佐。佐川はかなり引いて守っていたが、サイドの縦へのアタックは活発だった。それに比べて栃木は、サイド攻撃を意識してはいるが横パスが多く、ライン裏へのパスは飛び出し役との呼吸が合わない。
  14分、ライン裏に出たボールに、オンサイドにいた佐野が反応。オフサイドを主張する佐川DF陣を置き去りにしてゴール右からシュート。GK新沼がわずかに触って左ポストをかすめた。惜しい場面だったが、公式記録では前半の栃木のシュートはこの1本だけ。趙にブロックされた種倉のシュートや右クロスに合わせた西川のジャンピングボレーはあったが、前半はあまりにもシュートが少な過ぎた。高橋監督は「6~7割はウチがポゼッションしていたのに、これでは優勢になれない」と振り返った。左の種倉、右の只木はよくボールタッチし次への展開を試みたが、佐川の守備陣がボールの動きをよく読んで対応した。とりわけ元栃木所属のボランチ岸田は張り切っていた。19分に種倉が相手ボールを奪って前の久保田につないだシーンでは、岸田はファウル覚悟で久保田をつぶした(イエローカード)。栃木がボールを支配していたが、そのあたりから佐川がカウンターのリズムをつかみ、2度3度と栃木ゴールに近付いた。4度目に大槻と東が右サイドで絡んでCKを得た。萬場が入れたボールを趙が頭で合わせ、こぼれた所を葛野が頭で押し込んだ。41分、佐川は狙い通りの先制点をモノにした。
  栃木は後半アタマから吉田を投入し反撃態勢に入ったが、その5分後に追加点を許した。佐川の右CK。萬場がショートコーナーを入れて中森がリターン。これを再び萬場がゴール前にクロス。町中が高い打点のヘディングシュートを決めた。高橋監督は「1点を追い付けば、茅島と北出で必ず(逆転の)チャンスを作れる」との計算だったが、2点差をつけられて思惑が狂った。それでもまだ時間はたっぷりあった。62分、原がスローで右の只木に回し佐野~久保田とつないでライン裏に出たボールを西川が追った場面で、この試合初めて流れに乗った連動プレーが生まれた。さあ、これから…という70分、佐川・岸田が2枚目のイエローカードを受けて退場。2点リードの佐川に専守防衛の大義名分ができてしまった。残り20分は栃木の攻撃一辺倒になったが、全員で守る佐川の壁にはね返された。0-2の完敗で、5位から7位に後退した。
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by tsc2007 | 2006-07-26 18:29
No.151 試合前からの執念
f0136083_18295362.jpg 後期第3節の佐川印刷―栃木SC戦は、滋賀県守山市の佐川急便守山陸上競技場で行われた。京都府の佐川印刷は、府内の西京極と太陽が丘をホームにしているので、滋賀県はアウェーの感じだそうだ。栃木からは約20人のサポーターが駆け付けたので(佐川側のサポーターは見当たらなかった)、場内は栃木のホームのようだったが、比叡山を西に望む琵琶湖のほとりは、やはり私たち栃木県人にとっては遠いアウェーの地の印象だった。守山高校は井原正巳の出身高。隣町の野洲には、今年の高校選手権優勝の野洲高がある。市内には、Jリーグの補助によるサッカー練習場も最近整備されて、地元ではサッカー熱が高まっているという。栃木SCもここを前日練習に利用した。
  試合が始まる3時間ほど前には夏の日差しが照りつけ始め、気温は32度まで上がっていた。キックオフ前の佐川印刷のウオーミングアップは、試合前とは思えないほど気合が入っていた。松永英機監督は、まるで通常練習のような指導をしていた。片面でアップする栃木SCの高橋高監督は、尋常ではない雰囲気に気付いていた。「何か執念のようなものを感じた。選手たちには、立ち上がりに押されないよう指示した」。松永監督は前期の栃木市での対戦を忘れていなかった。「終了間際にPKによる失点で悔しい負け方をしたあの試合を振り返った時、きょうのホーム戦で何が何でも借りを返そうと思った」。
  14位の佐川印刷と5位の栃木SCの対決。緑のピッチの上にはトンボの群れが飛び交っていたが、試合が始まると両チームの選手たちの緊迫感ある声が空気をつんざいた。開始4分に、この試合の帰趨を左右するような、分水嶺のようなシーンがあった。佐川印刷のカウンター攻撃。右サイドをMF大槻がドリブルし、オーバーラップした右サイドバックの遊佐にパスを通した。遊佐からボールを受けた中のFW町中が強烈なシュート。栃木GK原は横っ跳びのパンチングで難を逃れた。「先制点をどう取るかがポイント」(松永監督)と立ち上がりから執念を見せた佐川印刷。これに対して原がスーパーセーブした栃木。どちらが主導権を握るか、重要なプレーだったと思う。これをきっかけに栃木が流れを引き寄せてもよかったのに、結果から書けば、主導権を握ったのは佐川印刷だった。
栃木は、ポゼッションは高かったがフィニッシュまで行かない。パスは回ってもシュートを打てない。佐川印刷は、元栃木所属のボランチ岸田を筆頭に中盤で執拗なマークを展開した。開始10分くらいから、松永監督の術中にはまっていくイヤな感じを覚えた。2-0で快勝した松永監督は、試合後の私のインタビューに「プラン通りの勝利」と答えた。栃木はなぜ下位チームに完敗したのだろうか。行数が尽きたので、試合内容は次回に。
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by tsc2007 | 2006-07-24 18:29
No.150 鳥取戦の勝利
f0136083_18303065.jpg 後期第2節は、栃木SCとSC鳥取がお互いに攻撃意識を高めて戦ったので、面白い展開のゲームとなった。栃木は吉田賢太郎が警告累積で出場停止なので、佐野が1トップを張った。2列目は西川と石川。石川は本来、左サイドだが、どのエリアでも戦える選手。前節の琉球戦で15試合ぶりに復帰し2試合目だ。サイドは右に只木、左に種倉。ボランチは堀田と久保田。横山主将が統率する3バックは右に照井、左に山崎。GKは全試合フル出場の原。鳥取は3バックを組んできた。2ボランチの3・4・3だが、栃木の1トップ・2シャドーを3トップと見れば同じようなシステム。サイド攻撃を基本にしている点でも同じだった。
  3分に早くも試合が動いた。システムとは関係ないFKからだった。鳥取FW堀が左足で栃木の壁の左隅上を狙って低いボールを落としてきた。原は反応したが届かなかった。その後しばらくは一進一退の攻防が続き、栃木はアタッカー陣を中心に相手ゴールに迫った。38分、久保田のオーバーラップからのクロスボールを石川が頭で押し込み同点。直後の鳥取MF田村のFKで肝を冷やしたが、1-1のまま前半を折り返した。
  後半には見どころがあった。63分に栃木は茅島を左サイドに投入。その直後にボールが茅島に回り、茅島はファーストタッチでクロスボールからCKを得た。右サイドの只木はマークが厳しいので、左サイドを起点に攻める戦術。入ってすぐの茅島を使ったところにチームの意図がよく表れていた。鳥取も65分、DF下松を入れて4バックを形成した。下松は左サイドバックに入り、4・4・2の布陣に変えた。下松はパワープレー要員としても攻撃参加したが、76分に栃木が高さのあるFW金子をトップに投入すると、すかさずマンツーマン態勢に入った。このあたりの両軍の駆け引きは面白かった。その下松が78分、栃木のパス回しに引きずられて、気付いた時には右サイドバックの位置で茅島と対峙していた。茅島は思い切り良く左足一閃。シュートは下松の右足の下を抜けて鳥取ゴールの右サイドネットに吸い込まれた。栃木が駆け引きに勝った瞬間だ。茅島投入から茅島ゴールまでの15分間は、ゾクゾクするような試合展開だった。J2レベルと言っても過言ではなかった。
  このまま終わっていれば2-1で栃木の順当勝ちだった。鳥取は前期対戦時から比べて1ランクアップしたチームになっていた。86分、FKから同点ゴールをねじ込んだ。これは鳥取のパターン。鳥取は今季11試合目の引き分けを目前にした。しかし粘り強さは栃木の方が上だった。後半ロスタイム、久保田が強烈に試合を決着したシーンは前回書いたとおり。感動の余韻はしばらく冷めそうにない。
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by tsc2007 | 2006-07-19 18:30
No.149 久保田の活躍
f0136083_1831127.jpg 後期第2節のSC鳥取戦は、タイムアップ寸前の後半ロスタイム、久保田勳が得意の左足で低い弾道のミドルシュートを突き刺し、3-2で勝った。86分に追い付かれて引き分け濃厚だったが、いつの間にかチームに定着したニューパワーの久保田が、高橋監督から直接「勝ち切るんだゾ」と言われていた指示をきっちりと形で表した。
国士舘大出身の久保田は5月12日付でチームのオフィシャルホームページ上で入団が発表された追加登録選手。前期第5節にボランチの種倉が負傷。その後、5試合は主に新加入の菊地洋平が種倉の穴を埋めたが、前期第11節のソニー仙台戦で初出場。早くも視野の広さや展開力の片鱗を見せた。第12節・佐川急便東京戦では左足ダイレクトの初ゴールで決勝点をマーク。第13節・ホンダ戦では高秀の決勝ゴールの起点となる素早いインターセプトを見せた。5試合のフル出場も果たし、この鳥取戦は9試合目の出場だった。種倉が復帰してからも、堀田とボランチを組んだのは久保田。チームの信頼は厚くなっていた。
鳥取戦の久保田は、決定的仕事を2つやった。ひとつは前半の同点ゴールシーン。1点リードされた栃木は、前半のうちに追いつくことが最低限必要だった。 38分、左寄りのエリアで久保田がボールを持った。鳥取はMF西村がマークについた。久保田は「そのうしろにスペースがあいていた」と、左サイドの種倉とのワンツーでリターンパスを受けて西村をかわしエリア深く侵入。マイナス気味のクロスボールを入れ、ファーサイドで石川がダイビングヘッド。サイド攻撃からの貴重な同点ゴールのアシスト役となった。もうひとつはタイムアップ寸前の決勝ゴール。表示されたロスタイム4分も2分ほど経過。必死の守りを見せる鳥取のクリアボールを久保田が拾った。「左サイドの茅島に出すか、自分で打つか」。高橋監督ならずとも、固唾をのんで見守った瞬間。「まずシュート、次にサイドへのパスの選択肢。相手選手との距離はあった。シュートだ!と思った。落ち着いて蹴り込めた」と久保田。「よく自分で打った。自信を持ったミドルシュートだ」。高橋監督も我を忘れてガッツポーズしたほどの、地をはうような25mの強シュートが鳥取ゴールネットに吸い込まれた。
クラブの新会社を率いる新井賢太郎社長の目の前に、久保田に抱きつく栃木イレブンの輪ができた。梅雨空重く引き分けムードだったスタジアムは一気に歓喜の渦に包まれた。リーグ戦を戦う上で大きな勝ち点3だったが、同時に栃木SCというチームの素晴らしさをアピールできた意味で大きな1勝だった。久保田はたぶん、そこまで深くは考えていないだろうけど、この感動、この興奮が近い将来、必ず私たち栃木県民を元気にしてくれるものなのだ。
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by tsc2007 | 2006-07-18 18:30
No.148 良く守り切った
f0136083_18313861.jpg (第147回続き)琉球戦最大のチャンスは32分すぎ、堀田の右CKを照井が高い打点でヘディングシュートした場面。近くにいた相手DFは小柄だったので高くて速いボールに対応できなかったが、照井には絶好の高さ。フリーでドンピシャリ! 琉球ゴールの左下を襲ったがGK野田がスーパーセービングした。堀田の精度、照井の高さ、野田の反応。ハイレベルなプレーが3つ続いた。直後に前半唯一のピンチがあった。カウンターからの左クロスボールに関が合わせたシーン。高野が関にぴったり体を寄せてシュートさせなかった。今季は出場機会が減った高野だが、ベテランならではの読みの良さを大事な所で発揮した。栃木には前半にもう1度、チャンスがあった。右CKからのルーズボールを種倉がロビング気味に浮かせると、ボールは突風に流されて琉球ゴールのクロスバー角付近に当たった。こんな形でもいいからゴールの内側に転がり込めば、「1点勝負だった」(琉球・与那城ジョージ監督)というこの試合をモノにできたかもしれない。種倉は40分過ぎ、相手との接触で右まぶたの上を6針縫うケガを負い、茅島と交代した。
  エンドが換わった後半は琉球もビッグチャンスを作った。53分に右サイドをDF仲里が突進してクロスボールを入れ、黒田がワンタッチで合わせたシュートは右ポストを直撃してはね返った。56分には藤吉の左隅への低いFKにGK原が反応した裏をブルノに詰められたが、栃木DF陣が間一髪クリアした。ピンチはこれだけだった。そのころには風も弱まってきた。琉球の選手たちはなぜか元気がなくなった。DF陣に対して黒田が必死に声をかけている姿が印象的だった。栃木には、まだ元気があった。60分過ぎには西川のキープから石川がシュート。「狙い過ぎ。力も入り過ぎた」という石川。15試合ぶりのピッチだ、仕方がない。決めていれば、その1発で栃木のファンに「石川裕之」の名前を思い出させることができたはずだし、試合も決まっていただろう。72分には右サイドの遠藤がファーサイドの茅島にクロスを合わせた。「1点取れば勝てる」という遠藤の意思が表れたサイド攻撃だった。「あのシュートが入っていれば…」というシーンが少なくとも栃木に3回、琉球に2回あったが、緊張感を保ったまま90分間の戦いを終了し、0-0で勝ち点1を分け合った。
  「守備は良く対応できていた。前期の対戦でかき回された関と藤吉は、横山と久保田でしっかり抑えることができた」(高橋監督)、「お互いに落ち着いて守れていた。栃木の両サイドの裏を突きたかったが、しっかりした守備によって、そうさせてもらえなかった」(与那城監督)。両チームとも、台風の影響を考えに入れて、守備意識を高めた戦いを貫いた。攻め合った以上に、良く守り切った。
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by tsc2007 | 2006-07-11 18:41
No.147 台風ものかは
f0136083_18321514.jpg 2006年の後期リーグ戦が始まった。第1節は沖縄県北谷(ちゃたん)公園陸上競技場でのFC琉球戦。チームは、日曜日の試合に備えて土曜日に現地入りする予定だったが、強い台風3号が土曜日に沖縄に最接近する予報を受けて、急きょ金曜夜のANA最終便で沖縄入りした。それによって土曜日に、強風と暑さに慣らすトレーニングもできて、コンディション作りは万全と言えた。試合当日は朝から暴風雨だったが、午後には回復する兆しがあったので、スタジアムに集まった運営担当者らは午前11時前、「2時間繰り下げてキックオフ」を決定した。
  結果的に、この決定はとてもいい判断だったと思う。午後3時にキックオフされた前半は強い南風に雨まじりだったが、後半には風雨も小康状態となり、試合を終えて那覇空港に向かうチームのチャーターバスには夏の夕日が当たっていたほどだ。もし延期になっていたら過密スケジュールの中に追加するのは困難だっただけに、FC琉球や審判も含めた関係者すべての人々の努力と天の神様に感謝し、まずは試合が成立したことを喜びたい。
  栃木は警告累積の佐野、体調不良の只木、所用の山崎が遠征に帯同できず、代わりに石川、遠藤、高野が先発した。石川は前期第3節以来、実に15試合ぶりの復帰だ。太ももの違和感も消えて、後期への意欲が高まっていたところだった。実績十分の遠藤と高野は、いつ起用されてもまったく問題ない。
  前半は栃木が風上のエンド。私は攻撃シーンをカメラで狙うので、正面から風雨を受けることになった。若いころ、台風の中のサッカー取材で、ボールが受ける風の影響が想像を絶することを体験しているので、琉球ゴールに向かって吹く風を利用しない戦法はない、と胸の内で叫んでいた。これほどの追い風を受ける45分間はもうないゾ! とピッチに散らばった選手たちを見回した。低いロングシュート(おじさん年代はカノンシュートと呼ぶ)をどんどん打って来い! …しかし彼らは慎重だった。押し気味だったが、決して蹴り込む戦法は取らなかった。「風を利用し過ぎると突き抜けるので、つないでいくように指示した」(高橋監督)ということだった。現代サッカーはスマートだなあ。
  栃木の最初のチャンスは18分。西川が左サイドから中の石川につないだ。石川はゴールを背にしながら、正面に構えていた堀田に回すと、堀田は風も計算に入れたミドルシュートを放った。23分には久保田が左からクロスボールを入れ、相手DFがかぶってクリアしそこなったボールを吉田がボレーで合わせると、ボールはGKを越えたが左ポストに弾かれた。「もしアレが入っていたら…」というシーンは前半、まだまだ続いた。
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by tsc2007 | 2006-07-11 12:32
No.146 只木は奮闘した
f0136083_18325641.jpg 前回、タイムアップ寸前での失点シーンの写真を載せたことを後悔している。思い出したくない場面。ボールを取られた只木が悪いわけではなかったのに…。そういえば、いいこともあった。昨シーズンのホームでのホンダ戦も流通経済大学戦も後半ロスタイムでの決勝ゴールだったではないか! 
ジェフ・クラブは栃木戦の前まで5勝11敗で、引き分けがひとつもなかった。長期リーグ戦では珍しい。そのことを試合後に吉岡英樹監督に問うと「今シーズン初挑戦のJFLだし、我々は若い。引き分け狙いの試合などゼロです。どんな試合でもどんな相手でも勝ちに行くのが我々のスタイル」と言った。失点のリスクばかりか勝敗にさえ拘泥せず、自分たちの攻めの姿勢を崩さない。なかなかいいチームではないか。ルーキーであることや、上のカテゴリー(J1のジェフ千葉)とつながっているという立場上の余裕もあるのだろう。「栃木が自分たちより上位であることを認めた上で、自分たちにできることがあるはず」(吉岡監督)と臨んだ彼らの勝ち点1に拍手を贈りたい。
  最後にボールを失ったことを悔やむ只木だったが、チーム全体の動きが悪い中で、試合の流れを良く読んだ「さすがベテラン」の動きをしていた。前半は右サイドをどんどん上がって攻撃に絡み、ゴール正面から決定的なシュートも放った。後半も積極的に前に出たし、片野が上がった裏を突かれた際には左サイド深くまで走ってカバーした。片野が退場してからは右サイド自陣深くポジショニング。ジェフが右サイド(栃木の左サイド)から崩しにきたので、栃木の3バックは左寄りとなり、相手ボールの時には只木がラインの右に吸収された形で4バックを形成しバランスを取っていた。終盤にジェフはダニロを投入し前線のターゲットにした。一人少ない栃木には厄介な事態となった。後半43分、自陣の右コーナー付近で只木が相手を追い込み、堀田も加わってボールを奪った。いい守備だった。ここまでは良かったのだ。そこからの5分間。高橋監督は「キープ」を指示したが、キープの基本である「相手エンドのコーナー」を意識したプレーに徹することができなかった。これが「魔のロスタイム」となった原因だ。
  栃木が受けた5枚のイエローカードのうち、最初の西川(相手GKと激突)を除けば、ほかの4枚は無駄なカードだった。西川警告に異議を唱えた佐野、笛の後にシュートした吉田(遅延行為)。気持ちは分かるがもったいない。片野のアグレッシブさを私は好きだが、この試合のプレーはちょっと反省点だ。2回とも栃木ゴールから遠いタッチライン際。抜かれたくない気持ちは尊いが、少なくとも2回目の時には気をつけるべきだった。「一人少なくなってからの時間が長過ぎた」。試合後の堀田の一言がすべてを表していた。
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by tsc2007 | 2006-07-05 18:32
No.145 魔のロスタイム
f0136083_18332917.jpg 前期最終節のジェフ・クラブ戦は、後半ロスタイムに同点ゴールを食らって2-2の引き分けに終わった。負けたわけではないから「魔の」という表現は大げさだが、チームもサポーターもその瞬間、負けたような気持ちになった。勝てる相手から確実に勝ち点3を取ることが優勝への必要条件。後期も同じような場面が想定されるので、今のうちに「魔」を使っておきたい。
  ジェフは最年長が26歳の河野太郎主将で、この日の出場登録メンバー16選手の平均年齢は22・1歳と若いチーム(栃木は26・5歳)。プロ選手も含まれているが、トップチーム(ジェフ千葉)のサテライトとシーズン前の練習試合で互角に戦った栃木にとっては必ず勝たなければならない相手だ。それなのに序盤から押され気味。高橋監督も選手も試合後に「内容は良くなかった」と言っていた通り、パスのつながりが悪く、連動性も乏しかった。
  それでもアタッカー陣が光るプレーを見せた。9分、右スローインから只木が前の佐野につなぎ、佐野は丁寧なパスで西川にボールを渡した。「佐野のパスが8割。僕は流し込むだけだった」(西川)という先制点。64分には2トップとなっていた吉田と金子のコンビで2点目を決めた。吉田が右サイド深く、ゴールに向かう得意のドリブルで相手DF2人とGKを引き付けて、ゴール正面の金子にパス。「賢太郎さんのドリブルはすごい。アイコンタクトができて、僕は合わせるだけだった」という金子はJFL初ゴール。
  山を削って急造したようなスタジアムには栃木にとって魔物が棲んでいたのだろうか。1点リードした直後の12分、相手CKのこぼれをつながれ、ゴール前フリーのDF阿達にヘッドで決められた。28分には相手GKとの激突で西川にイエロー。抗議した佐野にイエロー。2分後には笛の後にシュートした吉田にイエロー。西川は腰を痛めて35分に金子と交代。リハビリ明けの種倉に代わって後半投入の片野は相手との接触で53分と69分にイエローを受けて退場。もう散々だった。残り20分、数的不利は運動量で補っていたが、2分のロスタイムもあとわずかとなった時、それまで攻守に献身的な動きを繰り返していた右サイドの只木がボールを失った。中にクロスを入れられ、クリアが中途半端になり、こぼれ球を河野主将に強烈なミドルシュートで決められた。再開キックオフの約30秒後にタイムアップとなった。
  最後の場面、只木は試合後「前に出すべきだった。僕のミス」と、悔しさに顔をしかめた。高橋監督は「ボールを持った只木への周りのサポートができていなかった」と怒り心頭だった。「超集中すべき時」だったロスタイム、栃木の選手たちがボールへの執着を緩めてしまったのは、魔物のせいだろうか。
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by tsc2007 | 2006-07-03 18:33
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