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No.163 真夏の夜の悪夢
f0136083_18215543.jpg ショッキングな逆転負けを喫した8月26日のアルテ高崎戦。敗因を「決定力不足」と言う人は多いだろう。しかし、私は例によってこの言葉は使わない。ノーゴ-ルで敗れたなら仕方ないが、1点取っているのだ。佐野の決定力がスタンドの4000人以上の地元ファンを沸かせた事実は、敗戦によって消えるものではない。1-0はサッカーの基本。最低限のことはやった。それでは、2失点した守備が悪かったのか。PKからの失点と、勝ちに行った裏を突かれた失点。もし、つまらないチームだったら1-1の引き分けで十分だった。2失点目は、栃木が面白いチームであることの証しだ。
  PKを取られた82分(高崎の得点時間は84分)のシーン。栃木からボールを奪った高崎は貞富が右寄りから持ち込みアーリークロスを入れた。ゴールニアサイドのペナルティエリア内に高崎のアタッカー2人が侵入した。ストッパー・横山を越えたボールを、高崎FW浅野が胸トラップしてシュート態勢に移ろうとした。栃木は遠藤と石川がマークに入り、GK原もダッシュする姿勢だった。石川は「相手の胸トラップがうまかった。自分はゴールをカバーしようとした。シュートされても原に当たってくれれば、と思った」と、その瞬間を振り返った。「阻止」の判定で一発退場処分を食らった遠藤は試合後、多くを語らなかったが、故意ではないにしろ脚がからんでしまったことを悔やんだ。
  残り数分。「後ろのバランスを崩さなければ」(高橋監督)と、1人少ないリスクの中、栃木は総攻撃に転じた。ホームの大観衆に勝利をプレゼントしたい。勝ち点1では優勝レースからさらに遠ざかる。ギャンブルというよりは、純粋に勝利を目指す姿勢。2失点目はその結果だ。逆転負けは痛恨だが、最後まで点を取りに行ったチームの姿勢は尊い。
  決定的シュートを何本も外したエースの吉田賢太郎は「この結末は自分の責任」と意気消沈。「相手のタイミングを外して打てたり、振り向きざまのシュートで入ったかなというのが2~3本はあった」と、ピッチ内での感触は悪くはなかった。「決めて来い! と監督に送り出されているのに、その約束を果たせなかった」と、悔しさに顔をゆがめた。高橋監督も「2点目を取れなかったのが分かれ道だった。切り崩してからのフィニッシュもあり、入っていれば勝ち切れたのだが」とぼう然自失。
シュート数は高崎の倍以上の19本。どれも惜しかった。フィニッシュさえ覚束なかった一時期から見れば、高崎戦は上向きだった。少なくとも、4-0で勝ったソニー仙台戦よりも、その点においては上だった。大観衆のホームで、ロスタイムの失点による逆転負けという過去最悪の結末。この「真夏の夜の悪夢」は、次の足利(佐川急便東京戦)で覚まさなければならない。
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by tsc2007 | 2006-08-29 18:21
No.162 高崎に逆転負け
f0136083_18222514.jpg 後期第6節のアルテ高崎戦は、ホームの栃木県グリーンスタジアムに4030人もの観客を迎えて行われた。午後5時のキックオフで、後半はナイター照明の下。気温は25度を下回っており、夏の宵にふさわしいサッカー観戦となった。栃木は前節のソニー仙台戦に大勝した余勢で連勝し、再び優勝レースに復帰する足がかりにしたい試合。今季2度目の監督交代に揺れる高崎は後期6戦を全敗中。大方は栃木の勝利を予想した。
  5分までに吉田と佐野がシュートを放ち、栃木がペースを握った。16分に左CKから西川のヘディングなどで最初のビッグチャンス。25分には堀田がマークをかわしてミドルシュート。28分には吉田が左から切れ込んでシュート。32分には右FKに山崎が頭で合わせたが決まらず。一方、「厳しいゲームになることは想定していた」(石川裕介コーチ)という高崎は、前半は守備意識を徹底した。栃木のピンチは35分と37分のリスタートの場面だけだった。特に 35分の左FKを身長186センチの元横浜FC・貞富にヘディングシュートされたシーンは、栃木GK原が横っ跳びの右手でボールを上に間一髪クリアした。
  前半の残り15分に足が重くなった栃木は後半、「茅島を入れて勝負に出た」(高橋監督)。茅島が左アウトサイドに入り、左の石川が右に回った。ハーフタイムでの監督の厳しい叱咤激励もあって、選手たちは本来の運動量を取り戻した。佐野や吉田のシュート、堀田のFKなど、チャンスが続いた。高崎も、バーをたたいた細貝のミドルシュートや原がかろうじて止めた浅野のドリブルシュートなどで応戦。大観衆のどよめきが緑のピッチを包んだ。
  栃木は65分、佐野がドリブルから高崎DF田尾をフェイントでかわして右足アウトでゴールに流し込み先制した。クラブがサタデーナイトフィーバーと銘打った夜に待望のゴールが生まれ、スタジアムは熱狂に揺れた。その後も吉田や茅島が惜しいシュートを放ち、ゲームは歓喜のクライマックスへと向かうはずだった。82分、貞富が栃木ゴール前のアタッカーにラストパス。トラップした浅野を後ろから遠藤が倒した。笛が鳴った。PK。しかも、遠藤に出されたカードの色は赤だった。PKキッカーは貞富。原は右に跳んだが、シュートはほぼ真ん中を射抜いた。仙台戦と同じような形だったが、原は惜しくもタッチできなかった。同点とされた栃木は、1人少ないリスクを負っても、勝ちに行かなければならなかった。ボクシングのラスト12ラウンド後半の打ち合いの様相となった。ロスタイム、貞富から小川につないだカウンターパスから浅野が持ち込んでシュート。悲鳴の中、決勝失点となるボールが栃木ゴールネットに転がった。
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by tsc2007 | 2006-08-29 12:22
No.161 修正の余地が
f0136083_1823581.jpg 後期第7節・ソニー仙台戦の4ゴールは1.直接フリーキック(堀田)2.フリーキックが抜けた逆サイドからのクロスをヘディング(山崎)3.茅島が倒されたPK(吉田)4.相手DFを振り切ったシュート(池田)。このうち、3・4は2点差を追う仙台がDFを1枚削ってFWを入れ、前がかりになった裏のスペースを突いたもので、2点リードという試合展開がもたらしたと言える。1と2はいずれも個人技と強さが生かされたナイスゴール。どんな形でもゴールはゴール、1点は1点。文句をつける余地はない。ただ、4-0と大勝すると、見る側にも欲が出るもので、パスワークから相手を崩してゴールを奪うようなシーンがなかったことが物足りない。まだまだ連係の面で修正の余地はありそうだ。試合後、吉田賢太郎は「ここのところ、リスタートからやられていたけど、きょうは自分たちがそれをやった。フリーキックやゴール前での強さは一つの打開策だが、(攻撃陣としては)流れから点を取れなければ…。まだ詰めるところはありますね」と冷静だった。
  前期ホンダ戦でPKを失敗した時、「ポストに当てる才能があるのかなぁ」と冗談を言っていた吉田は、その後9試合も得点がなくスランプに陥っていた。「(PKを取った)茅島のアシスト」と、10試合ぶりのゴールに胸をなでおろした。山崎は「最近、点を取っていなかったので」と、会心のダイビングヘッドにスカッとした笑顔だった。右の堀田からのFKにわずかに合わなかったが、そのボールが逆サイドの種倉から戻ってきたところを本能的に反応した。
4点目を決めた池田は70分に西川と交代してピッチに入った。実は試合前、高橋監督に「ゴールを決めないと、次はないゾ」とハッパをかけられていた。78 分、右からの1本目のシュートはGK正面。85分にはフリーでゴールに向かってドリブル。そのまま勝負するかに見えたが、クロスしてきた只木にパスを出してしまい、ボールは強過ぎてアウトになった。只木にはマークがついていたので、只木にパスするふりをして自分で行くべきだった。もしこれで試合が終わったら、本当に池田の立場は危うくなっていただろう。幸いだったのは、仙台の守備陣が押し上げていたことと、それによってラスト5分くらいは相手バックラインがくたくたに疲れていたこと。87分、片野からのパスを受けてライン裏へ単独ドリブル。仙台DF藤倉がついたが、池田はスピードに乗ったドリブルで藤倉をかわし、左足を振り抜いた。「横河戦の機会を生かせなかったので、絶対に決めてやろうと思っていた」という池田は「点を取れたのはよかったが、ミスが多かった。連係も不足していた」とまだまだ満足していない表情だった。次につながる今季初ゴールだったが、池田の試練は続く。
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by tsc2007 | 2006-08-24 18:22
No.160 仙台に4-0
f0136083_18234677.jpg 後期第7節のアウェーのソニー仙台戦は4-0で勝った。後期に入って1勝2分け2敗とエンジンのかかりが悪かったので、やっと吹っ切れた感じ。栃木は金子が2列目で先発。左アウトサイドに国体予選から戻った石川が復帰。ボランチ堀田の相棒は同じベテラン種倉だった。3バックの右には遠藤が入った。仙台も栃木と似たような3・4・3の布陣でスタートした。
  開始1分、仙台は右サイドで大谷のワンタッチパスに花渕が抜け出したが栃木バックラインがオフサイドに引っ掛けた。ホームの相手にリズムをつかませない集中した守備。逆に栃木は5分、吉田がファーストシュートを放ち、攻撃姿勢を見せた。仙台は右サイド深い位置を狙いどころにしてきたので、栃木の左サイドを守る山崎との空中戦のシーンが繰り返された。7対3くらいで山崎が制空権を握った。加えて、石川が持ち味の上下動を発揮し、仙台のサイド攻撃の起点を消す働きをこなした。目立たないが、このようなプレーの積み重ねによって主導権を握れるものだ。
  西川や金子が惜しいシュートを放ち、試合は押し気味。30分、パスを受けた堀田がドリブルを始めると仙台の高野が後ろから倒した。ゴールほぼ正面のペナルティエリアすぐ外でFK。キッカーの堀田は壁6枚の右隅を狙って低い弾道のシュート。GKはほとんど動けず、先制点が決まった。堀田は「GKからボールが見えないように蹴った。前日の練習でもうまく入っていた」と、今季2点目のFKゴールだ。
  追加点は52分。右サイドで相手ボールをインターセプトした種倉が倒されてFK。堀田が入れたボールはゴール前を通過したが、ファーサイドに回っていた種倉がすかさずクロスボールをゴール前に合わすと、待ち構えていた山崎がダイビングヘッドで決めた。種倉の動きの良さに加え、ニアの山崎とファーの金子という、クロスボールに対する前後の位置関係がうまくマッチ。山崎は「いいタイミングでボールが来た」と得意の頭でジャストミートだった。
  2点差となって仙台は猛反撃に出た。直後の高野のミドルシュートはGK原が右へ横っ跳びでパンチング。58分には、横山が相手ドリブルを止めたプレーでPKの判定。高野がPKを蹴ったが、原が左足一本で弾き飛ばした。その後も攻勢をかける仙台に対して、栃木は相手の裏にできたスペースを突いた。81分には左サイドから突進した茅島がエリア内で倒されてPK。これを吉田が決めて3点差。87分には池田が、よれよれになって戻りの遅い仙台DF陣を翻弄し、左からドリブルシュートを蹴り込んだ。4-0でタイムアップ。スコア上は快勝。だが、内容的にはどうだったか…。その話は次回に。
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by tsc2007 | 2006-08-23 18:23
No.159 金子と池田
f0136083_18242223.jpg 後期第5節の横河武蔵野戦。佐野や石川ら主要メンバーの一部が国体要員となった関係で、発表になった「試合メンバー表」の注目は、初先発のFW金子剛と交代選手としてFW登録された池田光忠だった。今季初めて試合登録された池田は昨季、J2水戸ホーリーホックから栃木に加入し、6試合に出場したが、ホームの鳥取戦で1ゴールを決めた以外は目立った活躍もなく、その後はサブチームでの調整に日々を送っていた。
  金子も水戸からの新加入。鹿沼東高からのJリーグ入りで話題になった選手だ。2年前のシーズンに、池田と共に当時は東北2部だったグルージャ盛岡にレンタル移籍し、金子が得点王、池田がアシスト王と活躍し、Jリーグを目指すこのチームを1部昇格させる仕事を果たしてきた。2カテゴリーも下で奮闘した2人が今はJFLのピッチでJを目指している。移籍が頻繁なサッカー界にはそのような縁が多い。吉田賢太郎は京都―水戸。湘南ベルマーレからは照井、西川、北出。気がつけば、栃木SCにもJ経験者が6人いる。Jの舞台でできそうな選手も数人いる。大した補強もしていない愛媛(昨季までJFLで、栃木は互角の戦いをした)が8月6日の国立競技場で東京ヴェルディ1969に4-1で快勝したことを考えると、面倒臭い諸々の条件のことを度外視すれば、栃木SCはすでにJ2レベルの選手層があると言えないこともない。
  さて、金子のプレー。「前を向いた時の突進力が持ち味」(高橋監督)という通り、ドリブルで仕掛けたり、相手DFを競り抜いたりするシーンで片鱗を見せた。相手オウンゴールの場面では、ヘディングパスで只木とのワンツーを成立させた。先発は1年ぶりという本人は試合後、「戦い方は整理して入ったつもりだったけど、まだまだです。ボールを持っていない時の動きの質を高めないと。運動量の多かったこの試合をベースにして、自分としてもチームとしてもレベルアップする段階。ただ、先発できるというのは幸せなことだと感じましたね」と、交代出場だったここ数試合よりは柔和な表情になっていた。
  62分、金子に代わって池田がピッチに入った。吉田、西川との3トップのような形だった。終了間際には茅島のクロスをヘディングシュートしたが惜しくも枠を外した。「練習試合では決めていた形なので悔しい。この1年間は公式戦に出られず、つらい思いをしてきました。コーチに助けられたところもあって、やっと調子が出てきた。きょうはアップしている時から、オレのこと、出せ出せって、心の中で思っていました」。池田はピッチに入る時、緊張した面持ちだったが、本当に気持ちよさそうに弾んだ走りをしていた。
  縁の話のついでに、この試合を宮沢ミシェルさんが視察に来た。高橋監督とは国士舘大でDFラインを組んだ仲。試合後に長らく話し込んでいた。
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by tsc2007 | 2006-08-09 18:24
No.158 後半の攻防
f0136083_1825111.jpg 1回のコラムで1試合を収めたいのだが、ずっと栃木SCの試合を見続けていると、書きたいことが山ほどあって、どうしても1試合2~3本は書いてしまう。私自身は何回分を書いても平気なのだが、せっかく読んでくださる人たちが苦痛だろうなと思って、これでもずいぶんセーブしているつもりだ。横河武蔵野戦のMF西川が最後まで全速力で走っていたことなど、書き出したらそれだけで1回分になるが、ここでは触れずに、横河戦の後半を振り返ってみたい。
  1-1で折り返した後半。横河は「前半は栃木の攻撃への対応でキツかったが、後半は行ける感じはあった」(古矢監督)と、両サイドから速い攻撃を意識。栃木は「只木がベテランのプレーで追いついてくれた。左から勝負」(高橋監督)と切り札・茅島を左サイドに投入した。西川のシュートで始まり、種倉や堀田のミドルシュートや、金子がDFを振り切ってGKと一対一になりかけたりして、栃木はサイドをつなぐ展開からシュートチャンスを作った。守備的な横河はカウンター狙い。栃木の高いDFラインを左右から突破してドリブルで迫りシュートするシーンが何度もあった。栃木GK原は、ほとんどを正面でキャッチした。「やぁやぁ我こそは…」といった戦国武将の一騎討ちのような形が多かったが、勢い良く走り込まれての強シュートを何なく止めた原の冷静なポジショニングは高く評価されるべきだ。
  もし原のナイスセービングがなかったら、7本8本と浴びせられるシュートの1本くらいは栃木ゴールをえぐっていただろう。同様に、横河GK井上にはよく守られてしまった。とりわけ75分に訪れた茅島のシュートの場面は息を呑む一瞬だった。池田からパスを受けた左の茅島は完全にフリーだった。左45度。茅島は左足で渾身のシュートを放った。ゴールのファー側は、スライディングしてきた池上とその裏に寄せてきた本多がコースを切った。シュートはニアに向かった。そこは元コンサドーレ札幌のGK井上の守備範囲だった。井上は両手で強烈なシュートを弾き飛ばした。「決まっていれば、試合も決まっていたはず」と、茅島はこれまで見たこともない悔しそうな顔でその瞬間を振り返った。
右の只木、左の茅島がよく機能し、栃木はビッグチャンスを繰り返した。2連敗中には影をひそめた前線の連動性や全体的な運動量、ここぞの場面に全力で走るガッツ、何とかしようと声を張り上げる精神的スタミナ。いずれも、本来の栃木に戻りつつある印象を受けた。ああ本当に、もっと行数があったら、西川の90 分間+ロスタイムの全力疾走を、この試合を見ていなかった栃木SCのファンたちに伝えたい…。
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by tsc2007 | 2006-08-09 12:24
No.157 失点得点の場面
f0136083_18254154.jpg 後期第5節は夢の島で横河武蔵野と対戦し、1-1で引き分けた。2連敗の後にアウェーで、順位が1つ上の横河から勝ち点1を取ってきたことは良かった。今季2度目の連敗のショックから立ち直るきっかけにしたい。
  栃木はシーズン途中に加入した元J2水戸ホーリーホックのFW金子剛が1トップで、吉田賢太郎と西川が2列目。左・種倉、右・只木、ボランチは堀田と久保田。この布陣に特段の理由はなく、佐野や石川が国体要員となったための若干の変更だ。横河は「前期0-4の大敗は我々にとって今季最悪の結果。あれで栃木に苦手意識を持ってしまった」(古矢武士監督)と、ホームながらまずはがっちり守りを固め、10番・田辺が展開役となってカウンターを狙った。栃木は金子にクサビを入れたり、吉田が下がり気味になって広いエリアを動き回ったりして、いつもと少し違うスタイルだった。いつもと同じなのは、ラストパスがなかなかつながらないことだった。
  23分に横河右CKから本多のヘディングシュートで先制点を許した。課題のリスタート失点だったが、悪い兆候はすでにあった。17分、横河の右クロスに原島がジャンピングボレーでシュートした場面もフリーだったし、失点直前には左CKの連続。キッカーの田辺はニアに入れると次はファーを狙って揺さぶりをかけた。そのCKをしのいでGK原が放ったゴールキック。中央で競ってこぼれたボールは完全フリーの横河MF原島に渡り、FW村山の決定機につながった。これで得たCK、田辺は今度はゴールほぼ正面に入れてきた。栃木のマーカーは2人いたが、本多はうまく前に出てフリーになった。田辺の精度の高さとボールコースの工夫で、栃木は手玉に取られた。
  その後、横河追加点の危機を防いだ栃木は42分、オウンゴールによって同点に追いついた。横河はFWを残してほぼ全員で守っていた。栃木は、左サイド深い位置に入り込んだ吉田がペナルティエリア角付近にいた只木にスルーパス。只木はゴール前の金子に浮き球で合わせた。金子はゴールを背にしたまま頭で右にコントロール。ボールはDFの間を割って走り込んだ只木の足元につながり、只木は左足を強振。ボールは本多の足の下をかすめ、スライディングカットを試みた上野の足に当たってゴールインした。相手守備陣が陣形を整えていた中での堂々の得点だ。ワンツーで決定機をモノにした只木は「シュートを狙いました。角度はなかったけど、打つしかないと思った」と、ちょっと強引でも打てば何かが起こることを身をもってアピールした。
  後半は、栃木が攻め込み、横河がカウンターアタックを仕掛ける展開となった。それが絵に描いたような攻防だったので、栃木と横河の決定的チャンスの数は同じくらいあった。夏の宵のスタンド観戦にはさぞ面白かっただろう。
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by tsc2007 | 2006-08-09 10:25
No.156 悲観していない
f0136083_18262774.jpg 上位陣がホンダとロッソを追って大混戦模様だったので、連敗は本当に痛い。しかし、終わったことを言っても始まらない。まずは悪い流れを断ち切って、夏場を踏ん張って、優勝争いについていかなければならない。チームもファンも、Jリーグ昇格を目指していることを常に忘れずにいたい。連敗すると暗くなりがちで、当コラムもトーンが下がったが、前回書いた「ビールもノドを通らない」というのは一つの言い回しであって、実際には敗戦当日の夜もビールで生き返って、次の横河武蔵野戦に向けて気持ちが高ぶった。
佐川急便大阪戦を多くの人は悲観的に見た。選手たち自身も下を向きがちだった。0-2の結果だから仕方がないが、私はそれほど悲観していない。足が重く、ボールが回らなかった戦いぶりを楽観するわけではないが、良い面を見ようとすれば、たくさんあった。J2湘南ベルマーレから加入した右サイドのスペシャリスト、北出勉が初先発したことは、この時期の好材料だ。貴重な戦力、大事をとって慎重なリハビリを続けてきた。「相手の11番(嶋田)がキーになっていたので、自由にさせないようにした」と守備意識を高めた45分間だったが、「ポジショニングをもっと良くして、前向きにいいサポートをしていきたい」と手応えをつかんだ。北出の登場を一番待ち望んでいた道都大時代の仲間、横山主将は「7年ぶりに一緒のスタメンだった。個人能力が高い選手。心強い」とうれしそうだった。
先発メンバーに左サイド・茅島の名を見た時、高橋監督が動いてきたな、と感じた。茅島は、負傷から復帰した後期は3戦連続で後半投入だった。「相手に読まれているので、最初から使った。体力的にも回復している」と高橋監督は前半から左を起点にした先制点狙い。茅島は「ボールを呼び込むことがうまくできなかった」と反省の弁だったが、明らかに過去3戦よりもプレーのキレは良くなっていた。後半に起用された西川は体力十分で4本のシュートを放った。左からのクロスを山崎が相手DFと競って落としたボールに反応した強烈な右足シュートが惜しかった。
同点、逆転を狙って前がかりになった栃木に対して、佐川はシュートチャンスを多くつくった。公式シュート数は栃木9本、佐川は倍の18本。御給はもう1点取ってもおかしくないくらい決定機があった。栃木のノーゴールは残念だったが、入らない時は入らないものだ。それよりも、佐川の3点目を防ぎ続けた守備陣の踏ん張りを忘れてはいけない。序盤の2失点から、きちんと立て直してきた。31歳の只木と堀田もフル出場で走り続けた。そのへんのところも、あまり悲観していない理由だ。選手個々がコンディションをもう少し上げることで、この日のような結末は回避できると思う。
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by tsc2007 | 2006-08-03 18:26
No.155 最悪のくやしさ
f0136083_182753.jpg 佐川急便大阪だけには負けたくなかった。前期アウェー戦の会場だった大阪・鶴見緑地のピッチが凸凹で雑草まじりで盛り砂がいたる所にあって、佐川は劣悪ピッチを意識したロングボール主体の戦いをし、吉田賢太郎や堀田らテクニシャンが多い栃木は思うようなボール支配ができず、今季初黒星を喫したからだ。良芝の栃木県グリーンスタジアムで決着つけたるで! 
  それなのに…。返り討ちに遭っちゃった。それも0-2の完敗。今季最悪のくやしさだ。外野の私がビールもノドを通らないくらいなのだから、選手やスタッフたちはご飯もノドを通らないくらいくやしいだろう。DF吉崎らに執拗なマークを受けて本来のプレーができなかったエース吉田は試合後、くやし涙を見せた。佐川にリベンジできなかったこと、大勢の子供たちの声援に応えられなかったこと、地元ファンに栃木のサッカーを見せられなかったこと。元Jリーガーの胸に多くの思いが去来したのだろう。吉田は、体はアマチュアチーム所属だが、心は今もプロフェッショナルだ。試合中、何度もファウルまがいのチャージで倒されたが、夏休みでいつもの何倍も入って声援してくれている子供たちを意識して、審判への抗議をほとんどしなかった。期待の大きさと、無得点に抑え込まれた現実。くやしさは人一倍だったろう。
  「15分くらいまでの入り方が悪かった」「もっとしっかりつないでビルドアップしなければ」「中途半端なパス、意図のないパスが多かった」「コンビネーションがうまくいかなかった」「最後の詰めが甘かったのが点を取れない原因」「集中力と危機察知能力を90分間発揮しなければ」試合後の記者会見で高橋監督は反省点を次々口にした。事実、多くのシーンで佐川の方が一歩リードしていた。ボールに対する動き出しが早かったし、パスワークで上回っていたし、ワイドな動きを含めた運動量でも栃木より上だった。コンディションも栃木より良かったように見えた。ただし、いずれも少しの差だった。もう一工夫、もう一頑張りによって克服できるほどの差だったと思う。「どうしたら相手を上回れるか」。暑さも敵になる夏場、試合ごとのプランニングが大切だ。
  初めに書いたピッチのことだが、鶴見緑地は悪過ぎて栃木はつぶされ、県グリーンは日ごろ土の上で練習している栃木の選手たちにとって良過ぎた。試合中、栃木の何人かの選手が足元で不自然にボールを失うシーンがたびたびあった。これをこの試合の敗因とは言わないが、マイナス要因には違いない。一日も早く芝の練習場でトレーニングさせたい。「この程度のサッカーでJは無理」といった言葉を耳にしたが、試合に臨む準備段階でこのチームは大きなハンデキャップを背負っているのだ。遅くとも、J昇格に直接関わる来シーズンは「芝の上での定期練習」を確保させなければ、栃木県の水準が疑われる。
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by tsc2007 | 2006-08-02 18:26
No.154 重過ぎた2失点
f0136083_18274218.jpg 後期第4節はホームの栃木県グリーンスタジアムに2489人もの入場者を迎えた前で、佐川急便大阪に0-2で完敗した。前節に続きノーゴ-ルの連敗だ。試合は午後4時、梅雨明け直前の青空の下で始まった。栃木の最初の見せ場は6分に訪れた。右サイド深く只木がボールをキープすると相手DF2人がサンドに来た。只木は糸を引くようなヒールパスで後ろにサポートしていた北出につないだ。フリーの北出は狙いすましてゴール前やや遠い位置の吉田賢太郎にクロスボールを入れた。ヘディングのボールを走り込んだ佐野が強烈なシュート! 先制…と思いきや直前にファウルを取られ、ノーゴールの判定。その直後のプレーで佐川FW御給が振り向きざまのシュートを栃木ゴールの左サイドネットに放り込んだ。ストッパーの横山主将は、後ろにできたスペースが気になって御給への寄せが甘くなったことを悔やんだ。
  5分後、攻め込んだ佐川右サイドバック吉崎を倒してFKを与えた。中野が栃木の4枚のカベを左に避けてショートパスし、西原が切れ込んでシュートを決め追加点。「2点目が痛かった」という横山は「フリーになった相手を誰もケアできなかった」と、続けざまのダメージだ。「リスタートを違う形で来ることは予想していたのだが」と高橋監督も苦虫をかんだ。栃木にとっては、重過ぎる序盤の2失点だった。栃木はまず1点を返そうと前がかりになったので、佐川はカウンター攻撃態勢で受けた。39分、茅島の左クロスに佐野が飛び込んだチャンスが惜しかった。タイミングは良かったが、少し高く入ったボールは佐川ゴールと佐野の間を抜けて行った。前半2回のビッグチャンスを逃したことが、この試合のすべてだった。6分のが決まっていれば栃木が試合を支配していただろうし、39分のが決まっていれば1点差となって試合の流れは変わっていただろう。前節の佐川印刷戦でまったく連動性がなかった前線が良く立て直してきたのに、本当に惜しかった。
後半、栃木は西川を2列目に入れて只木を右サイドに開き、反撃に出た。佐川は引いた守りからトップの御給をターゲットにしてペースを維持しようとした。栃木はCKやFKからチャンスを作ったが、佐川もどんどんシュートを打ってきて、息詰まる展開が続いた。しかし、パスがつながらないのに加えて「最後の詰めが甘かった」(高橋監督)ことで、栃木は決定機を作っても、逃し続けた。2点ビハインドだったこともあって、栃木がミスするたびに場内をため息が包んだ。夏休み最初のホーム戦。せっかく大勢のファンが見てくれているのに…。私は胸の中で「栃木の攻撃力はこんなもんじゃないんだゾ」「西川のシュート、すごかったのになぁ」などとつぶやきながら、栃木のゴールシーンを祈り続けたが、無得点のままタイムアップを迎えた。
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by tsc2007 | 2006-08-02 12:27
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