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No.169 原が2PK阻止
f0136083_17315066.jpg 天皇杯2回戦・尚美学園大学戦のヒーローは、間違いなくGK原裕晃だ。2本のPKを阻止して2-0の勝利に貢献した。一試合2本シャットアウトは、そうあることではない。それもPK戦の中ではなく、レギュラータイムの中でやってのけたことなのだ。相手キッカーのキックが甘かったことを差し引いても、この連続スーパーセーブは、記録には残らないが、最大級の評価を与えていいビッグプレーだった。
  2本のPKの場面を振り返ってみる。1本目は0-0だった前半19分。PKの伏線は15分のプレーにあった。栃木の左サイド攻撃。種倉がクロスボールを入れて、ファーサイドに走り込んでいた北出がヘディングで合わせた。その直後のプレー。尚美大の左サイド小田がドリブルで栃木ゴールに迫った。マーク役は、オーバーラップ戻りの北出。速さで負けてはいなかったが、たった今、攻撃参加してハイジャンプしたばかりの北出は小田に一歩前に行かれた。ペナルティエリア角付近でGK原との挟み撃ちとなった。北出がバックチャージを取られてイエローカードを食らった。北出と激突した原は、左太もも打撲で4分間立ち上がれなかった。「本当に痛かったんですよ」(原)。PK判定から4分後の尚美大・中山のPK。原は右に跳んで、ズバリ両手で弾き飛ばした。
  2本目は2-0でリードしていた後半ロスタイム。ペナルティエリア内で尚美大・中山の突破を山崎が止めに行ってファウルの判定。今度は荒田が蹴ったが、原はまたも右に跳んでこれを阻んだ。前半の1本目よりシュートは低目に来たが、なぜか原の両手はぴったりとボールに合っていた。
  試合後の原の話。「僕が目立っちゃいけないんですけど…。1本目は、相手が蹴る寸前に左に動いて誘っておいて、右に跳びました。2本目は、しんどかったですね。これは無理だろうな、と。迷いましたね。左に跳んでやろうと思っていたんですけど、ぎりぎりまで我慢して、蹴る瞬間の感じで跳ぼうと思って…。最後、右に跳んだんです。2本止めたのは初めてかなぁ。でも、PKを取られること自体、良くないこと。僕の指示の問題もあって、連係が悪くなったということなんです。相手のシュートゼロを目指したいです。そういうプレーを心がけていきますよ」
  記者会見で高橋監督は「入って当たり前のPKを2本も…。まぐれでは止められませんよ。JFLの意地を見せてくれました。彼は一年一年、精神的に強くなっている。JFLでも三本指に入るGK。チームの中でも信頼されています。ゴールを守るだけでなく、チームを引っ張る存在ですよね」と、原への評価を語った。
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by tsc2007 | 2006-09-27 17:31
No.168 後半に地力
f0136083_17331192.jpg 天皇杯2回戦は9月23日、埼玉県の川越運動公園陸上競技場で、埼玉県代表の尚美学園大学と対戦し、2-0で勝って3回戦に進出した。栃木は大学生のすばしこいプレスに悩まされたが、後半に地力で盛り返し、高秀と茅島のゴールで、サッカーどころ・埼玉のチームを退けた。前半19分と後半ロスタイムに与えたPKをGK原が連続シャットアウトしたのが勝敗のポイントだった。10月8日の3回戦はいよいよJ2チームの登場。栃木は東京ヴェルディ1969と東京・味の素スタジアムで対戦する。
  栃木は正GKの原が先発。ボランチに、アルテ高崎から今季途中加入した山田智也が入った。試合開始直後から、尚美大の右サイド・荒田や左サイド・小田、10番・中山、身長163センチの吉田らに仕掛けられ、栃木イレブンは地に足がつかないような試合運び。特に中盤での学生たちのプレスは予想以上で、激しいボディーコンタクトを繰り返され、中途半端なボール処理につけこまれそうになってバタバタする場面もあった。前半は五分五分の展開で0-0。
後半、右サイドを北出から只木に代えた。さらに山田を下げて茅島を左サイドに投入。左サイドで荒田に手こずっていた種倉は、ボランチに移って精気を取り戻した。前半に比べてパスがつながるようになった栃木は、フィニッシュの頻度も上がった。公式記録には残らなかったが、荒田にミドルシュートを食らった直後の56分に堀田がハーフウェイライン近くからロングシュートを放り込み、これが攻勢に転じる狼煙(のろし)となった。71分、右から吉田が正面に入れたクロスボールに高秀が反応。「吉田さんが(DFをかわして)切り返した時に目が合いました。僕はGKとDFの間に入って行って当てるだけでした」と、ヘディングで先制ゴール。77分には、右寄りをドリブルで上がった種倉からパスを受けた西川のトラップが左に流れた所に茅島が走り込んで左足で強烈に蹴り込み追加点。学生たちの運動量はかなり落ちていたので、これで試合は決まった。
高橋監督は試合後の記者会見で「前半は前線からのプレッシャーがきつかったが、相手のプレスのかけ方が分かったので、後半はボールを動かしてペースをつかんだ。原はPKを2本止めてJFLの意地を見せてくれた。全員サッカーで3回戦に進むことができた」と、順当勝ちに表情も穏やかだった。
90分間走り回り、結果も出した高秀は、ケガから戻って一回り成長した印象だ。後半だけのプレーだった只木はキレ味鋭い動きを随所に見せた。吉田賢太郎は尚美大DF三橋のマンマークに悩まされたが、アシスト役で活躍した。
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by tsc2007 | 2006-09-24 17:32
No.167 やっと追加点
f0136083_17335993.jpg 国内最高のカップ戦、第86回天皇杯全日本サッカー選手権大会が9月17日に開幕した。1回戦から出場の栃木県代表・栃木SCは、ホームの栃木県グリーンスタジアムで佐賀県代表の佐賀大学と対戦。3-0で勝って、9月23日の2回戦に駒を進めた。学生たちの奮闘に気後れしたようで「内容はあまり良くなかった」(高橋監督)が、終了間際に1点を追加して面目を保った。
  栃木は吉田の1トップに高秀と只木の2シャドー、右サイド北出、左サイド茅島。ボランチは堀田と種倉、3バックは山崎、遠藤、照井で、横山主将はベンチだった。GKは県予選決勝と同じく星が務めた。立ち上がりからペースを握る栃木は9分、右の北出から中の種倉、右の吉田がワンタッチでつなぎゴール正面の只木にパス。DFからフリーになっていた只木はイチ・ニ・サンでヘディングシュートを決めた。その後の30分間は「まったりしてしまった」(高橋監督)。36分、ボールを奪われた堀田が猛然と奪い返す意地を見せて、流れを引き戻した。37分には北出のシュートからビッグチャンスを作った。そして41 分、左サイドの茅島からのクロスをファーサイドの北出が折り返し、高秀がヘディングシュートしたがバーにはね返り、再び北出が中の高秀にパス。高秀は右脚でうまくコントロールして相手DFをかわし左足でネットに突き刺した。
  学生相手に楽勝かと思われたが、後半は「20分から攻撃的守備によって打開を狙った」(坂元康成監督)という佐賀大学の新戦法に遭い、サイドに追い込まれたりセカンドボールを拾われるなど、うまくゲームを運べない。交代出場の西川は、75分に右の高秀からの速いクロスにもう一歩、80分には吉田のパスを受けてGKを越すループシュートと、2度の決定機を逃した。トーナメントなので2-0で終わっても構わなかったのだが、カテゴリーが下の相手に後半の追加点なしではJFLの名がすたる(坂元監督は「大きな差は感じなかった」と言った)。ロスタイム。右サイドの只木が長いクロスを吉田に合わせた。「ファーストタッチが素晴らしかった」(只木)というトラップから吉田がゴールに向かい、出てきたGKをかわして右でフリーになって待ち構える佐野につないだ。佐野は誰もいないゴールに左足インサイドでシュート。やっと決まった3点目だが、3人の連係は見事だった。
  試合後のロッカールームでは、スペースを作れなかったことや、相手GKに簡単にボールを確保されていたこと、決めるべき時に決められないことなど、総じて「おまえら甘いゾ」とゲキが飛んだ。2回戦は埼玉県代表の尚美学園大学が相手。また大学生だ。甘く見てはいけない。クレバーな選手が多かった佐賀大学に大いに手こずったのだから。「3回戦でJ2・東京ヴェルディに勝とう」と言う前に、尚美学園大学にきっちり勝つことをまず祈らなければならない。
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by tsc2007 | 2006-09-20 17:33
No.166 よくぞ無失点に
f0136083_17344585.jpg 後期第8節・佐川急便東京戦は、足利市総合運動公園陸上競技場に1516人もの観客を迎えて行われたが、今シーズンで最も暑い気温33度、湿度62%のコンディションは、「走り続けること」を自らに課す選手たちにとって過酷だった。両チームとも前半は活気があったが、後半は脚が重くなった。
  栃木は、警告累積で出場停止の横山主将の所に遠藤、シャドーストライカー西川の所に高秀が入った。中盤右サイドに北出、左サイドに片野が先発した。佐川は得点ランキング1位(19点)の大久保に、竹谷や堀が絡んで序盤から先制点狙いの攻勢に出た。「普通のチームだったらやられていた」と高橋監督は冷や汗ものだった。栃木も13分に佐野が正面からシュートを放ってからリズムを引き寄せた。
  0-0で折り返した後半、栃木は右に只木、左に茅島を投入し、サイド攻撃による勝負に出た。佐川ゴール前での栃木のバイタルシーンが繰り返された。 55分、DFを振り切って放った吉田賢太郎のシュートは右ポストに弾かれ、終了間際の左クロスに只木が正面フリーで詰めたシュートはバーの上。決定機は何度もあったが、ネットを揺らすことはできなかった。
  佐川の大久保は、ゴールを取り急いだためか、シュートシーンでファウルが多く(1度はハンドで警告)、イライラが募ったか、85分にはDFを引き倒して2枚目のイエローを受けて退場処分となった。ここからロスタイム4分を含めた9分間が栃木の勝負どころだったが、決め切れなかった。堀田がセンターサークル付近から放ったロングシュートは面白いアイデアだった。
  0-0の引き分け。高橋監督は「全員が勝つ気持ちで戦った。アグレッシブにゴールを目指すサッカーはできた」と試合内容を評価。とりわけ、大久保封じに成功した守備陣に関して「高さとパワーとスピードを0点に抑えたのは立派。こういう守備ができれば上位とも互角以上に戦える」と、経験とリーダーシップを発揮した遠藤や、守護神としてゴールマウスに立ちはだかったGK原らの働きを賞賛した。佐川は前期第12節の栃木戦に1-2で敗れて以来、12戦して9連勝3引き分けと、今最も勢いに乗った強敵だったのだ。
  ゲームキャプテンを務めた原は「大久保をコワイと感じたのは最初だけ。山崎も照井も勝っていた。得点できなかったのは残念だが、無失点に抑えて勝ち点1を取れたことは良かった。残り9試合、全部勝つつもりでやるだけ」と、いつものように冷静に語った。「完全復活だね」と高橋監督も安心の高秀は、復帰2戦目でフル出場を果たした。「ガンガン走れました。脚のテーピングは予防のためで、ケガへの不安はありません」と、終盤戦の活躍を自らに誓っていた。
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by tsc2007 | 2006-09-12 17:34
No.165 天皇杯出場決定
f0136083_17352728.jpg 天皇杯出場をかけた栃木トヨタカップ第11回栃木県サッカー選手権大会の決勝が9月3日、栃木県グリーンスタジアムで行われ、スーパーシードの栃木SCが日立栃木ウーヴァスポーツクラブを1-0で下して栃木県代表となった。昨年のJFL枠による出場を含めて9年連続の天皇杯出場だ。
  GKは今季リーグ戦で出番がなかった星昭仁が務め、アルテ高崎戦で退場処分を受けたDF遠藤の出場停止で約1か月ぶりに照井が3バックの右に入った。関東2部の日立栃木はFW三輪を軸にした栃木県サッカー界の雄だが、カテゴリーが2ランク上の栃木SCに対し、ラインを上げ気味にしながらも守備を固めて臨んだ。それでもカウンターの機をうかがいながらチャンスを作り、磯や五十嵐、三輪、高木らが際どいシュートを放って栃木ゴールを脅かした。
栃木はこのところ、リーグ戦でも引いて守る相手との戦いが多い。高橋監督は打開策として「揺さぶりを入れる」「遠めからのシュート」を口ぐせにしているが、格下相手でもなかなか思うように行かない。右の只木、左の石川をよく使って攻撃の形を作ろうとするが、日立栃木の守備陣が必死に中へのボールの供給路を断った。慎重な試合運びの栃木は24分に西川、33分に只木のシュートのこぼれ球を佐野と、惜しいシーンを作った。42分、左サイドで西川と石川がキープし、ゴール前に石川がクロスボールを入れた。佐野の裏にコントロールされたクロスはDFも超えて吉田賢太郎にぴったり合い先制ゴール。
後半は栃木が茅島を含め5人の交代枠を全部使って攻勢に出た。そのうちの一人、高秀は前期第16節のYKK AP戦で右ひざを痛めて以来、約2か月ぶりの出場。持ち前のスピードを発揮してライン裏を狙うランニングで仕掛け、大勢のファンをホッとさせた。70分ごろまでは日立栃木が何度かチャンスを作ったが、終盤は栃木が押し返した。結局、1-0で終了。高橋監督は「1-0でいいから勝て、と言っていたらその通りになった。欲がないのかな」と冗談半分に語った。全国切符がかかった一発勝負の試合。僅差に見えるが、アルテ高崎戦のコラムに書いたように、サッカーの基本的(理想的)な勝ち方でもある。決勝点の吉田は試合後「得点差よりも勝つことが大事だった。だから、1-0は一番いい数字ですよ」と言った。その通り。私は貫禄勝ちだったと思う。
日立栃木では、エース三輪は群を抜いた好選手だが、攻守のバランスを考えたプレーのボランチ川瀬、中盤でタメを作って攻撃に変化をつけていた舘沢が目を引いた。
栃木SCの天皇杯本大会は1回戦が佐賀大学(9月17日・グリーンスタジアム)。勝てば2回戦は埼玉・尚美学園大学(9月23日・川越)。これにも勝てば3回戦でJ2の東京ヴェルディ1969(10月8日・味スタ)と当たる。
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by tsc2007 | 2006-09-04 17:35
No.164 子供たちへ
f0136083_1736164.jpg アルテ高崎戦を観戦した子供たちへ

  8月26日には、栃木SCを応援に来てくれて、ありがとう。いつも栃木SCの試合を取材しているおじさん(私)は、スタンドにたくさんのキミたち小学生がいるのを見て、とてもうれしかったよ。
  試合は、キミたちの元気な応援にもかかわらず、負けてしまったね。90分間の試合の中で、65分にフォワードの佐野選手が先制点を決めてリードしたのに、84分とロスタイムに点を取られて逆転負け。タイムアップの笛が鳴った時、きっとキミたちはがっかりしたことだろう。「なあんだ、栃木SCって弱いんだ」と思った子もいたかもしれないね。
  でも、試合を見ていて感じなかったかい? 栃木SCの方がよく攻めていたってこと。エースの吉田賢太郎や佐野や西川がどんどんシュートを打って、只木や石川、堀田や種倉がチャンスを作っていた。横山主将と山崎と遠藤の3人(スリーバックと言うんだよ)は相手の攻撃を止めて、ゴールキーパーの原がピンチを何度も防いだよね。後半入った茅島や金子も頑張ったし、遠藤が退場になってからは高野が代わりをつとめたんだ。高崎の選手たちに負けず、栃木SCの選手たちもよく走っていたよね。
  PKを取られた遠藤は体を張ってチームのピンチを防ごうとしたんだ。レッドカードを出されたのを見て、キミはどう思った? おじさんはね、一番危険な場所に一番先に戻った遠藤に、心の中で拍手したよ。逆転されたのは、栃木SCの選手たちが、何としてもキミたちに勝利をプレゼントしたくて、1点を取りにみんなで前に出ていって、その裏を突かれてしまった結果なんだ。
  キミたちが声援をおくったあの選手たち、緑の芝生の上で繰り広げられたあの試合、ひとつひとつのプレー、一緒に応援した大勢の人々。二度と同じことはないよ。Jリーグに上がる前の栃木SCを見ることができたことも、とても貴重なことなんだ。難しい言葉で「かけがえのない」と言うんだけど、かけがえのない90分間をキミたちは目撃したんだ。キミたちのクラスのみんなが、雨が降っても風が吹いても、学校に毎日集まってくるよね。それも、今をおいては二度とない、ものすごくかけがえのないことなんだよ。
  おじさんは学校の先生ではないから、キミたちに何も教えられないけど、栃木SCの選手たちが見せてくれたような「思うように行かないこともあること」、それでも「目的に向かって頑張ること」「最後まであきらめないこと」「仲間と力を合わせること」の大切さを分かってもらいたいんだ。観戦を終えて帰っていくキミたちの後ろ姿を見ながら、おじさんはそう思ったよ。
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by tsc2007 | 2006-09-01 17:36
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