<   2006年 11月 ( 13 )   > この月の画像一覧
No.189 死力の好ゲーム
f0136083_16524979.jpg 後期第16節のYKK AP戦は、メーンスタンドから富山湾を望む富山県魚津市の魚津桃山運動公園陸上競技場で行われた。栃木は前節・ジェフクラブ戦のヒーロー金子が体調不良のため、代わりに高秀がリーグ戦5試合ぶりにメンバーに入った。栃木は4・5・1、YKKは3・5・2。前半はアウェーの栃木が攻撃の主導権を握った。4分に山田、5分に堀田と、両ボランチのミドルシュートでリズムをつかんだ。只木、久保田、西川と惜しいシュートが続き、28分に先制シーンが生まれた。右サイド深く久保田がキープ。相手DFをフェイントでかわして、ゴール正面に構える吉田にパス。吉田はマークを前にして切り返し、左足でシュートを決めた。この後もサイド攻撃を主体に再三押し込んだが、ホームのYKKも守備のバランスを保ちながらサイドからの切り崩しで対抗した。
  後半、YKKが「1点のハンディを持ったので、1ボランチにして前を厚くした」(楚輪監督)と星出を上げてシフトアップした。両アウトサイドのオーバーラップも活発になった。55分、栃木・吉田のドリブルが大きくなったところを野嶋がカットし右の牛鼻に預けると、牛鼻は一直線に高速ドリブルし、前の岸田につないだ。岸田は素早くゴール前にセンタリング。走り込んでいた長谷川がヘディングで同点ゴールを決めた。「ホットラインにカウンターでやられた」(高橋監督)。その間7~8秒。まさに絵に描いたような速攻。ストライカー岸田の、周りを使う意識の高さも光った。その後も「3バックだけ残し、リスクを持っても2-1にしなければならなかった」(楚輪監督)と7人が連動して攻撃を仕掛けるYKK、懸命に守りながら高秀と永井のスピードで勝ち越しを狙う栃木。73分にはYKK大西の強シュートをGK原が指先で防ぎ、86分には栃木・永井が左から切れ込んでゴール左下を狙ったがGK中川がシャット。残りの 30分は決定的フィニッシュを含めた緊迫した攻防となったが、両GKの好セーブもあって得点シーンは訪れない。栃木はロスタイムにゴール正面20メートルのFKを得て、この日4本のシュートや吉田へのアシストで大活躍だった久保田が左足で狙ったが右に外し、その瞬間にタイムアップとなった。
  勝てばシーズン3位以内の可能性があったYKKの楚輪監督は「何としても勝ち点3がほしかった」と無念そう。4連勝を逃した高橋監督は「守り切れなかった」と失点シーンをくやしがった。両チームとも「勝ち点2の喪失感」に包まれたが、勝利への執念をみなぎらせて死力を尽くした好ゲームだった。
栃木は堀田が足技で、只木が戦う姿勢でベテランの存在感を示し、西川や山田が中堅の働きを発揮。久保田は一段の成長を感じさせた。地元・富山出身の左サイドバック高野が豪快なミドルシュートを放ったのも良かった。
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by tsc2007 | 2006-11-28 16:52
No.188 金子決勝ゴール
f0136083_1785015.jpg 後期第15節のジェフ・クラブ戦は、宮崎でのホンダロック戦から中3日、富山でのYKK AP戦まで中2日という強行日程だったため、エース吉田賢太郎やチームの心臓・只木、ボランチ山田、ライン統率の横山ら主力の一部を休ませて臨んだ。それでもかなりの戦力だ。4バックは左から高野、遠藤、照井、林、ボランチは堀田と種倉、サイドハーフは左に片野、右に久保田、トップ下に本田、1トップが佐野の4・5・1。林が3戦連続の先発だ。先発2試合目の本田もヤル気がみなぎっていた。
  ジェフ・クラブは前節、ロッソ熊本に逆転で3―1の勝利を収め、ロッソのJ2昇格の夢を風前の灯にした。「その時のメンバーが来ていて手ごわいだろうと思っていた」(高橋監督)。試合は地力に勝る栃木のペース。佐野や本田、片野、久保田らがゴールを狙った。28分に最終ライン右の林から左の高野にロングパスが渡り、高野がドリブルで前進して片野につなぎ、最後は久保田がシュートしたシーンは、ワイド感と連動性のあるいい攻撃だった。32分にはバックライン同士のパスミスからジェフFW渡辺にシュートを許し、GK原が間一髪、パンチングで逃れる危ういシーンがあった。その直後、相手パスを種倉が出足よくインターセプトして佐野の突破につなげた。ジェフに傾きそうな流れを引き戻す重要なプレーだった。
  0-0で折り返した後半、栃木は永井や茅島で勝負に出る作戦だった。52分、アップしていた永井が呼ばれた。ベンチでユニホームに着替え、さあ交代というところで、交代相手の片野が先制点を決めた。右からの久保田のセンタリングに頭で合わせた。「ゴール前だったので、先にさわろうと思い切って突っ込んだ」という片野。流通経済大学戦に続きゲームキャプテンを務め「自分のプレーでチームを引っ張れれば、と思っていた」と役割を果たした。
  興奮さめやらぬ場内に、片野に代わって永井がコールされた。盛り上げ効果は抜群だ。永井は左サイドから何度もドリブルで仕掛け、スタンドを沸かせた。このまま1-0で終わればよかったのだが、83分に予測しなかった事故が起きた。ジェフのクロスボールがそのままゴールインしてしまったのだ。これで同点。栃木のプランが崩れた。ホーム戦勝利を目指す高橋監督が「ラスト5分、もう1枚のカードは金子だった」と87分に送り出した金子は、電光掲示板が90 分を示したその時、決勝ゴールを突き刺した。右からの永井の浮き球パスを久保田がヘッドで落とし、フリーの金子が左足ボレーで決めた。「ボールを持って前を向いた時は強い」(高橋監督)という金子は「いつも以上に点を取りたい意識は強かった」と、少ない時間の中で結果を出し、前期の同カードに次ぐ2得点目。これが、ホームゲーム6試合ぶりの勝利を呼び込んだ。
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by tsc2007 | 2006-11-24 17:09
No.1873戦連続失点0
f0136083_1710332.jpg 後期第14節はアウェーの宮崎で最下位・ホンダロックとの対戦。昨年の天皇杯で痛い目に遭ったし、前期は0-0で引き分けてロケットダッシュにブレーキをかけられた相手。栃木は前節うまく行った4・5・1の布陣で臨んだ。4バックは1試合休養した横山、山崎、高野に加え、前節に初先発フル出場した林が右サイドバックで起用された。
  試合はいきなり開始1分、その林のエリアを突かれ、ロックFW水永のシュートを浴びて始まった。サイドネットを揺らした危機は栃木守備陣の気を引き締める効果があったようで、この後は南の直接FK(壁の左を巻いて枠をとらえたがGK原がキャッチ)以外、ロックにチャンスを作らせず、次の決定的シーンは後半ロスタイム残り1分の水永のヘディングという、実に不思議な試合となった。
  栃木も24分に左サイドバックの高野がドリブルで迫って正面からミドルを放ったのがファーストシュート。堀田のFKや吉田のポスト直撃が惜しかったが0-0で前半を終了した。後半10分過ぎ、高橋監督は「プラン通り」と左に茅島、右に永井を同時投入した。25歳サイド・スペシャルコンビの札を切ったことによって栃木がペースアップ。その5分後の62分、山田からパスを受けた永井が右からゴール正面の吉田にクロスボールを合わせ、吉田が「ほしいタイミングでいい球が入った」とイメージぴったりのヘディグンシュートでロックゴールの鍵をこじ開けた。吉田はリーグ戦では後期第7節のPK以来7試合ぶりの得点。
  3試合連続の無失点で1-0の勝利に、高橋監督は「守備陣だけでなく、只木や北出、あとから入った永井や茅島らが高い位置から守ってくれて、ボールの出どころを抑えていた。水永が厄介だったがペナルティエリア内では勝負させなかった」と守備がうまく行ったことで明るい表情だった。横山主将も「エスパルス戦の6失点以後、みんなの守備意識が高まった」と、4バックと前線との守備の連動性に好感触だ。目立たないが、「バランスに気をつけている」というボランチ山田のポジショニングも効いている。
  堅守のほかにもう一つ、永井の存在がポイントだった。ロックの松山浩司監督は「警戒していたが一瞬でやられてしまった」と脱帽だ。高橋監督も「分かっていても守れない」とニンマリ。79分に茅島とのコンビで見せたプレーは特筆モノだった。茅島が左サイドでパスを受けてドリブルを開始。緩い角度で中へ中へと進み、右サイドからクロスしてきた永井とボールの受け渡し。永井は得意の左足で強烈なシュートを放った。新兵器のお披露目のような、観客の目をクギ付けにしたシーンだった。
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by tsc2007 | 2006-11-21 17:09
No.186 初出場組も活躍
f0136083_1711693.jpg 流通経済大学戦は、相手が格下だからではなく、日曜日のFC刈谷戦から中2日、次節の宮崎でのホンダロック戦まで移動日を含め中3日という強行日程だったため、主力の半分を入れ替えて臨んだ。初スタメンのFW本田とDF林、今季リーグ戦初先発のGK星、交代で初出場のGK井野、リーグ戦5試合ぶりスタメンのDF片野。堀田や遠藤らベテラン色の中にフレッシュ感を醸す4・4・2(本田がトップ下なので4・5・1とも言える)のフォーメーションだ。よく守って、狙い通りに永井のゴールで勝った高橋監督は「層の厚さがモノを言った」と満足顔だった。
  本田は1トップの佐野との前線コンビで、2回の決定的シュートを含め、センスの良さを垣間見せた。「点を取りたかった」と初スタメンに燃えていた本田は「有効なドリブルで仕掛け、DFを引き付けてキラーパス」と自己アピール。いつ起用されても大丈夫そうだ。前半25分のGK星の負傷退場は大きなアクシデントだったが、代わってピッチに走り出た井野は使命感の塊だった。廃部となったジヤトコ(静岡県)から移籍して3年目で公式戦初めての出場だ。JFL屈指のGK原が安定しており、控えの星も能力が高く、ずっと第3GKに甘んじていた。井野は「絶好のチャンス」と武者震いしながらも「絶対にゼロに抑えるゾ」と自分に言い聞かせながらプレー。後半、左からのクロスボールを取り損なって危なっかしい場面があったが、それ以外はしっかり対処できていた。Bチームで試合勘は保っていたが「やっぱり公式戦は違う。試合に出ることでレベルアップできると思うし、この試合でさらに一歩前に進めた気がします」。試合後、チームメートやコーチにねぎらわれて、いい笑顔を見せた。
  4シーズン目の林は、初スタメン・フル出場に大きな自信を得た。試合前は「緊張した」というが、右サイドバックとしてきっちりと守備をこなし、オーバーラップのタイミングも悪くなかった。28分の高い位置からの鋭いクロスボールは本田のシュートにつながった。山崎や照井の高さ、横山のラインコントロール、遠藤や高野の読み。実力者ぞろいの栃木DF陣にあって、林はスピードあるディフェンダーとして誰にも負けないストロングポイントを持っている。「試合に出るために(サッカー王国の)埼玉から来たので、ずっと自分が歯がゆかった」とベンチにも入れなかった時期のことを振り返り、「きょうが僕にとっての始まり」と1-0の勝利に貢献できた記念すべき90分間をかみしめた。その林の耳に、スタンドから「ハヤシ! ハヤシ!」のコールが聞こえてきた。水曜日の午後にもかかわらず約40人ものサポーターがかけつけていた。ヒーローの永井、初出場のGK井野に続き、ひたむきに走り続けた林に贈る賞賛だった。サポーターたちの前に走って両手でこたえた林の目に涙があふれ出た。
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by tsc2007 | 2006-11-16 17:10
No.185 永井決勝ゴール
f0136083_1712987.jpg 後期第12節・流通経済大学戦は、栃木SCが天皇杯4回戦を戦うために延期となった試合。刈谷戦から中2日の強行スケジュールのため、主力の半分を休ませた。刈谷戦で3バックがうまく行かなかったので、4バックで臨んだ。GKは星。4バックは右から林、照井、遠藤、片野。ボランチは堀田と種倉、サイドハーフは右に北出、左に久保田。佐野と本田の2トップ。本田が下がり気味なので4・5・1の形だった。関東大学リーグ1部で初優勝を狙っている最中の流経大は、この試合に元栃木SCのFW難波やJ1に内定しているMF船山祐二らほぼベストメンバーで臨んできた。
  栃木は「前半はしっかり4バックを組んで簡単には崩させないようにして、後半に永井で勝負」(高橋監督)の狙いだった。立ち上がりから学生たちがパスをつなぎ、セカンドボールへの出足も良く、ボール保持は栃木を上回った。これに対して栃木は「ラインを下げてGKと連係し、裏のスペースに入られないようにした」(同)。加えて両サイドの北出と久保田が前への意識を高め、特に北出は前半だけで3度もゴール正面でヘディングシュートを放った。本田は15分のドリブルシュート、28分の林のパスから反転して放ったシュートが惜しかった。20分過ぎ、栃木にアクシデントが起きた。難波の突進を勇気あるダッシュで止めに行ったGK星が激突し、一度はプレー再開したが、右ひざじん帯を痛めており、25分に担架に乗ってピッチを去った。代わって第3GKの井野が残り 65分間、ゴールマウスを守った。
  後半は栃木が佐野や久保田のシュートで押し気味になった。60分には相手ゴールキックを照井がヘッドではね返したボールが佐野へのパスとなり、フィニッシュまで行った。63分、高橋監督は北出に代えて永井を「ドリブルでチャンスを作り、自分でも点を取って来い」と送り出した。永井は左サイドに構え、久保田は右に移った。永井のラッシュが始まった。ペナルティエリア内に果敢に仕掛け、相手ゴールを脅かした。83分、この試合のクライマックスが訪れた。右サイドから佐野につながり、佐野は相手DFを引きつけながら中央の永井に速いパス。フリーでいた永井は猛然とゴールに向かってドリブルし、武井(国学院栃木高出)がチャージに来たが、左足で渾身のシュートを放つと、ボールはゴール右奥のネットに突き刺さった。「中に行ってミスしていたので迷いかけていた時に、佐野さんからいいボールが来て、タテに行ってうまくいった。シュートのコースはよく覚えていません」。天皇杯エスパルス戦でゴールを決めて注目選手となった永井は、意外なことにこれが入団3年目でリーグ戦初ゴール。「勝ち試合での1点。うれしいです」と実感を込めた。描いていたプランが完結した高橋監督は「ロッソ戦勝利に次ぐナイスゲーム!」と相好を崩した。
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by tsc2007 | 2006-11-15 17:11
No.184 刈谷と引き分け
f0136083_1713597.jpg 後期第13節のFC刈谷戦は、6試合ぶりに3バックの3・6・1でスタートした。清水エスパルスから20分間で4ゴールを奪った得意の攻撃フォーメーションだ。アウトサイドは右に北出、左に茅島が先発した。刈谷は5分までに3本のシュート。栃木は8分にCKのこぼれを吉田がシュートしたが、11分には刈谷の加藤に混戦からあわやのシュートを浴びた。さらに15分の右サイドバック原賀、16分の加藤のFKと刈谷は序盤を支配した。栃木もFKのクリアボールを高野が連続してシュートしたり、右サイドの北出がマークをかわしてつないだパスから只木がドリブルシュートしたが決まらない。39分には流れるようなパスワークから刈谷・加藤が正面から放ったシュートを高野が間一髪ブロックして事無きを得た。
  スコアレスで迎えた後半、栃木は遠藤を入れて4バックに変更した。変更の順番がエスパルス戦と逆だったので戸惑ったが、ついに攻撃的4バックをやるのか、との期待もあった。4バックはサイドバックのオーバーラップ(ロベルト・カルロスのような)が攻撃に加算される分、攻撃的システムと見るのが一般的。栃木の場合、加算するほど攻撃参加しないので守備的4バックだ。試合後の記者会見でもこの変更について質問が出て、高橋監督は「カウンターでサイドを突かれて分が悪かったので後半は4バックにした」と言った。後半、サイドバックが前の選手を追い越して最前線まで進出したのは、栃木はリスタート時を除けば1回だけ(48分の高野)。それに比べて刈谷は原賀と社本が何度もタッチライン際を深くえぐった。
  後半は栃木がポゼッションを高め、何度もチャンスを作った。57分、茅島を下げて永井を入れた。また戸惑った。エスパルス戦ではこの二人を投入して鮮烈な攻撃に結びつけた。右の只木がノリノリだったし、ノリ(西川)も期待が大きく代えづらいのでこの選択になったのかもしれないが、茅島と永井の両サイドコンビを地元ファンに見せてほしかった。永井は「みんながボールを集めてくれて、どんどん行け! という感じだった。サポーターが沸くのも感じていた」とパワフルに仕掛けたがゴールにはつながらなかった。75分には池田も投入して1点を狙ったが、0-0のスコアレスドローに終わった。
  高橋監督は「リスタートで取れなかったのが痛かった」と勝ち点1に不満そう。刈谷・安原監督は「堀田からのパスがこわかったので、その出どころをしっかりケアした。サイドの裏を突くため、速い選手を一気に2人入れた」と、ゲームコントロールに手応えを感じた様子だった。「刈谷は最後まで集中して体を張った」(高橋監督)というように、守りの要の浮氣と吉田を出場停止で欠きながら、刈谷DF陣は結束して栃木の猛攻を防いだ。とりわけ危険地帯を献身的にケアした原賀の働きは敵ながら見事だった。
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by tsc2007 | 2006-11-14 17:12
No.183 エスパルス戦 4
f0136083_17135139.jpg 試合後のインタビュー室で栃木・高橋監督は開口一番「いいピッチで、J1で戦っているエスパルスと公式試合ができたことをうれしく思う」と正直な感想を語った。「いつもより守備開始ラインを低くして、相手にボール回しをさせても決定打を作らせない作戦。前半はうまくいっていた。注意していたリスタートで分が悪かった。キッカーの精度の高さとゴール前の強さ。うちのDFも耐え切れなかった。そのあたりがJ1とJFLの違い」と淡々と振り返った。ポイントとなった左サイドに関しては「オーバーラップする市川を只木が牽制しながら、後半に体力が消耗したところで、スピードある永井で勝負に出た」と、茅島も投入した左サイド波状攻撃に手応え十分の様子。「選手は最後まであきらめないで頑張ったがJ1の壁は高くて厚く、破ることは難しかった。でもJを目指すチームとしてはいい経験ができた」として「この試合は我々に大きな力を与えてくれた。残り6試合に集中して上位に食い込み、来年勝負したい」とJ2昇格への決意で締めくくった。
  清水・長谷川健太監督は「勝ちに飢えていたしホームで負けられないので、勝ったことは収穫だが、4失点は反省しなければ」と苦い表情。失点については「栃木が捨て身でゴールを狙ってきた」ことにつけ加えて今季公式戦初出場のDF岩下の名を挙げ「青山が精神的・肉体的に疲れているところで出てこないとプラスにならない。足がつっていたのは分かっていたが、自分からダメと言うまでは代えるつもりはなかった。そこからやられてしまったが、岩下が成長してくれれば、この4失点は決してマイナスではない」とフル出場させた理由を語った。栃木については「最後まで一丸となって戦う姿勢が試合を分からなくした。ここまで苦しめられるとは思わなかった。栃木の頑張りは見習うべきだ」と言った後、「しっかりとプロの厳しさを相手に教えられなかったのは非常に残念」と、いら立ちまじりだった。
  清水にとっては20歳の岩下や22歳の矢島、20歳の岡崎、19歳の財津といった若手を試す試合でもあった。対する栃木はトップギア。その結果の4-6という数字をどうとらえるか。人それぞれだろうが、高く評価する人がほとんどだろう。私にも「エスパルスから4点も取ったのはすごいね」と誰もが言う。同感だ。ただ、私が残念なのは最後の失点シーン。FKで清水が栃木ゴール前に3人構えたのに対し栃木は4人しかいなかった。1人多ければOKとかマンツーマンだからとか疲労困ぱいだったとか、理由はあるにせよ、ゴール前に放り込まれるFKに(2カテゴリーの差を考えれば)人数が足りなかった。結果論ながら、これがなければ4-5の1点差。数字の意味は少し違っていた。この1点こそ、清水が栃木に示した「プロの厳しさ」ではなかったかと思う。
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by tsc2007 | 2006-11-10 17:13
No.182 エスパルス戦 3
f0136083_17144659.jpg 後半開始1分で栃木・吉田、清水・矢島のヘディングシュートがあり、10分もすると清水が攻撃の圧力を強めてきた。55分にはマルキーニョスがゴール前で粘り、シュートは山崎がブロック。58分には吉田が右から決定的シュート。「GKのワキの下を狙ったけど足の踏み込みが足りずに浮いてしまった」(吉田)とGK正面へ。その1分後、ついに均衡が破れた。清水の右CK、藤本のニアへのボールを中から抜けてフリーになった矢島がヘディングで合わせた。
  格上を相手にした栃木にとっては痛い失点。ここで高橋監督は西川に代えて左サイドに売り出し中の永井を投入した。永井がドリブルからロングシュートを見舞った直後の68分、マルキーニョスのパスを藤本が蹴り込んで0-2。形勢は清水勝利へと大きく傾いた。ゴールラッシュが始まった。72分にマルキーニョスが山崎を正面にして右足でゴール右上にコントロールし0-3。ここで栃木はDF照井に代えてFW佐野を入れ、3バックに変更した。現在の常識的サッカーとは少し違って、栃木の場合は「守備的4バック・攻撃的3バック」が目安。つまり栃木は攻撃モードに切り換えたということだ。
清水の猛威は止まらない。73分、縦パスに抜け出した矢島がGK原をかわして0-4。栃木は堰が切れたように5分間で3失点した。しかし清水のワンサイドにはならなかった。75分、左から永井が低い弾丸シュートを放ち、GKが弾いたボールに吉田が反応。そのこぼれ球を只木が左足で突き刺し1-4。80分には左サイドで只木が絶妙のヒールパスを永井につなぎ、速いクロスボールに吉田が倒れ込みながらヘディングシュートを決めた。2-4になった時点で栃木は久保田に代えて、左に茅島を起用し、永井は右に移った。「前に出る勢いはまだあった。両サイドのスピードある二人で一気にゴールを狙う作戦」(高橋監督)だった。総攻撃態勢に入った矢先の84分、藤本にやられて2-5。87分には茅島が左からクロス気味のシュートを決めて3-5。88分にはFKをマルキーニョスが頭で3-6。バスケットボールのように、両エンドで得点シーンが繰り返された。清水は3人の交代枠をすべてFWに使い、若手の岡崎や財津を試した。栃木にここまで点を取られるとは思っていなかったのだろう。ロスタイムには、アグレッシブな動きでピッチ上一番目立っていた永井が左からの茅島の鋭いクロスにジャンプして右足で合わせた。
4-6でタイムアップした時、清水サポーターからは、6得点よりも4失点を非難するブーイングが沸き起こった。その反動か、栃木の6失点より4得点への賞賛が試合後のスタジアムを包んだ。オレンジ色のサポーターたちが送り続けた「栃木SC!」のエールがすべてを物語っていた。サッカー王国に住む彼らにも、栃木のチームとサポーターは予想以上の印象を残したに違いない。
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by tsc2007 | 2006-11-09 17:14
No.181 エスパルス戦 2
f0136083_17154446.jpg 清水エスパルスは韓国代表のFWチョ・ジェジンと日本代表のDF青山をメンバーから外してきた。代わりに22歳ルーキーのFW矢島と20歳のDF岩下を起用した。結果的に若いこの二人が清水側の試合のポイントになった。矢島は先制点を含む2ゴールを決めて、岩下は栃木にゴール量産を許す一因として。一方、栃木は左サイドのスピードスター高秀がアローズ戦で左太ももに軽い肉離れを起こし安静状態のため欠場。その左サイドへの戦力注入がポイントとなった。先発の只木、後半投入の永井、その永井を右に回して茅島。元日本代表・市川との対面サイドが激戦地となり、ここを起点に栃木の驚異の4ゴールが生まれた。
  清水は4・4・2。GK西部、4バックは右から市川、岩下、高木、山西、ボランチは伊東、中盤右サイドに高木純、左に藤本、トップ下が枝村、2トップはマルキーニョスと矢島の先発。栃木も4・4・2。GK原、4バックは右から照井、山崎、横山、高野、ボランチは堀田と山田、サイドは右に久保田、左に只木、前線は吉田賢太郎と西川。西川が下がり気味なので4・5・1と言ってもいい(もっと詳しく言えば4・4・1・1)。
  試合は予想通り、栃木が守備を堅め、清水がボールを保持する展開。開始早々、清水が枝村と市川のシュートで探りを入れると、栃木もCKのこぼれを只木がバー少し上へ挨拶代わりの強シュート。8分にはマルキーニョスがDFを振り切って狙ったがGK原が触り左ポストを直撃した。19分の堀田のミドルシュート以降、こう着状態となった。「栃木の守備陣形が整っていて穴がなかった」(清水・長谷川監督)。事実、栃木の守備の集中度は極めて高かった。ボールを持った相手へのチェックも厳しく、清水は中盤からバックパスしたり、バックラインで横パスしたりを繰り返した。昨年の天皇杯ファイナリストが今年の初戦を慎重に運んでいると見てもよかったが、自分たちのリズムをつかんだり栃木をおびき出したりする能動的なパス回しには見えなかった。今季公式戦初出場の若い岩下に多くボールタッチさせる意図もあったのだろうか。
  そのうちに栃木がカウンターからビッグチャンスを作った。31分にはドリブルで持ち込んだ西川、41分には右の久保田からロングパスを受けた吉田。ともに惜しいシュートだった。33分には自陣ゴール前の高野がボレーでクリアしたボールを西川、久保田、堀田とつなぎ、スルーパスは西川のオフサイドとなったが、見事なコンビネーションを見せた。この間、清水はほとんど何もできなかった。ポゼッションは圧倒的に清水が上だったが、前半0-0は栃木が描いていた結果と言えた。ただ、強い日差しの下、普段の体力強化が十分とは言えない栃木が、後半どこまで集中したプレーを保てるかが不安材料だった。
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by tsc2007 | 2006-11-08 17:15
No.180 エスパルス戦 1
f0136083_17163942.jpg 第86回天皇杯4回戦の清水エスパルス戦は、日本晴れの静岡県・日本平スタジアムで行われた。
栃木SCがJFLに昇格した2000年の天皇杯以来のJ1チームとの公式戦は、文字通り晴れの舞台となった。ホーム側がオレンジ色に染まったのは当然のことだが、アウェー側のゴール裏2階席にも、黄色いお花畑のように、栃木SCサポーターたちが陣取った。集団の人数は300人くらいだったが、その周辺やメーン、バックの両スタンドを合わせると、栃木側の観客は500人以上いるように見えた。3回戦のヴェルディ戦に引き続きクラブが企画した応援バスツアーの参加者は6台260人だった(試合の公式入場者数は5261人)。
  試合前のウオーミングアップ中、清水のサポーターたちは、Jリーグでおなじみの応援をずっと続けていて、栃木側は対面のそれを静観していた。ある記者が私に「栃木のサポーターはおじけづいているようですね」と言うので「いや、余裕ですよ。数は少ないけどJ並みの連中です。間近に見るエスパルスサポーターのお手並み拝見というところです。彼らには応援のバリエーションがたくさんあるし、何つったって栃木県民の歌がありますから」と言ってやった。見上げた先の栃木サポーター集団が本当に頼もしく感じられた。
  午後0時50分、選手たちの入場を待つ場内に「栃木県民の歌」が響き始めた。いつもは選手が整列したころにやるが、清水側の応援にかき消されるので静かな時を選んで歌った。しかも、この時を際立たせるために、一切の組織的応援を控えていたのだ。いつもよりゆっくりとしたテンポの感動的な歌声だった。栃木サポーターたち、なかなかにくい演出ではないか。「栃木愛」の大合唱。同時に、栃木SCがただものではないことを、サポーターたちが、まずホームの人々に決然と伝えたシーンだった。
  ちなみに、「県民の歌」のたぐいをまるでチーム歌のように高らかに歌っているサポーターは、私の知る限りではほかにない。栃木サポーターたちの地元意識の高さを良く表していると思う。「栃木県われらの、われらのふるさと」と歌うのだ。Jリーグに昇格してからも続けてくれれば、金額に換えることができないくらい価値が高く効果の大きい栃木県PRとなるだろう。
戦いを前にして、いい雰囲気だった。スタジアムも、ゴール裏自由席がヨーロッパのような2層で、芝生はキメ細かく、まるで人工芝のように見事に整備されていた。夜、暗い土のグラウンドで練習しシャワーも浴びずに帰っていく栃木の選手たちを思って胸が苦しくなっていると、選手たちが入場してきた。清水イレブンと並んで誇らしげに入場するアウェー用の白いユニホーム姿の栃木イレブン。両サポーターの応援合戦も始まり、1時4分、長田和久主審のキックオフの笛が、まぶしいピッチに鳴り渡った。
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by tsc2007 | 2006-11-07 17:16
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