<   2007年 07月 ( 7 )   > この月の画像一覧
No.231 横河武蔵野にホームで勝利
f0136083_1551243.jpg  後期第5節・横河武蔵野戦は夏休み最初のホームゲームだった。にわか雨があったが、スタジアムには3650人もの観客が訪れた。みんなの願いは一つ、8試合ぶりのホーム勝利。布陣は4・4・2で、2トップは上野と山下。中盤は堀田と米田(めた)のダブルボランチと右・只木、左・小林。4バックは右から高野、照井、山崎、片野、GKは原。12試合ぶり白星の前節・FC岐阜戦と同じ先発だった。「相手はチーム戦術もリスク管理もできていて厳しいゲームになることは予想していた」(柱谷監督)。それは栃木も同じことで、お互いに守備ブロック意識が高く、「その意味では動きが少ないゲームになったのは仕方がない」(同)というような内容だった。7分に米田が正面のボレーシュートでクロスバーをたたくビッグシーンがあったが、左右のサイドを使ってワイドに展開する横河のペースが若干上だった。
  栃木は後半のアタマから新FW小原(こはら)を投入した。J2京都からのレンタル移籍。キックオフで上野が転がしたボールを相手ゴールめがけて超ロングシュートし、まずはホームの観客にご挨拶。その1分後には右寄りから強シュートを放った。交代した山下とは違う、前に飛び出すタイプのフォワードだ。62分には上野に代えて横山聡を起用。さらに71分、小林に代えて深澤も入れた。ラッシュの予感が漂った。柱谷監督は「前半は2トップ(特に山下)が降りてボールが入った時に取られていた。前(相手DFの裏)にボールが入らないと2トップの優位性がないので、スピードある聡と小原に代えた」と、攻撃スタイルをチェンジした。
  これが徐々に効いてきた。相手守備陣がバランスを崩し始めた。80分、ついに均衡を破った。チャンスをつくったのは投入された3選手。中盤の小原が右サイドの深澤に預け、深澤は前方の聡にタテパスを通した。フリーの聡は低いクロスボールをゴール前に入れた。そこに只木が走り込んだが、横河の池上がカット。しかしボールはゴール側に浮いた。これに飛び込んだのが、中盤から猛然とダッシュしてきていた米田。ヘッドで押し込み先制だ。その後の10分間とロスタイム3分をしのいで、1-0で逃げ切った。
  試合後の会見で、横河の依田監督は栃木について「前半はポストプレー中心でウチとしてはやりやすかった。後半はスピードで裏を突かれた感じでイヤな戦い方をされた」と言った。柱谷監督は「引き分けは負けと同じで、絶対に勝たなければダメと、選手には言った。最後まで集中力を保ったことが結果につながった」と高い気持ちで臨んだ試合を振り返った。小原については「ボールを引き出す動きができるし、動き出しも速い。米田と合っていた。(シーズン中という)時間のない中で、米田とセットで獲得できたことは大きい」と得点力アップに期待。小原は「裏に飛び出す動きが特徴。チャンスに決めていればゲームは楽になっていた。ゴールできず残念」と反省しながらも、上野と吉田賢太郎も京都時代の先輩とあって「喋りかけてくれて、チームには早く溶け込めた」と幸先は良さそうだ。
[PR]
by tsc2007 | 2007-07-31 15:05
No.230 FC岐阜に2-0圧勝
f0136083_10244037.jpg  後期第4節のFC岐阜戦も4・4・2で臨んだが、これまでとちょっと違った戦法だった。バックライン、ダブルボランチの中盤、2トップの3列で上下動するブロックを構築。とりわけ相手2トップ対策として、4バックとボランチがはさみ込む守備ブロック意識を90分間保った。バレーボール風に言えば3枚ブロック。いい守備からいい攻撃をするための基本だ。「ブロック」という考え方は以前も採用していたが、柱谷監督の申し子とも言えるボランチ米田(めた)の加入が、その効用を格段にアップさせた。米田は、攻撃の時も守備の時も、いるべき所にいた。意外に目立たないが、運動量は相当なものだ。堀田とのコンビも絶妙。これに左・小林、右・只木の質の高いサイドプレーが連動し、「中盤の4人が良く頑張った」と柱谷監督も評価する狙い通りの内容だった。
  前線の上野と山下の存在感は傑出しており、センターバックの山崎と照井は空中戦でほとんど負けない。サイドバックの高野と片野も、一対一やカバーリング、オーバーラップと、役割を果たした。GK原のコーチングもさえていた。11試合も勝ちがないチームとは思えない、組織プレーが充実した戦いぶりだった。試合終了後の、まるで優勝したかのような選手たちの喜びようは、「12試合ぶりの勝利」はもちろんのこと「全員で勝ち取った勝利」を実感したことが意識の根底にあったと思う。これがサッカーの喜びだ。この瞬間のために、いつもいつも汗や涙を流すのだ。
  先制点も追加点も組織プレーのたまものだった。相手守備陣のミスを逃さず、上野や小林がボールを回し、18分に米田、36分に片野のゴールを呼んだ。米田は小林からのパスを右足インサイドで枠の右上に狙いすましてシュート。片野は右からの米田のパスを左足アウトサイドで振り抜いてスライス気味のシュートを枠の左隅に決めた。いずれも、ゴール前ワンタッチでつないで、左でフリーの選手をフィニッシュに使った。2人とも雨のピッチの中でコントロールを意識したナイスゴールだった。「一試合一試合、内容は良くなっていた。今日は結果が出た」と柱谷監督は采配4試合目での初勝利を控えめに語った。しかし「チームは右肩上がり」という言葉には確信がこもっていた。
  後半は押され気味だったが、ゲームは栃木がコントロールしていた。岐阜は(信じられないことだったが)サイドからの単調なクロスボールを繰り返した。この攻撃ならこわくない。そもそも先発2トップの一角に新人の櫻田を使ってきた。警戒していたジョルジーニョは2点差の後半になって投入された。「後期は1分け2敗で状況は同じ」(柱谷監督)だったが、確信を持って勝利の戦術に出た栃木と、流れを変えようともがく岐阜。トンネルの出口と入り口の差。やっと栃木に運が向いた。いや、運ではない。こちらも11試合勝ちなしのどん底状態だったが、それだからこそ柱谷監督はゲーム前のイレブンに「チャレンジャーのつもりで戦おう」と言ったという。その精神をベースにした前半の攻撃、後半の守備。3位の岐阜にアウェーで2-0の圧勝だ。冷静な準備と熱い気持ちでもぎ取った勝ち点3。J2昇格ラインの4位以内に向けて、勝ち点計算をまた始めようか。
[PR]
by tsc2007 | 2007-07-25 10:25
No.229 どん底からは上昇あるのみ
f0136083_11245618.jpg  柱谷新体制になって、「昼練習の定着」「プロ契約選手増」を柱にした改革が進んだ。勝利という結果が出ていない以上、現場は口に出しづらいと思うが、まだ環境は悪い。グリーンスタジアムでの練習は週1回だし、柱谷監督がせっかく目を付けた選手が仕事を理由に昼練習や試合日に都合がつかなかったり、プロ契約の中にも体調不良や故障を訴える選手がいると聞く。試合終了後、柱谷監督は丁寧に記者たちの質問に答えてくれるのだが、0-1で敗れ、計3戦して1分け2敗となった7月14日のテクノポート福井スタジアムでは嘆き節が多かった。「狙っていることはできているのに退場者やミスが出てはどうしようもない」「前半いくつかあったチャンスを決め切れない弱さ」「チャンスを与えているのに生かせないとダメですねぇ」「前の選手の決定力不足は深刻」「チームの体質の問題」「チームの弱さの部分が出てしまっている」「熊本や岐阜など他のチームの方が体質がタイトですよ」「企業チームは選手のまとまりがあり、環境もいい」「こんなことでは勝ち点は取れないですよ」…
  いろいろ話した流れの中で、私はFWアレモンのことを聞いてみた。柱谷監督が率いた京都でパウリーニョと共に大暴れしJ2優勝・J1復帰に貢献したブラジル人だ。1週間前、リオ・デ・ジャネイロ郊外で交通事故により死亡した報道があったばかり。「あのシーズン(2005年)は選手の三分の一を入れ替えた。厳しい中、ブラジル人の活躍で乗り切れた。チームの体質にも問題はあったと思うけど、それに比べても(栃木の現状は)何十倍も悪いですよ。今いる選手が力を発揮していくしかないけど、決定力に関して言えば外国人の補強も一つの考えでしょう。通訳や生活環境面をきちんとしなければ無理ですが」。雑談とはいえ、当時21歳のアレモンを開花させた指導者の言葉は重い。自嘲気味に言えば、日本代表からJリーグやJFLに至るまで、日本人は本当にシュートを打たない。国民性もあろうが、多くの日本人FWが「頭脳でプレーしているから」だと私は感じている。勘や勢い、反応、本能、感覚、無心といった部分でプレーすることも必要だ。栃木のFWたちも頭が良過ぎる。もっと馬鹿になって相手ゴールを目指したらどうだろうか。FW出身監督に3試合で1点も献上できないのは不甲斐なさ過ぎる。
  これで11試合も勝ちがない。6勝8分け6敗で10位まで後退してしまった。ここを「どん底」と考えたい。もう上がるだけだ。2試合で順位を1つ上げる計算で、あと14試合を戦おう。ゲーム内容そのものは、連勝していた序盤のころより良くなっているのだから。次戦の相手・FC岐阜は調子を落としている。不運続きだった栃木に、やっと運が向く試合となりそうだ。アウェーのナイターだが、とにかくゴールを決めて、12試合ぶりの勝ち点3をもぎ取ってこよう。栃木SCがこのまま負け癖にひたっていたら、楽しかった栃木のサッカーシーンがつまらなくなってしまうゾ!
[PR]
by tsc2007 | 2007-07-19 10:48
No.228 「雨の不運」だけだったか
f0136083_9554899.jpg  後期第3節のアローズ北陸戦で、柱谷監督は中盤ダイヤモンド型を敷いた。前節初出場したMF米田(めた)がシングルボランチ、小林がトップ下、右に石川、左に久保田。「できるだけ前に人を配して攻撃的に」(柱谷監督)という柱谷カラー第2弾だ。4バックは前節と同じ、右から横山寛真(のぶまさ)、照井、山崎、片野。2トップは上野と横山聡。台風4号の影響で試合開始のころから大降りになってきたピッチで、栃木は押し気味に試合を進めた。チャンスの数は圧倒的に栃木が多かった。左サイドバックの片野が積極的にオーバーラップ。右サイドバックの横山寛やストッパーの照井までが前がかりになるシーンがあった。しかし、片野のミドルシュートはバーをかすめ、前の試合で決定機を外し続けたサトシは惜しいシュート2本を決められなかった。プロ契約後の初スタメンとなった石川と久保田が攻守に良く働いたが、米田はマークが厳しいこともあって目立たなかった。
  0-0の折り返しは、1-0で堅実に勝ち切るサッカーを選択しているアローズのペースと言えた。逆に、栃木が先制すれば楽勝できる展開も考えられた。がっぷり四つというほどの接戦ではないが、どちらに転んでも不思議ではない状況。その均衡がガラリと音を立てて崩れた。後半が始まって2分。右タッチライン際で、相手ボールにスライディングタックルをかけた横山寛が、水含みの芝で滑り過ぎた。アフタータックルで相手選手の脚をかっぱらう形になってしまいイエローカード。前半に続き2枚目だ。ノブは男としては二枚目だが、イエロー2枚目はいけない。柱谷監督は「DFラインを安定させるため」すかさずFWサトシを外してDF高野を右サイドバックに入れた。その1分後。Misfortunes never come single(泣き面にハチ)! 相手左CK、上園が入れたボールはGK原の正面に来た。原は両手で捕球の構えだったが、ボールは滑って下にこぼれた。そこに石田が右脚を伸ばしてスライディングし押し込んだ。名手・原の大きなミス。スリッピーな状況で、ボールが少しでもずれていれば、原はセーフティーにパンチングで逃れていたはずだ。一瞬の迷いがあったのだろうか。
  柱谷監督は、上野と小林を前線要員にした4・3・2から、只木と山下を投入して4・2・1(小林)・2と戦法を2回替えて同点を狙った。上野と山下にビッグチャンスがあったが1点は遠かった。試合後、柱谷監督は「内容的には、狙っていることはできている。退場者、GKミスというアクシデントがあった中で90分間しっかりプレーできていた。いくつかあったチャンスで決められなかった」と、就任3試合で1ゴールも決めていないFW陣の奮起を促した。雨の不運だけが敗因でないことは明らか。シュート数はアローズ9本、栃木8本だったが、CKの数はアローズ9本、栃木1本(公式記録による)。このCK機会の差が、敗因につながった「何か」を示唆している。
  只木が60分に交代で今季初出場した。中盤引き気味の位置から、前への高い意識でプレーした。32歳の元主将は「10番とか過去がどうとかではない。開き直ってやるしかない」と言った。高校教師のため夜の練習しか参加できないハンデの中からはい上がった強い気持ちは、不振のチームに必ずプラスに作用するだろう。
[PR]
by tsc2007 | 2007-07-18 09:56
No.227 米田加入で可能性見えた
f0136083_10513588.jpg  後期第2節のソニー仙台戦で最も注目されたのは、J2京都からレンタル移籍した25歳MF米田(めた)兼一郎だった。ベテラン32歳の堀田とボランチを組み、攻守に速くて柔軟な対応を見せて、栃木がゲームの主導権を握る要因となった。3分には上野のポストプレーを右の永井に好パスし栃木の初シュートにつなげた。その後も左の小林や右の永井に展開し攻撃の起点となった。16分には正面から自身の初シュート。27分には永井からパスを受け、ペナルティエリア内の相手守備陣の間隙を縫って素早いシュートを放った。仙台GK金子進のダイビングによって防がれたが、この試合一番のゴールチャンスだった。この時に米田が見せた、ボールを受けてからシュートまでの動きこそがJレベルのプレーだ。相手守備は数がそろっていて栃木のバイタルエリアを消していた。これを絶妙なコントロールでボールを運び、わずかなシュートスペースを自らつくり出した。
  米田は30分にイエローカードを受けたので、その後のプレーは少し慎重になった。それにつれて栃木の攻撃の勢いは衰えた。これが前回書いた「中だるみ」の一因だ。それを引き戻したのが交代投入された深澤の頑張りと横山聡のシュート意欲だった。その後半。時間は71分。スタジアムに静かな衝撃が走った。栃木3人目の交代。茅島がピッチサイドに立った。第4の審判が掲げた電光ボードの数字は「8」。茅島と握手してラインをまたいだ瞬間、堀田のJFLリーグ戦連続フル出場記録更新は91試合で途絶えた。柱谷監督がゲームに勝つために投じた一石に過ぎなかったが、この試合から栃木SCが変わったことを象徴する分水嶺でもあった。それだけではない。小林をトップ下にして米田をシングルボランチにする「ダイヤモンド型」の中盤で勝負に出たのだ。この修正は「機能した」(柱谷監督)。あとはサトシが決めれば良かっただけだ。4・4・2布陣の中で今後この形を採用するかもしれない。米田の加入がそれを可能にした。ただ、夏の暑い期間はシングルボランチは体力的にキツいから、周囲のフォローやカバーリング意識が必要になる。ボランチが孤立しないように、バックラインが下がり過ぎないこともポイントとなる。
  試合後の公式会見で柱谷監督は米田について「ボールの受け方やつなぎの技術、判断力など、やっぱりレベルが高い」と、京都時代の秘蔵っ子が期待通りの働きをしてくれたことに満足そうだった。「施設が充実している京都から、ホントよく(栃木に)来てくれましたよ」。米田は「(今季の京都で)試合に出られない状態だったので、何かチャレンジした方がいいと思っていた。家族やこれまでお世話になった人にも相談し、(柱谷監督の誘いを受けることを)決断しました。観客も多くて、こんなにいい雰囲気の中でできるとは思わなかったし、久しぶりの試合だったので喜びを感じましたね。積極的にプレーできたので良かったと思います。攻撃でも守備でも、しっかりゲームをつくっていきたい」と、気持ちよさそうに汗をぬぐった。
  蛇足だが、栃木県グリーンスタジアムの芝生は深過ぎると感じた。両チームの選手とも、ボールの走りやコントロールに戸惑っていたし、涼しい中の試合にしては脚への負担が多かったように見えた。
[PR]
by tsc2007 | 2007-07-12 10:07
No.226 大観衆の前で見せた柱谷カラー
f0136083_10102259.jpg  後期第2節のソニー仙台戦は、ホームの栃木県グリーンスタジアムに6252人もの観客が訪れた。開幕戦の半分だが、J2の試合に負けていない。柱谷監督は試合後、「サポーターやファンの数が多いことは財産ですよ。面白いゲームで勝って、観戦した人が友だちに今度一緒に行こうよ、と言って1人が1人を連れてきたら1万2000人ですからね。こういう試合で勝ちたかった」と言った。大勢のお客さんが観戦に来てくれることは、チームの存在を支える一番の要素。期待を裏切っているというのに、栃木のファンは温かい。新生「柱谷SC」への期待が大きい表れでもあっただろうか。
  試合は0-0のスコアレスドローだった。柱谷監督のホーム初采配。J2京都からレンタルで獲得したMF米田(めた)兼一郎をさっそく起用した。トップ上野のコンビは10試合ぶり先発の吉田賢太郎。不動のセンターバックだった谷池を外して「日立栃木との練習試合でよく声が出ていてコミュニケーションが取れる選手だと分かった」(柱谷監督)という山崎を入れた。谷池が劣るわけではなく、勝てない現実を何かで変えなければならなかった。照井と山崎という「入ってくるボールをヘディングではね返せる強さ」(同)のあるストッパーの起用。前節の沖縄でFKから決勝点を奪われた反省でもあったろう。サイドバックは右に横山寛真、左に片野。ここ5試合ボランチの小林を本来の左サイドハーフに戻し、右は「琉球戦でガンガン行ってくれた」と柱谷監督の目に止まった永井。柱谷カラー第1弾といった4・4・2の布陣だ。その戦い方は攻撃的で、ゲーム全体を支配し、とりわけ序盤と終盤は栃木のものだった。
  最前線に存在感のある上野、その周囲を賢太郎が動き回り、小林や永井、米田、堀田も前に良くからんだ。30分までに8本のシュートや相手ゴール前のシーンがあったので、先制点がほしかった。その後の30分くらいは中だるみの感じで、パスミスの連鎖という悪い特徴が見え隠れした。この間、仙台・村田らのきわどいシュートを防ぐなど、無失点にしのいだことが効いた。残りの30分、横山聡が投入されて、大観衆のどよめきの連続となった。横山は6本のシュートのほかにも、触れば1点という場所に2~3回は飛び込んだ。その最初のシュートシーン。左サイドバックの片野がオーバーラップしクロスを入れたが相手ボールになってドリブルで運ばれそうになった。これに片野と堀田が狩人のように襲いかかりボールを奪取、前の横山につないだ。前節まで、なかなか見られなかったフィニッシュへの執念だった。サトシはシュートを外し続けたが、柱谷監督は試合後の会見で「決定機をつくれるのはFWの能力」とプレーそのものは認めた。ただ「決めなければ何にもならない」とも付け加えた。元日本代表ストライカーは「ここで決めて、次のステップに上がれるんです。チャンスを生かしていかないと。それがプロ」と、大観衆のため息を歓喜の声に替える仕事をサトシに暗に諭した。
  勝ち点1を加えたものの、不調だったホンダにも抜かれて、ついに9位まで下がってしまった。4位・YKK APとの勝ち点差は9(3勝分)。当面はこの差を一試合ごとに縮めていくしかない。上位との連戦となる試練の「夏の陣」がいよいよ始まる。
[PR]
by tsc2007 | 2007-07-10 10:12
No.225 過酷だったFC琉球戦
f0136083_11574662.jpg  栃木県内のそばの名店を集めた本の出版事業を担当したことがある。子供のころ、おばさん(母の姉)が手打ちそばをよくふるまってくれたことが、大人になってそんな仕事をするようになった原点だったと思う。そのおばさんが82歳で亡くなって、お葬式と沖縄取材が重なってしまった。水曜日になってやっと休めて、ご霊前に線香をたむけてきた。ほほ笑む遺影は、12年前の沖縄旅行の際のスナップだという。やさしかったおばさんのことを思い出しながら、これも何かの縁だったのかと、当コラムを書く気持ちを奮い立たせている。
  柱谷監督の初陣となった7月1日の沖縄は猛暑だった。風のある日陰の気温は32度。炎天下は35度以上あったろう。FC琉球の吉澤監督は栃木戦を前に「相手が慣れない暑さで運動量が落ちてきた時、攻め込みたい」(6月30日付・沖縄タイムス)と言っていたほどだ。柱谷監督の準備期間は4日しかなかった。ボールを使いながらアジリティを上げる練習をしたものの、十分であるはずはなかった。「選手一人一人の特徴も把握し切れていない」(柱谷監督)という中、注目の起用メンバーはこれまでと大差はなかった。4・4・2で、トップは上野と横山聡。サイド攻撃を意識した運び方も同じだった。開始10分は栃木ペースだったが、徐々に琉球右MF濱田がフリーで侵入する場面が増え、その結果、高野が濱田を倒してFKを与え、小野の低くて速いボールからゴール前中央で松原にヘディングシュートをたたきこまれた。私は誰がマークしていたのか確認できなかったが、マンマークと言う前に、入ってきたボールをはね返すというゴール前の守備の基本を守ってほしかった。
  あまりの暑さに、私は沖縄の人たちに笑われたって構わないから、いつも用意している黒い雨傘を差して直射日光を避けながらカメラマンラインにいた。この暑さで先制されて厳しいなぁと思った。事実、運動量もプレーの精度も低下してきた。37分ごろ、調子が良さそうに見えていた小林が体調不良で突然リタイア。柱谷監督にとっては大きな誤算となった。後半に入って59分に山下を投入しリズムが好転したものの、一進一退の消耗戦が続いた。永井が入ってかき回したり照井がパワープレーに入ったりしたがゴールは遠く、終了間際の波状攻撃でも決められず、0-1で柱谷監督の初陣も後期初戦も飾れなかった。柱谷監督は「ゲーム全体のコントロールは良かった。ビルドアップも良く、起点もつくれた」と選手たちをポジティブに評価した。しかし、Jリーグで戦ってきた水準から見れば物足りない内容だったに違いない。サイドからのクロスボールやフィニッシュの精度を課題に挙げ、「あきらめないで修正していく」と意外にさばさばした顔で言った。柱谷監督にすれば、これからがチームづくりや戦術練磨の本番。沖縄で失った勝ち点3は、上昇への投資と考えよう。
  クラブは翌7月2日、石川、茅島、永井、高野、久保田の5人とプロ契約したことを発表した。選手の心は揺れていたので、期待と不安、夢と現実、決断と逡巡、いろいろな心が交錯した先の結論なのだろう。栃木SCにJ経験者は増えたが、チーム内でアマチュアからプロ契約したのはこれが初めて。それだけでもうれしく思うファンは多いのではないだろうか。クラブはさらに同日、京都サンガのMF米田兼一郎のレンタル移籍も発表した。柱谷監督が率いた京都のJ1昇格に貢献した選手だというから、注目だ。
[PR]
by tsc2007 | 2007-07-05 12:00
栃木SCオフィシャルWebサイトへ