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No.235 3位・YKK APに快勝
f0136083_18375867.jpg  未消化だった後期第7節のYKK AP戦は、夏休み最後の週末、栃木県グリーンスタジアムで行われた。炎天下だが、ピッチと周辺の緑、真っ青な空がステージ感を高めていた。相手は3位。柱谷監督は順位が上にいるチームには「絶対に負けられない。引き分けでもダメ」と、常に選手に言い聞かせているという。雷雨で延期の佐川急便戦も含めてこの5試合定着しているDF・MF陣の先発による4・4・2。2トップは加入後11試合にすべて先発している上野と、加入後3試合目の小原。3・5・2のYKK APは守備の要の濱野が出場停止。柱谷監督は「相手に引かれる前に速く攻める」ことを試合のコンセプトにしていたが、前半の栃木は攻撃の仕掛けが遅く、相手に引かれてから攻めようとして、攻めあぐねていた感じだった。
  むしろ序盤はアウェーのYKK APの攻撃が上だった。特にJ2愛媛FCから今季加入した身長162cmのFW猿田のスピードと運動量は傑出しており、前半だけで3本の決定的シュートを浴びた。それでも栃木は、24分に左サイドで片野が起点になったチャンスから只木、堀田、米田(めた)が連続シュートを放ったシーンなど、ゴール意欲は高かった。
  0-0で迎えたハーフタイムに柱谷監督は「相手3バックに単純に入れても難しいから、しっかりつないでいくように」と指示。4バックの栃木に必要なのは両サイドバックの上がりだが、後半は右の高野、左の片野ともに前への意識を高め、これにつなぎの共通認識が融合して「両サイドの優位性が出た」(柱谷監督)。47分に小原が放ったミドルシュートは、自身のゴールを予告する狼煙(のろし)だった。53分、右サイド高い位置で只木と高野が粘ってキープ。高野がゴールライン際から入れたボールに、上野の後ろで小原がダイビングヘッドを決め先制。58分には相手GKとDFの不用意なパス交換を只木が狙い、再び小原が突進して流し込み追加点。スタジアムは熱狂の嵐に包まれた。その後も山下、久保田、高安を投入して攻め続け、2-0で勝利を収めた。
  柱谷監督は「前半から、こうすれば崩せるというイメージはあった。あとはキックの精度やタイミングの問題。小原のゴールは、途中加入の本人にとっても、我々にとっても良かった」と、古巣の京都から引っ張った効果が出てうれしそう。YKK APの楚輪監督は「小原の捨て身で突っ込んでいく迫力に、栃木が今おかれている立場が感じられた。その気持ちがサポーターに伝わって、得点してからはJリーグの雰囲気に近いすごい声援になった。後半は完敗だった」と言った。小原は「途中加入だしFWなので、点を取れて正直ほっとしました。相手は僕たちが目指すポジション(3位)にいるので、引き分けも許されなかった。自分は人に使われてナンボの選手。いいクロスボールが入っても決められない場面があったのが反省点ですね。最低でも枠に打って決定力を高めていきたい」と栃木加入後の初ゴールを素直に喜んだ。FWの得点は前期第17節の吉田賢太郎以来で、柱谷監督就任後7試合目でやっと出た。誰が決めても1点は1点だが、決めるべき立場の選手が決めることでチームは高揚する。
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by tsc2007 | 2007-08-27 18:38
No.234 佐川急便戦、雷雨で延期
f0136083_11155482.jpg  後期第8節の佐川急便戦は、雷雨の影響で延期となった。J昇格に無関係の佐川急便側は余裕の首位だしホーム戦なので、入場料払い戻し以外にほとんどダメージはなかっただろう。アウェーの栃木SC側は、直接的には旅費と宿泊費というコストダメージがあったが、それ以上に、2つのちょっとイヤなマイナスが伴った。一つは、前の試合でロッソ熊本に完敗した悪いイメージを払しょくする機会が8月25日のYKK AP戦まで3週間も伸びてしまったこと。もう一つは、栃木県の国体成年チームが栃木SCのアマチュア選手で構成されており、佐川急便戦の代替試合が国体が始まる9月下旬なんかに設定されたら、チームの台所事情がエラいことになってしまう点。「プロ契約選手でチーム編成できるべ」という単純な問題ではない。J2昇格条件の4位以内に向けて、崖っぷちのリーグ戦を戦っている栃木にとって、分裂状態で肝心のJFLを乗り切れるわけがない。今シーズンの唯一無二の目標は「JFL4位以内」ではなかったのか。栃木にとってはありがたくない雷だった。
  試合は予定通り午後4時にキックオフされた。栃木の先発はGK原、DF高野、照井、山崎、片野、MFは堀田と米田(めた)のダブルボランチと右・只木、左・小林、2トップは上野と小原だった。佐川急便の得点61、栃木の失点17はいずれもリーグトップ。攻めの佐川、守りの栃木の対決。栃木は、得点ランキング2位(21点)の佐川FW御給をいかに抑えるかがポイントだ。開始当初から栃木が積極的な攻撃に出た。3分には右の只木からいいボールが上野に入った。5分には上野のポストプレーから只木が抜け出してシュート。6分には左サイドバックの片野がオーバーラップしてゴール正面の小原にクロスボールを合わせた。栃木の先制点狙いが手に取るように感じられた。7分、右からのボールをGK原がファンブルし佐川FW中村に狙われてクロスバーをかすめるシュート。「アブナイ!」いや、シュートよりも稲妻が。原の守る栃木ゴール後方から黒くて巨大な雷雲が急接近していた。
  前半7分45秒、木村主審が危険と判断し試合を中断。選手やスタッフを引き揚げさせた。これは好判断だった。5分後くらいに台風並みの風が吹き出し、数分後には激しい落雷と豪雨に見舞われた。屋根付きスタンドの観客も危険になって、スタンド下のロビーに緊急避難した。関係者用の狭い通路から、ズブ濡れの観客が次々に逃げ込んだ。選手の家族だろうか、赤ちゃんを抱いた若いお母さんも何人かいた。ロビーは佐川と栃木の双方のサポーターたちであふれた。40分ほどしてオフィシャルが「雷が去るのを待って再開しても、照明設備が不十分なので試合の成立は不可能」と判断し、中止を決定した。真夏の暑さを少しでも避けようと、試合ができるぎりぎりの午後4時キックオフに設定された配慮が裏目に出た。まさに、試合開催2時間きっかり、雷が鳴っていた。
  台風直撃に遭っても勝ち点1を沖縄みやげにしたことのある栃木だったが、今回の琵琶湖の猛烈な雷には、せっかくの攻撃姿勢に水を差された格好だ。その日、京都から宇都宮に帰る夜行バスの眠れぬ車中でワンカップ片手に「90分できたら、もしかして栃木が勝ったんじゃないかなぁ。国体組の只木か片野のアシストで小原が初ゴールを決めていたんじゃないかなぁ…。それにしても滋賀県名物のフナずしは珍味だったなぁ」などと思いをめぐらせた。
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by tsc2007 | 2007-08-22 11:17
No.233 ロッソ熊本戦0-1敗戦
f0136083_10175594.jpg  2連勝で乗り込んだJ準加盟同士のライバル・ロッソ熊本戦。栃木は、これに勝って勢いを本物にして4位以内確保へ突っ走りたいのと、前期にホームで完敗しているので昨季同様にアウェーでリベンジする2つの大きな目的があった。お互いに4・4・2。2トップは栃木がJ50ゴールの上野と小原、ロッソが得点ランキングトップの高橋泰と小林陽介。JFLとしてはハイレベルな対決だ。ロッソの2人に前期は1ゴールずつ決められている栃木は、この2トップをいかに抑えるか、いかにボールを入れさせないかが守備のテーマだった。
  強敵相手のアウェー戦、脅威の2トップ。栃木は堅守速攻の作戦を敷いた。しっかりとブロックをつくり、ボールを奪ったら中盤とサイドを使って前線につなぐ意図だった。開始10分までは悪くなかった。ところが10分、ロッソ右FKから小林陽介がダイレクトボレーでシュートしたのを境に、栃木の攻撃は鳴りをひそめ、堅守というよりは専守防衛に入った。チーム戦術的にそうなったのではなく、ロッソの前への圧力に押されて引き気味になった。これには選手やスタッフは反論するかもしれないが、私の目には明らかにロッソのラッシュを怖がって守備一辺倒になったように見えた。ただ、センターバックの山崎と照井を中心に、ロングボール対応は完ぺきにできていた。自陣ゴール前の制空権を握れば、守備に人数をかけているから、よほどのことがない限り失点はしない。そんな状況で前半を終了した。見かけ上はロッソのワンサイドゲームだったが、0-0の折り返しは栃木の目論見に近いシチュエーションだった。
  後半もロッソの猛攻にさらされた。特にボランチの喜名が素晴らしかった。出足の速さ、展開力、ワイドな運動量、技術の高さ。こんな選手がいたらJ2に行っても戦える。さらに左の関、右の熊谷がサイドバックやボランチとの連係を密にして襲いかかるから、栃木は守りで精一杯になった。サイド攻撃がまったく機能しないし、DFラインからのビルドアップもほとんどできなかった。失点シーンは83分、ロッソ左CKのこぼれを栃木がクリアし切れずに奪われ、北川に速いクロスを入れられた。栃木DFラインはそろっていたが、意表を突かれた感じで山崎が一瞬競り遅れ、吉井に頭で合わせられた。ボールは左ポストに当たってゴールインした。
  大事な試合に、栃木は何もできなかった。モチベーションの高さも、気迫も感じられず、ロッソにされるがままに、ただ対応するだけに見えた。これでは、引き分けはあっても勝利は望めない。柱谷監督は試合後の会見で開口一番、ピッチの悪さを挙げて「つないで攻撃の形をつくるゲームをしたかったが、できなかった」と言った。その通り、ピッチは良くなかった。でも、前期ロッソに完敗した足利市総合運動公園や、栃木が今後2試合を予定している栃木県総合運動公園は同様に悪い。栃木に足りなかったのは、自信や闘争心、思いっきりの良さといったメンタル面の強さではなかったか。言い換えれば、長くてシビアなリーグ戦に必要な「ゲーム的な体力」の不足。実は、昨シーズンにロッソが失速した原因を池谷監督は以前、この言葉を使って説明していた。今度は栃木の番なのだろうか。
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by tsc2007 | 2007-08-08 10:17
No.232 生の試合を子供たちに
f0136083_1572323.jpg  横河武蔵野戦の7月28日は、高校野球栃木大会決勝が同じ宇都宮市清原工業団地内の清原球場であった。私は職場で、栃木SC取材に出掛けるまで別の仕事をしながら、横目でとちぎテレビの実況を見ていた。高校レベルのスポーツをメディアが大々的に扱うことに疑問を感じており、常々「まったく、子供の野球を…」とぼやいているのだが、何を隠そう、そういう自分も高校時代に同じ感動を心に刻み込んだ一人だ。1973年(昭和48年)の夏。栃木大会決勝戦。エース江川卓の作新学院の前に、わが宇都宮東高はノーヒットノーランで敗退したが、県営本球場で応援に声をからしたあの7月29日の午後を私は終生忘れることがないだろう。同窓生たちと話すたびに私は「江川の剛速球はすごかった。でもオレたちのエース新沢(にいさわ)だって相当なもんだったよなぁ」と言いながら、両エースが投じた白球の光跡を思い出すのだ。
  だから本当は高校野球も大好きなのだが、ひとつだけ言いたいことがある。出場登録されない、いわゆる補欠の選手たちがスタンドで、まるで応援団かチアボーイ(?)のように騒いでいる光景。あれはやめてほしい。決勝戦だけでなく、公式戦は学校スポーツにおける貴重な機会。試合に出られなくても、選手たちと同じ気持ちになって臨んでほしいのだ。スタンド観戦でいいから、レギュラーたちがどう戦うのか、監督はどんなサインを出すのか、守備陣形は、相手投手の特徴は、相手の戦い方は、この場面で自分ならどうする…。ナイスプレーを目に焼き付け、エラーが出たら自分なりに原因を考えてみる。スコアブックをつけながらでもいい。一試合約2時間、普段の校庭では得難い多くのことを自分の目で学べるチャンスなのだ。それをお祭り騒ぎで無駄に過ごしている。先生や指導者はきちんと教えてほしいと思う。私にもっと大きな声があったら、全国の高校に言いたいことだ。
  サッカーでも同じことだ。試合に出られない部員も、ピッチでプレーしているつもりになって、しっかり観戦してほしいと思う。部員はサポーターや観客とは立場が違う。次は自分がピッチにいるかもしれないのだから。
  Jリーグ昇格を目指す栃木SCの戦いは、地元・栃木のサッカー向上に大きなプラスになっている。リーグ戦の半分はホームで観戦できる。もし来シーズン、J2に昇格できたら、みなさんご存知の全国のチームが栃木にもやってくる。これは劇的向上だし、何よりも栃木の子供たちがレベルの高い生の試合を見る機会ができるということだ。JFLの試合がある週末は、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人、女子に至るまで、練習や試合や大会があるのだろう。でも、栃木SCのホーム戦がある日には、せめて子供たちのチームでは「観戦」という予定を組むことはできないだろうか。応援しながら、子供たちは普段学べない何かを学べる。横河武蔵野戦のスタンドには大勢の子供たちがいた。1-0勝利の喜びとともに、彼らはたくさんのシーンを目に焼き付けたと思う。元日本代表の山下、J50ゴールの上野、米田(めた)のゴール、カッコいいFW小原、顔面流血でも立ち上がった深澤…。私が34年も前の県営本球場を今も鮮明に覚えているのと同様に、彼らは大人になってもこの日の栃木県グリーンスタジアムを忘れないだろう。
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by tsc2007 | 2007-08-01 15:02
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