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栃木SCふぁん!No.250 後半3ゴールに意義あり
f0136083_14271035.jpg  後期第16節の流通経済大戦は、栃木が押し気味に進めていたのに、35分にCKから失点して相手ペースになってしまった。ハーフタイムを経て主導権を引き戻した後半に3ゴールを挙げて逆転勝ち。失点はミスからだったが、その落胆を流れの中で持ち直して歓喜に変えた。柱谷監督の来季続投が決まって迎えた最初のゲームだから、より一層意義のある勝利だった。
  高安が前節に右足首を痛めて、深澤が左サイドハーフで入った。7試合ぶり先発の深澤は気負い過ぎたか、慎重過ぎたか、本来のスピードとパワーを見せられなかった。序盤は上野や横山聡が精力的で、小林や久保田もチャンスに絡み、波状攻撃が何度も見られた。35分に反撃を受け、流経大の右CKに。栃木はゾーンディフェンスが基本だが、相手セットプレーの時はマンマーク。ところがゴール正面へのCKに走りこんだDF飯田に片野が振り切られた。飯田はフリーでドンピシャのヘディングシュートを決めた。柱谷監督はハーフタイムに片野に「負けたらオマエの責任だゾ」とまで言ったそうだ。当然、「片野のためにも、周りも頑張れ」という意味だ。後半、柱谷監督は、相手ドリブラーの加来とのマッチアップに悩まされた右サイドバックの片野を守備能力の高い左の石川とチェンジすることも考えたが「それで勝っても片野のためにはならない。最後まで責任を持たせるつもりだった」と使い続けた。プロの指導者は若手を育てる途上でこのような考え方をする。片野は「最悪の形で失点したことは忘れない」と90分間を全力プレーで乗り切った。片野にとって、今後のサッカー人生に必ずプラスとなる一戦になったはずだ。
  柱谷監督は「失点してからガクっと落ちた」と見えたチームに対してもゲキを飛ばした。多少のプレッシャーをこわがらないようにカツを入れ、意欲を持ってプレーし続けることを指示した。トレーニングを思い出し、開き直った選手たちは、パスをつなぐ意識を取り戻した。49分、左サイドで深澤からボールを受けた久保田が相手をかわして好クロス。上野が頭で落とし、山崎が右足で合わせて同点にした。60分には米田(めた)がつないだボールを小林が縦パスし、横山聡が高度なダイレクトの反転シュートで追加点。2分後に山崎のクリアミスから同点弾を浴びたが、84分には片野のパスからサトシがドリブル。エリア内にいた山下に渡り、これもワンタッチの左足で再び勝ち越した。相手が若い学生だったことを差し引いても、3つのゴールの取り方は上々だった。
  決勝ゴールの山下は「僕のところにボールがこぼれてきてラッキーだった」といつものように冷静だったが、チャンスの場所にいたことがFWの資質だ。アウェーに400人以上も駆け付けて、まるでホームのような雰囲気をつくり上げていたサポーターたちは試合後、アルテ高崎戦の時のように山下コールを繰り返し、山下も両手を挙げてそれに応えた。サトシと山崎の応援歌も、そして最後には柱谷コールも沸き起こり、J2昇格を断たれたチームとは思えないような盛り上がりだった。ただ、選手たちにとって今週は針のムシロにいる感じだろう。プロ選手には11月30日までに来季契約に関して通告が出る。プロの世界。厳しいことは当たり前とはいえ、この一年間、目の前で戦ってきた選手が去っていくことは胸が痛い。
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by tsc2007 | 2007-11-27 14:27
栃木SCふぁん!No.249 「4位以内」逃す
f0136083_15132041.jpg  後期第15節の佐川印刷戦は不思議なゲームだった。12分のゴールキックまでGK原が一度もボールに触らないほど、栃木が支配していたように見えた。23分に上野が先制ゴールを決めるまでは、ほとんど栃木側のポゼッションだった。その後、2点を取られて逆転負けを喫したわけだが、90分間を振り返ると、専守防衛から少ないチャンスをモノにするアウェー戦術に、いつの間にかやられていた。お互いにボールが落ち着かず脈絡のないゲーム。終わってみれば佐川印刷の術中にはまった感じだ。まだ4位以内・J2昇格の可能性を残していた貴重な一戦で、不甲斐ない内容をホームの熱い観客に見せているようでは、「6位以下確定」は仕方のないことだったかもしれない。
  佐川印刷は中盤の濱岡が出場停止だった。小柄で機敏なこの選手は、JFLでは希少なスルーパサー。前期対戦でも必殺のパスでやられた。だから栃木にとっては助かったのだが、佐川印刷は3・5・2にしてGKを含めて8人でがっちり守る布陣を敷いてきた。大坪と町中の2トップは要警戒だが、あまり脅威は感じない相手だった。ところが「守りの時には3・4・3か5・2・3にしてウチの2トップにボールを入れさせなかった。それにウチがはまってしまった」(柱谷監督)。佐川の橋本監督は「リトリート(下がって陣形を再構築)し、ボールを取ったらサイドからカウンターで攻撃するプラン通りに行けた」「栃木の2トップとワイドハーフ(小林と高安)を中に入れさせるな、と厳しく言った」。両監督は試合後、裏返せば同じ意味のことを言った。
  ここ4試合7ゴールのFW横山聡や右サイドで切れ味鋭い高安へのマークが徹底され、中盤のスペースも佐川の守備網が張り巡らされて、何ともやりにくそうだった。それでも、上野のゴールは最高の形だった。最終ラインの谷池が前線にロングフィードしたボールを高安が頭で落とした。上野は前に相手DFがいたが「打つことしか考えなかった」と左足で巻くようにしてゴール右隅にコントロールした。前期対戦時に加入後の初ゴールを決めて以来14試合ぶりの得点。しかし34分、前線右に流れた大坪に縦パスが通り、山崎が切り返されて同点シュートを浴びた。74分には後方から中森のロビングを受けた金井に、原の頭を越すループシュートを決められた。佐川の決定的シーンは2回しかなかったのに、その2回ともがゴールインだ。ただ、栃木も特に後半はチャンスが少なく、公式記録ではシュート数0だった(前半は4本)。
  2分のロスタイムに入った時「まったく、こんなにいい秋の日に、栃木SCのJ2昇格が消えてしまうのか」と思わず天をあおいだ。試合中に吹き始めた冷たい木枯らしがスタジアムを舞っていた。試合後の記者会見で柱谷監督は「リーグ戦はこういうゲームを取っていかないと勝ち点を積み上げられない。我々に足りないものがあることを感じた」と言った。それは、失点場面のような「グループで守れない時の個の強さ」であり「リードしている時のゲーム運び」のこと。試合ごとに好不調はあるだろうし、なかなか克服困難だとは思うが、大勢のサポーターや地元ファンが応援してくれているのだから、来季は必ず何とかしてくれることを期待したい。
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by tsc2007 | 2007-11-20 15:14
栃木SCふぁん!No.248 若手選手の成長
f0136083_151229.jpg  栃木SCは最近5試合を3勝2分けと負けがない。「4位以内」を目指す観点から言えば勝ち点4を失ったことは痛過ぎるが、リーグ公式戦の終盤としては悪い数字ではない。シーズンを振り返る論議が出てくる季節。私の身辺では「最初は7戦負けなしで調子良かったのに…」といった声も聞かれるが、そのころの内容に比べたら、今の方がレベルは上だ。ジェフリザーブズ戦の守備バランスなど、別のチームかと錯覚するくらい、シーズン当初より向上したように見える。栃木の特徴でもあった西部劇の馬車馬のような勢いは減ったけれど、S級・柱谷監督によるチームづくりの成果は徐々に表れてきた。
  この5試合で目につくのは、若手選手の急激な成長だ。まず挙げたいのは、米田(めた)とボランチコンビを組む24歳・久保田勲。米田の能力の高さは誰もが認めるところだが、久保田は今、その生きた教科書で猛勉強中だ。柱谷監督も「ボランチのところのバランスが一番大事」と言うようにピッチ上のキーパーソン。攻守の比率がほぼ同じポジションで連動し合うのは難しいことだが、米田との位置関係を意識しながらのプレーには少しずつ安定感が出てきた。とちぎテレビ出演を機に髪の毛をバッサリ切ったという久保田は「米田さんの動きは勉強になりますよ。やっぱり試合に出ていることが一番だと思います」と、カナメの位置での役割に手応えを感じ始めている。「ボランチに必要な要素を持っている選手」(柱谷監督)と期待も大きい。大黒柱の堀田が負傷で戦線離脱した穴をしっかりと埋めている久保田の存在は一層大きくなっていくだろう。
  23歳・高安と22歳・深澤も鮮烈だ。三菱戦初スタメンだった高安がロングパスをワントラップしてDFを抜いたプレーは圧巻だった。相手は後ろから倒すしかなくなりPKを獲得。これは上野が外したが、高安を止められないと判断されたDFは前半21分に交代させられるハメになった。将来、高安のすごさを物語るエピソードの一つになるだろう。中学校勤務の高安は、周囲の理解を得て昼トレーニングが可能になり「ほんの少し(自分のプレーが)できるようになってきました」と、「あのスピードは魅力」(柱谷監督)という才能を伸ばす環境ができつつあるようだ。深澤は三菱戦の左足の強烈な初ゴールでファンの心をとらえた。今のところ後半の切り札となっているが、仲の良い高安とライバル心を共有しながら、負けず魂をたぎらせている。
  サッカーを見ていて何が楽しいと言って、若い選手たちが伸びてくるのを目の当たりにできることが一番。それは、南米やヨーロッパのビッグクラブでも、Jリーグでも、もちろんJFLでも同じことだ。頭角を現した若手が中堅になりベテランになっていく姿を見守る楽しみはファン冥利というものだ。栃木SCの新井賢太郎社長は「我々はJ1に昇格して、浦和レッズを倒すのが目標なんだ」と息まいている。日本の頂点を目指すチームをつくっていこうというのだ。選手の成長とチームの成長。私たち栃木のサッカーファンには、こんなにも大きな楽しみが用意されつつあるのだ。次節の佐川印刷戦(11月18日・栃木県グリーンスタジアム)も、まさにその1ページ。米田と久保田の連係、高安や深澤たちの奮闘にもぜひ注目しよう。
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by tsc2007 | 2007-11-14 15:02
栃木SCふぁん!No.247 守備バランスが効いた
f0136083_18213465.jpg  後期第14節のジェフリザーブズ戦はFW横山聡の2ゴールで2-0と快勝し、4位以内の可能性を残した。あと3試合で奇跡が起きることを願いながら、アウェー戦勝利を振り返りたい。先発の中では、高野ではなく片野が右サイドバックに入ったのが目を引いた。上野とサトシを2トップにした4・4・2。ジェフも同じ布陣だが、平均年齢が栃木の27・4歳に対して21・5歳ととびきり若いチーム。体力面でやや劣勢の栃木は、精神面や経験値で明らかに上回っており、そのあたりがそのまま試合にも表れていた。
  開始5分を押し込んでいた栃木だったが、ジェフに盛り返されて、8分から20分までに4本の危ないシュートを許した。ただ、チャンスの数は栃木の方が多く、25分ごろに雨が強くなってからは栃木の時間帯になった。右の高安やボランチ久保田がよく前線にからみ、FKやCKを得て得点機をつくった。シュート数は前半2本(公式記録)だったが、セットプレーやクロスボールにサトシや上野が走り込んで、あとわずかというシーンが数回あった。42分、久保田が右CKをゴール前に入れた。サトシが合わせ、クロスバーに当たってバウンドしたボールがゴールマウスへ。ジェフGK瀧本が左手でかき出したが、副審はゴールインを判定した。ボールは微妙な位置だったが、もしラインを割っていなくても、シュートに行った片野がDF高田に後ろからユニホームを引っ張られて倒されていたので、審判がちゃんと見ていればPK獲得にはなっていただろう。
  後半早々、バックパスをGKが手で取って栃木に間接FK。PKより近い約8メートルの距離から、久保田が人の壁の上を狙ったがバーをかすめた。栃木は相手ボールの時の守備バランスが良かったから、後半はゲームをコントロールできた。このまま終わっても十分だったが、62分にサトシのバイシクルシュートが決まり追加点。左サイドを抜けた上野がゴールライン際から入れた優しいクロスにサトシが宙を舞った。ジェフは3バックにして反撃に出た。残り30分での2点差は、前節の苦い鳥取戦と同じだが、内容は違った。「前からのプレスとしっかりブロックするところの使い分けはうまくできて、全体的なバランスは良かった」(柱谷監督)。DFラインとボランチの間を突かれて同点にされた鳥取戦の反省を生かしたゲーム運びだった。
  バランスの中にも、高安のスピードやサトシのアグレッシブさといったアクセントがあって、現時点で柱谷監督がやろうとしているサッカーに近付いた内容ではなかっただろうか。終盤にジェフが3トップにしたがDF4人でしっかりと対応するよう指示。右サイドには只木、終了間際には左に深澤を入れて「相手のワイドを見させて守備の安定を図った」(柱谷監督)と、采配も筋道立っていた。89分に3枚目のカード(山下)を切って幕引きをしたあたりは、アウェーの岐阜戦(2-0勝利)と似たイメージだった。7月21日の後期第4節、11試合勝ちなしだった泥沼の中で光が差したあの試合。その戦いを続けられれば、今ごろ勝ち点53の5位くらいにいて、4位以内が至近距離だったはずなのだ。残り3試合でよりレベルアップし、J2に昇格できるくらいの力はあるチームだということを地元ファンに見せてほしい。
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by tsc2007 | 2007-11-12 18:22
栃木SCふぁん!No.246 鳥取戦2-2
f0136083_12195281.jpg  11月に入ると今シーズンも終わりに近付いたな…と実感する。J2を目指して戦った初めてのシーズン。チームは大きく変わった。プロ選手が誕生し、プロ監督を招へいし、夜から昼の練習に移行した。選手を取り巻く環境はずいぶん改善されたようだ。フロントが形になり、取材メディアも一気に増えた。観客の多さや熱狂的サポーターはJ2並みだ。ひとつ足りなかったのは「勝ち点」だった。ガイナーレ鳥取と対戦した後期第13節は、前半の2点リードを守り切れずに2-2で引き分けた。勝ち点2を失い、残り4試合を全勝しても勝ち点55止まり。絶体絶命だ。数字の可能性にしがみつくより、かけがいのない残り一試合一試合を大事に戦うことこそが、のちのちプラスに作用するだろう。
  鳥取戦の前半は良かった。プレス意識が高く、パスのタイミングも速かったので、ポゼッションは高まりチャンスの形が多かった。5分に左CKをファーで米田(めた)が折り返し、ゴール正面の横山聡が頭でたたき込んだ。ホームゲームの先制点で県総合の競技場は爆発的に盛り上がった。15分には中盤から右前線につないだボールを米田が高安に渡し、グラウンダー気味のクロスをニアで再びサトシが右足で合わせてゴール天井を突き上げた。楽勝ムードとなったが、2-0で折り返す危うさをチームも当然わかっていて、ハーフタイムには「次の1点を相手が取ると難しくなるので先に1点取ろう」(柱谷監督)と申し合わせた。
  その通り、後半も序盤は栃木のペースが続いた。サトシや小林のシュートが惜しかった。60分には久保田が低い弾道の右足ミドルを見舞ったが鳥取GK井上がダイビングキャッチした。この好セーブのあたりから鳥取が攻撃の勢いを増した。後半から2人を代えて4バックを3バック気味にしていた。引き分けでもJ2昇格の可能性が消える鳥取は、捨て身で3点を取りに来た。それは十分わかっていたはずなのだが…。62分、栃木ゴール正面に入ったボールは扱いにくいバウンドだった。GK原がダッシュ。詰めてきた鳥取MF堀池との間を谷池がカバーしようとしたが、堀池が一瞬早く左足インサイドで浮かせて原の頭を越した。これが、今シーズンの栃木の息の根を止める象徴的ゴールとなった。なぜなら、これで2-1となり、危険マニュアル通り、終了直前に同点ゴールを許してしまったからだ。
  試合後、柱谷監督は「やろうとしているサッカーは見てもらえたと思う。もうちょっとのところ、流れを左右するところで、できない部分があった。もう少し一人一人が上げていければ、いいゲームができる。ほんとにもう少しなんです」と残念無念の表情だった。確かに前半は「ワクワクするようなゲーム運び」(柱谷監督)だった。これを後半も続けられるかどうか。ポゼッション、コントロール、カウンターアタック、アラートなDFライン。そういったところができれば、この日のような苦汁をなめることはないのだが、柱谷監督は「もうちょっとですね」を繰り返した。その「もうちょっと」のところを解決する手がかりを残り4試合で見つけたい。同時に、選手にとってはサバイバルがかかった真剣勝負の場にしてほしい。その結果、残り4戦を全勝すれば、来季につながる終わり方にはなる。
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by tsc2007 | 2007-11-06 12:24
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