後期第11節は気持ちのいい秋晴れの下、ホームの県グリーンスタジアムで三菱水島に5-0と圧勝した。なかなか目指すサッカーができていなかった柱谷監督は試合前「前半から飛ばして、ハイプレッシャーで行こう」と指示していた。それにイレブンがこたえ、前線も中盤も相手にどんどんプレスをかけて、完全にゲームを自分たちのテンポにした。柱谷監督就任後11試合の中でベストゲームだった。
先発(4・4・2)の注目は右サイドハーフで初スタメンの高安。宇都宮白楊高監督の只木が全国選手権予選で出られずチャンスが巡ってきたが、柱谷監督が「ずっと使いたかった」という生きのいいルーキーだ。もう一人、ケガの片野に代わって左サイドバックに入った石川もプロ契約してから初スタメンで、DFとしての仕事が注目された。2トップの上野の相棒は4日前の水戸ホーリーホック練習試合で得点するなど好調の横山聡。
試合は開始1分に早くも動いた。高安とのショートコーナーから久保田がゴール前にクロスボールを入れ、意表を突かれた三菱DF陣のマークを外したサトシが「後ろから巻いてくる難しいボール」をおじぎするようなヘディングでゴール左にコントロールした。攻め続ける栃木は29分、左サイドを抜けた小林からのクロスボールがゴール正面の上野を越えた裏にサトシがスライディングしながら右足ダイレクトボレー。ゴール右上隅に突き刺さる豪快なシュートが決まった。43分には高安が得た右CKを久保田がファーに合わせ、谷池が2試合連続のヘディングゴールを押し込んだ。
今季初めてホームで複数得点の折り返しとなりムードは俄然盛り上がった。後半、三菱は岸田を入れて1トップの松永、センターバックの萩生田と3人の元栃木SC所属選手がピッチで対峙。栃木は62分に上野を山下に交代。68分には足がつった高安を下げて永井を投入した。サトシのクロスバー直撃弾や小林のポスト直撃弾があり、少し中だるみのような時間帯を経て、78分に深澤が左サイドに入った。売り出し中の切り札は15分間のプレーの中で、88分に快速ドリブルからサトシのゴールをアシストし、ロスタイムには山下のパスを受けて左45度から強烈な左足シュートを放ち自身の初ゴールを決めた。3734人も入ったスタンドは、今季最多得点で圧勝した喜びを選手たちと分かち合った。
試合後の会見で三菱の熊代監督は「運動量、スペースの作り方、攻撃の組み立てなど、前期対戦時(1-0で三菱の勝利)と全然違った。サッカーのレベルの差を感じた。惨敗でした」と完全に脱帽。萩生田も「FW(サトシ)を乗らせてしまった」と大量失点にお手上げだ。柱谷監督はハイプレス作戦の成功に手応えを感じ「このようなゲームを続けていきたい。そのためには、もうちょっとフィジカルを上げないと」と、残り6試合の全勝を期していた。3回もゴリ・ダンスを披露したサトシは、プロになって初のハットトリック。「大きな一戦でチャンスをもらい結果を出せた」と自信を回復した。その3点目はJFL参入8シーズン目の栃木SCの記念すべきリーグ戦300ゴール目だった。