No.126 鳥取の友人
f0136083_218133.jpg 1-1の引き分けに終わった前期第6節。鳥取の選手たちが試合前夜、「栃木に勝って(次節の)アローズ北陸戦に勢いをつけよう」と話していたのを私はある所で偶然耳にした。その話はまず置くとして、鳥取県は私にとって特別な所だ。大学時代の親しい友人が、砂丘長芋で有名な県中央部の大栄町(合併して現・北栄町)で長芋やスイカの生産農家を継いでおり、ここ25年ほど毎年、鳥取直送の味を享受しているからだ。友人は昨年の正月、娘3人をディズニーランドで遊ばせるために一家5人で関東に来たついでに栃木県にも足を延ばしてくれた。宇都宮で焼き肉をつつきながら、サッカー取材で鳥取に行った際には会う約束をしていたのだ。
  前日の昼過ぎ鳥取空港に到着すると、友人が出迎えてくれた。彼の運転する四駆で鳥取砂丘に行き、焼きはたはた寿司をつまみながら砂の山を散策。その後、白兎海岸の高波を見てから山間地に入り、今年開山1300年で世界遺産登録を目指す三徳山三佛寺の国宝・投入(なげいれ)堂を遠望した。途中、三朝(みささ)温泉郷を走りながら友人は「鳥取県西部地震(平成12年)があったけ。あれ以来、三朝も皆生(かいけ)温泉も客が少のうなった」と言った。投入堂が観光PRに一役買う期待を語り合った。大栄町はスイカも産地。大玉で甘くてみずみずしい。高品種のナゾは「かんぴょう」と知って、かんぴょう生産日本一・栃木県の人間としてはちょっと驚きだ。ユウガオの芽にスイカを差し芽するという。「かんぴょう(ユウガオ)は種を取るために育てるけん、夏過ぎると熟したかんぴょうが畑にゴロゴロしとるよ」。
  25年前に訪れた時、名峰・大山を望む広々とした農地と防風林しかなかった彼の地には、新しい道や「道の駅」ができ、アニメ作家の出身地にちなんで「コナン通り」もできた。スイカのビニールハウスで一仕事。この時期、農家は猫の手も借りたい忙しさなのだ。それなのに、一家そろって隣町・赤碕の割烹で、この上なく新鮮な刺し身や鯛めしでもてなしてくれた。再会の喜びを満喫し、JR山陰本線で鳥取市に戻ったのは夜10時前。ホテルにチェックインし、大浴場の湯に身をゆだねた時、冒頭のSC鳥取選手たちの話を聞くことになった。サウナでDFの某選手と一対一になった。取材の者であることを告げ、サッカーの話を数分間。汗だくの素っ裸同士、翌日の健闘を誓い合って(?)握手した。その彼は、試合ではセンターバックとして栃木に非常にやっかいな存在となった。
  ピッチ外のエピソードは、書き始めたらキリがない。鳥取市職人町の喫茶店では、マスターと1時間以上もSC鳥取の話をした。出雲そばの有名店で食べた割り子そば、大栄町の隣・倉吉市の「桜ずもう」に招待された大関・琴欧州(行きも帰りも同じ便)、鳥取駅でばったり会った栃木サポーター…。ひとつ書き忘れていた。鳥取の友人は地元高校時代、センターフォワードだった!
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# by tsc2007 | 2006-04-28 21:08
No.125 鳥取戦ドロー
f0136083_2185182.jpg 前期第6節のSC鳥取戦は、勝ち点3を取るための遠征だった。上位が負けないので、優勝レースの先頭集団キープのためには勝利が必要だった。今季まだ勝ち星のないホームの鳥取も、J2昇格に向けた行政や地域の支援を得るための動きと成績を連動させるため、何としても勝ち点3を取りたかった。双方のチームとも勝つ気で試合に臨むのは当然だが、その気持ちが「気迫」となってピッチ上でぶつかり合った時、勝敗の行方はどうなるか…。
  前半は鳥取の気迫が勝った。4・4・2の布陣だが、両アウトサイドはもちろん、両サイドバックも積極果敢にオーバーラップしてきた。前線の堀と内山を狙って、右から左から攻撃全開だ。栃木は厳しいプレスを受けてパスがつながらない。一対一や球際でも相手の勢いに押され、鳥取ペースで時間が刻まれた。 30分、左サイドをワンツーで突破した鳥取は、田村がファーサイドにクロスを入れた。フリーの実信が頭で折り返し、堀がヘディングシュート。鳥取攻撃陣の速い連係にものの見事にやられた。
  栃木は故障のボランチ種倉の代役に中川を起用。2シーズン目で初先発だったが、FK2本以外は「相手のプレッシャーが強く、チャンスメークもできなかった」と不本意な45分間だった。後半、高橋監督は中川を下げて高秀をトップ下に入れ、「起点になっていた実信に只木をぶつけると同時に、堀田とタテの関係にしてボール保持と展開役に」と只木の位置を下げた。そして後半は、栃木が反撃に転じた。鳥取の攻勢は鳴りを潜め、別のチームになってしまったかのようだった。高秀や吉田がゴールを狙い、完全に栃木ペースとなったが、なかなかシュートが決まらない。ピッチの選手たちの間に、明らかにあせりや苛立ちの色が見え始めた。残り10分となったころ、高橋監督はDF山崎を最前線に上げてパワープレーに出た。波状攻撃に対し、前半の攻め疲れもあって鳥取守備陣の足が止まってきた。81分、左の茅島がニアサイドの吉田に合わせてセンタリング。吉田のシュートを相手GKがファンブルしたこぼれ球を「GKが左にいて、自分の前にゴールが開いていた」という高秀が押し込み同点。さらに本田のループ、吉田の右をえぐってのシュート、ロスタイムにも本田がポストわずか右のシュート、ゴール前混戦のこぼれ球を遠藤がシュート…。しかし決勝点は遠かった。CKを得てラストチャンスと思われた瞬間にタイムアップの笛が鳴った。ダウン寸前の鳥取はゴングに救われた。
  栃木の高橋監督は「負けに等しい引き分け」と言葉少な。鳥取の木下監督は「栃木の地力をひしひしと感じた」と振り返りながら、地元テレビのインタビューに「好ゲームだったと思います」と応えていた。気迫の勝負は前半が鳥取、後半は栃木の勝ちだったが、同じ勝ち点1の持つ意味合いは微妙に違った。
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# by tsc2007 | 2006-04-25 21:08
No.124 晴天乱気
f0136083_2193231.jpg 開幕5試合で4勝1分け0敗(5位)と、かつてない好スタートを切った栃木SCに暗雲が湧き上がりかけている。主力の戦線離脱だ。上位との対戦が増える前期中盤突入へ、戦力は大丈夫か―。
  前期第5節・流通経済大学戦の後半5分、オーバーラップしたMF種倉が、相手選手との競り合いの直後に右太ももを抱えてうずくまった。肉離れで即退場。しばらくは練習もできない状態だ。種倉は、堀田とボランチを組む重要な選手。この日は左アウトサイドでの先発だったが、後半に戦略上の陣容変更でボランチに戻り、1-0からの追加点狙いで積極姿勢を見せた矢先だった。
  左サイドの主力プレーヤー・MF石川裕之は、2年前に肉離れを起こした左太ももに違和感を覚えながらのプレーを続けていたが、第4節・刈谷戦から欠場した。母校との対戦となった流経大戦もスタンド観戦した。「動けるけど、80%のプレーしかできないので」と、完治を目標に、しばらくは練習参加も控える。
  そして先週、順調にリハビリメニューをこなしてきたスーパーサブ・MF吉見が練習中に再び右ひざをひねった。吉見は昨夏、右ひざ前十字じん帯を痛めて専門医の手術を受けた。つらいリハビリも、根っからの明るい性格で乗り越えて来ていただけに残念だ。4月25日に内視鏡検査を受けるが、再び前十字じん帯の損傷ということになっていれば、復帰はさらに半年延びる。「(復帰まで)もう少しだったのに、すみません」と吉見。Jリーガー級のカノン砲シュートはまたも封印か。吉見のひざに走った激痛は、同時にチームに走った衝撃でもあった。軽傷であることを願うばかりだ。
  5月連休明けからは上位との対戦が続き、優勝を目指す栃木SCにとっては最初の正念場。しかし「選手層を考えれば大丈夫。誰が出ても戦える」(浅野ヘッドコーチ)。種倉の穴は新人の菊地が埋め、石川不在の左サイドは茅島がこなす。右サイドは、バックアップとしてDF遠藤が定着しつつあり、注目のMF北出(湘南ベルマーレ)もケガから復帰間近。「春先のケガでビビッていた自分がいた」という西川は、流経大戦の2点目を豪快なダイビングヘッドで決めて、迷いを払拭した。
各選手とも何らかの痛みや疲労を抱えながらのリーグ戦。今季はトレーナー陣も充実し、険しい長丁場を乗り切る態勢は整っている。好スタートに浮かれる間もなく、戦いはこれからが本番だ。ピッチの選手たちが激しくぶつかり合うたび、カメラのレンズ越しに「無理してもいいから、ケガすんなよ」とつぶやいている。
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# by tsc2007 | 2006-04-19 21:09
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