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No.232 生の試合を子供たちに
No.232 生の試合を子供たちに_f0136083_1572323.jpg  横河武蔵野戦の7月28日は、高校野球栃木大会決勝が同じ宇都宮市清原工業団地内の清原球場であった。私は職場で、栃木SC取材に出掛けるまで別の仕事をしながら、横目でとちぎテレビの実況を見ていた。高校レベルのスポーツをメディアが大々的に扱うことに疑問を感じており、常々「まったく、子供の野球を…」とぼやいているのだが、何を隠そう、そういう自分も高校時代に同じ感動を心に刻み込んだ一人だ。1973年(昭和48年)の夏。栃木大会決勝戦。エース江川卓の作新学院の前に、わが宇都宮東高はノーヒットノーランで敗退したが、県営本球場で応援に声をからしたあの7月29日の午後を私は終生忘れることがないだろう。同窓生たちと話すたびに私は「江川の剛速球はすごかった。でもオレたちのエース新沢(にいさわ)だって相当なもんだったよなぁ」と言いながら、両エースが投じた白球の光跡を思い出すのだ。
  だから本当は高校野球も大好きなのだが、ひとつだけ言いたいことがある。出場登録されない、いわゆる補欠の選手たちがスタンドで、まるで応援団かチアボーイ(?)のように騒いでいる光景。あれはやめてほしい。決勝戦だけでなく、公式戦は学校スポーツにおける貴重な機会。試合に出られなくても、選手たちと同じ気持ちになって臨んでほしいのだ。スタンド観戦でいいから、レギュラーたちがどう戦うのか、監督はどんなサインを出すのか、守備陣形は、相手投手の特徴は、相手の戦い方は、この場面で自分ならどうする…。ナイスプレーを目に焼き付け、エラーが出たら自分なりに原因を考えてみる。スコアブックをつけながらでもいい。一試合約2時間、普段の校庭では得難い多くのことを自分の目で学べるチャンスなのだ。それをお祭り騒ぎで無駄に過ごしている。先生や指導者はきちんと教えてほしいと思う。私にもっと大きな声があったら、全国の高校に言いたいことだ。
  サッカーでも同じことだ。試合に出られない部員も、ピッチでプレーしているつもりになって、しっかり観戦してほしいと思う。部員はサポーターや観客とは立場が違う。次は自分がピッチにいるかもしれないのだから。
  Jリーグ昇格を目指す栃木SCの戦いは、地元・栃木のサッカー向上に大きなプラスになっている。リーグ戦の半分はホームで観戦できる。もし来シーズン、J2に昇格できたら、みなさんご存知の全国のチームが栃木にもやってくる。これは劇的向上だし、何よりも栃木の子供たちがレベルの高い生の試合を見る機会ができるということだ。JFLの試合がある週末は、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人、女子に至るまで、練習や試合や大会があるのだろう。でも、栃木SCのホーム戦がある日には、せめて子供たちのチームでは「観戦」という予定を組むことはできないだろうか。応援しながら、子供たちは普段学べない何かを学べる。横河武蔵野戦のスタンドには大勢の子供たちがいた。1-0勝利の喜びとともに、彼らはたくさんのシーンを目に焼き付けたと思う。元日本代表の山下、J50ゴールの上野、米田(めた)のゴール、カッコいいFW小原、顔面流血でも立ち上がった深澤…。私が34年も前の県営本球場を今も鮮明に覚えているのと同様に、彼らは大人になってもこの日の栃木県グリーンスタジアムを忘れないだろう。
by tsc2007 | 2007-08-01 15:02
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